わたしたちフォームのように恋をする
シリーズ・現代川柳と短文 094
(写真でラジオポトフ川柳182)
Aはそれまで恋をしたことがなく、Bはそれまでドーナツを食べたことがなかった。ふたりは会ったその日に恋に落ちた。恋ってこんなにすてきなものだったのか、とAが言い、Bはそれを微笑みながら見ている。隣の部屋では油に熱が入る。ドーナツを揚げる油である。もうしばらくすると揚げたてのドーナツがふたりの前に運ばれてくるが、それを食べるのはAのほうである。
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