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【私はまぁまぁ生きている】 #513


私は31歳の派遣社員
普通に小学校に行き
普通に中学校に行き
普通に高校に行き
東京に憧れたが
単に遠いという理由で親が反対し
大阪の専門学校に行き
卒業後は専門学校で習った事とは全く関係の無い大手スーパーマーケットに就職した
28歳になった時に自分の将来と現実の間のギャップに悩み
たまたま見たドキュメンタリー番組に感化され
突然会社を辞めてバックパックの旅に出た



最初はとても新鮮で
出会う街
出会う自然
出会う人
感動の毎日だった


しかしそれも
3ヶ月経った辺りから
楽しいより
不安の方が膨らんできた



私は何をしているんだろう?
私はこれで良いのかしら?



大丈夫?
大丈夫?
大丈夫?




そして日本へ帰ってきた
帰る家も無いので
仕方なく実家へ帰ると
母親からブチブチと嫌味を言われる
地元で仕事を探したが
なかなか良いのが無かった


毎日なんだか
朝起きて
母の手伝いをして
父も母も仕事に出た後は
何もやる事も無く
ルーチン化したテレビを観る
昭和の再放送のドラマを観る
つまらないのに続きものなので
なんとなく先が知りたく
毎日観ている
1週間に1回はハローワークに足を運ぶ


いつもは地元の情報しか見なかったのだが
今日は珍しく
大阪の求人を見た



多い

ココとは全然違う


そうだ
大阪に行こう
こんな田舎で屁をこいている場合じゃない



こうしてまた
大阪に舞い戻ってきた
1年と少しぶりの大阪は
懐かしさよりも
眩しさの方が強かった


嗚呼っ
私はついこの間まで
ココで普通に生活していたんだ


たった1年と少し離れただけなのに
随分と昔に感じる



色々受けて1つの会社に滑り込めた

正社員では無いが
無職では無くなった
ひと安心だ


前のスーパーマーケットの勤務地は
大阪でも郊外だったが
今回は大阪市のど真ん中のオフィス街
最初こそ緊張したが
半年もすれば慣れてきた



会社でもお友達みたいな人ができた
大阪で働く地元の友達ともまた遊ぶようになった
スーパーマーケットの頃のお友達とは連絡を取っていない
嫌いになったという訳では無いが
なんとなく良いかなと
理由なき理由で
多分面倒くさく
きっと
きっと
私にとってそんな程度とジャッジされたのだろう



気がつくと30歳も超えていた

おばちゃんと思っていた30代に突入したが
何がどう変わったのかも分からない
自分におばちゃん的要素はまだ無い


そう思っている

ただ
最近言われるキーワードとしては



『年齢より若く見える』だ



年齢より若く見られるのは嬉しいが
この『年齢より』という枕言葉が付くのがおばちゃん的要素なのかしら

分からない



そんな中
私はヤツと出会った

お友達に誘われるがまま
キャンプに誘われた
道具は全てお友達が用意してくれた

普通のキャンプとは違う
グランピングという
ゴージャスな
セレブなキャンプだそうな


私は連れられるがまま
そのグランピングに参加した

なんだか
バックパックで旅をしていた時を思い出す雰囲気で楽しかった

その中でグループの中に
ヤツもいた


ヤツも私同様に誘われて参加したので
知らない人の方が多い
自然とアウェイな私とヤツは
引き寄せられるように
仲良くなり
気が付いたら
ずっと2人でお話をしていた


久しぶりの感覚


あっそっか


私はスーパーマーケットを辞めて以来
男とは無縁だった
忘れていた
ホント今思い出したよってくらいに



そのキャンプ以来
ヤツと遊ぶようになった
まだ付き合っている訳では無い
ただ頻繁には会っている


これはこのまま付き合うという事なのか?

いやいやいやいや



そんなある日
珍しくヤツは友達を連れてきた


どうしよぅ
ど真ん中だ


私の超好みな人だった
その途端
ヤツがとてもブスに見えてきて
気持ちがヒュルヒュルとしぼんで行った

しかしだからといって
ヤツの友達に近付くのはダメだわ
そんなの最低人間のする事

でもでも
私のパッションは正直で
ヤツを見る目と
友達を見る目が全く違うし
態度も違ったようだ


そんな事もあって
ヤツとはどんどん会う回数が減っていった
気が付けば音信不通
当然ながら
あの友達とも会えない



私は31歳の派遣社員



まぁ
何とかなる





ほな!

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