妻と僕のPMDD生活37日目
それでも一緒に居たいと思えるだけで。
*
先日、久し振りに大きな喧嘩をした。
小さな小競り合いこそ、
妻がPMDD期には起こるけれど、
あんなに大きな喧嘩は久し振り。
原因は僕だ。
僕は仕事で上手くいかずイライラしていた。
僕には怒りをぶつける相手がおらず、
そんな術も持ち合わせていない。
僕がイライラしていることを察知して
妻は「何かあった?」と聞いてくる。
始めのうちは僕もノーコメントで、
弁護士に委ねるが如く黙秘していた。
見兼ねた妻が「早よ言え!」と催促し、
僕はポツリポツリと言葉を発する。
話すうちにその時の感情が込み上げ、
僕の語気はどんどん荒ぶってくる。
その津波のような怒りを止める事ができず、
感情の波に呑まれるがままに、
記憶がないほどに負の感情を露わにする。
すると妻は「何で私が怒られてるの?」と、
僕に対して激しく指摘をしてきた。
感情はどうあれ今回ばかりは妻が正論だ。
こんなことが想定されるから、
僕は黙秘していたのかもしれない。
だから言いたくなかった。
楽しい夕食だったはずなのに、
僕のどうしようもない言動で、
味を感じないモノクロの夕食になった。
*
いつもの僕なら妻に指摘された時点で、
催眠術から解けるようにハッとなり、
妻に何度も謝るのだけれど今回は違った。
売り言葉に買い言葉で妻にも捲し立てる。
妻が正論で僕は異論。
そんなことは頭で理解していても、
僕の負の思考は止めどなく出てくる。
妻は僕が食べていたラーメンを取り上げ、
シンクに持っていて全てを捨てる。
「もう食べるな!」と妻は激昂する。
当たり前の仕打ちだ。
だけど僕は荒々しくノートパソコンを手に、
下の書斎へ逃げ込むように降りようとする。
あまり覚えていないけれど、
下には行かずソファで横になる僕。
これが妻と僕の大きな喧嘩の断片的な記憶。
*
その後は妻と子が時間を設けるために、
スーパーに買い物に行き、
僕の好きなお菓子を買ってきてくれた。
「甘いもので疲れを取る」
妻の提案らしい。
家の中で1人になった僕は、
催眠術から目が覚めて激しく猛省をする。
そして妻と子が帰ってきてから、
2人に何度も何度も謝った。
僕は滅多に感情を出さない。
仕事でも家庭でも。
人に迷惑をかけないよう、
知らぬ間に自分の中で制御している。
小さな時からずっとだ。
友だち?にも、家族にも、誰にも、
僕の本当の気持ちを打ち明けたことはない。
「メガッパって良い人」
それが周りの評価で、
それが覆るのが怖かった。
だから夫婦2人の時間も同様に、
良い人になろうとして黙秘しようとする。
僕の悪い癖で、僕の生きる術だ。
妻はそこを指摘する。
「1人で考えるな」と。
僕は今までずっと1人で解決してきた。
1人だったら迷惑を掛けないし、
何より人に打ち明けたり委ねたりが苦手だ。
だったら何故妻と一緒に居るのか?
本当の理由は僕にさえ分からないけれど、
きっと妻はPMDDであれ心地良いのだと思う。
男とか女とか関係なく最良のパートナー。
僕の願望だけど、こんな僕だけど、
妻と僕は一緒に生きるべきだと思う。
*
側から見れば一緒に居ない方が
良いと思われそうだけど、
僕たち夫婦は一緒に居た方が良い。
と、僕は思う。
理由は簡単でお互いに無いものを、
夫婦2人だったら補えるからだ。
なんて綺麗事を並べてるうちは、
まだまだ甘いのかもしれないけれど、
それでもやっぱり一緒に居たいと思える。
理由なんて何だって良い。
同じ趣味だとか、違った感性だとか、
似て非なる面持ちだとか、習慣だとか。
一緒に居たいと思えたなら。
それでもお互いに認め合えるのなら。
そんな人に出会えると思っていなかった。
僕は幸運だと思う。
妻に怒られることもあるし、
妻にキレられることもあるし、
妻に捲し立てられることもある。
PMDD期は特に。
それでも妻が良い。
寝ながらオナラをする妻にもそう思う。
メガッパ
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