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【ジェンヌと呼ばれた男】 #991


俺は高校生の時
自分で言うのもアレなんだけど
めちゃくちゃモテたのよ
でもさぁ
男より女が好きだったから全部断ったよ

中学生の時は1人だけ男と付き合ったこともあったけど
全然気持ちが盛り上がらないしキモく感じた


大学に進学したのを気にビジュアルをそっちに寄せて行ったんだよ
そしたら周りからタカラジェンヌって言われそいつらとは付き合いをやめた

元々貧乳だったから胸は気にしなくって良かった
ホルモン注射打ち始めたら声も太くなり毛深くもなってきた
おもしろい

こうなってくると男として扱ってくる人間も増えてきた
タカラジェンヌから今度はジャニーズ系と呼ばれ方が変わってきた

実際何度かスカウトもされたが芸能界には興味が無いので断った

だからと言って将来の仕事に対する夢は今のところ具体的には無い 

どちらかと言うと自分と向き合う事が多かった

大学2年の終わり頃に初めて彼女が出来た
向こうはちゃんと俺が元々女である事が分かった上で愛してくれている

中学の時の男と初体験してたんだけど
全然気持ち良く無くって
ほぼそれが原因で別れたようなもんたった

彼女とのセックスはもう心もカラダも満たされて最高の気分にさせてくれた

なんで最初から男のカラダで生まれて来なかったんだろ
とか
むしろ女のカラダで生まれてからの男として生きている自分だからこそなのかも
とか
色々考えるけど今はとっても幸せだ


言うと時代の後押しも大きいと思う

多分お父さんやお母さんの時代だったら受け入れてもらえなかったと思う

でも今は多様性やLGBTQなんかのムーブメントが来ているから
タカラジェンヌとか言ってチャカす奴もいるけど
大多数の人は受け入れてくれる

うちのお父さんやお母さんも応援してくれているし
そう言った意味では凄く恵まれてるかなとは思う

ただ目の前にある現実社会はまだまだ厳しいものかある
就職活動においてはなかなか俺のような存在は受け入れられず
書類選考で殆ど落とされた
たまに面接まで辿りついても
ジェンダーについての質問が多くこれはセクハラなんじゃないだろうかと思う程の会社もあった

結局大手の会社は表向きにはSDGsだの多様性だの言ってるが
実際に蓋を開けるとまだまだ考え方が遅れている
身体障害者に対する配慮は既になされている気がするがジェンダーに関する事にはまだ壁があるようだった

結局大手は無理で資本金が2億くらいの広告会社に就職した
広告会社と言っても印刷の会社から少し毛が生えた程度の会社なので
CMをやる訳でも無いし大手企業と仕事をする訳でも無く
だいたいがスーパーや不動産会社のチラシ広告を全般的にやっている
そこの営業職だ

彼女とはまだ付き合っている

彼女が大学を卒業し社会人になったら一緒に暮らそうと話わしている


この先もっともっと良い時代になる筈だ



その頃には婚姻届も出しているだろう







ほな!

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