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土器モデルチェンジそろそろだったはず

 現代川柳と400字雑文 その89

 大塚さんが地元の博物館で働きはじめて間もないころの話。朝、オープン前にそれぞれの展示物の確認をしていると、ある展示ケースの「内側」に数名のこどもが入り込んでいた。地元で出土した土器の展示ケースだった。ぎょっとして思わず声を漏らすと、こどもらは同時に大塚さんのほうを見て、わしゃしゃしゃしゃと、やはり全員同時によくわからなき甲高い奇声を発し、なんの前触れもなく、テレビ画面が消えるように突然ぱっと消えてしまった。驚きはしたものの、朝ということもあってか、とくに恐怖感はおぼえず、不思議なものを見たなあ、という程度の感想しかなかったらしい。「というか、縄文人の幽霊ってべつに怖くないんですよね。どうしてだろう。理由を調べたいので、もう何回か、できればもっと大人数で出てきてもらいたいです」と大塚さん。職業柄、探究心が強いのだろうか。

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