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【某国】 #768


私は日本人であるというだけでイジメを受け続けた
確かに日本人ではあるが私は同じ人間であり山田ナオミという一個人でしかない
別に日本を背負って立つ人では無い
そんなのは大スターか政治家にやらせておけばいい

私は単に父の仕事の都合で海外に住んでいるだけだ

イジメが嫌なら日本に帰れば?
それが可能なら私は日本に帰りたい
イジメの事も話して日本に帰りたいと訴えたら
アッサリ通信制の学校に編入させらた
いやそうじゃない
学校を変わったとしても外へ出ただけで差別を受ける
その話をすると父はこう言う

「俺だってスゴい差別を受けているんだよ」

「じゃあ一緒に日本に帰りましょーよ」

「そういう訳にはいかないんだ」

「それには色々事情があってだな」

「どんな事情よ
話してよ
話してくれて私が納得したら
私もここに居るわ
でもそうじゃないなら
私は一人でも日本に帰るから」

「俺を困らせるんじゃないよ」

「だからちゃんと説明してって言ってるじゃない」

「嗚呼っもう分かったよ
お父さんは日本に帰ったら捕まっちゃうんだよ
お前が一人で帰ったとしたら
お前も捕まっちゃうんだよ」

「どうしてよ
一体誰に捕まるのよ」

「おじいちゃんだよ」

「おじいちゃん?」

「お前のお母さんのお父さんだよ」

「なんでおじいちゃんに捕まらなきゃいけないのよ
だいたいお父さんとお母さんは離婚したのにもう関係ない人じゃん」

「そうなんだけど
ちょっとした出来心で…」

「出来心?」

「ああっ
そのなんだ組のお金をちょっとだけ借りたんだよ」

「盗んだの?」

「借りたんだ」

「借りたんなら逃げなくってもいいじゃない」

「そうなんだけど
おじいちゃんは盗んだって言うの」

「借用書とか書いたの?」

「書いてない」

「ちゃんとおじいちゃんの手から渡してもらったの?」

「いいや」

「じゃあどうやったの?」

「お母さんの妹に頼んで金庫のカギを開けてもらって中に入っていたお金を借りたんだよ
ちゃんと借りますってメモは入れといたよ」

「それ盗みじゃん
でもどうしておばちゃんがカギ開けてくれたの?」

「お父さんがヤクザってのが嫌なんだって」

「でいくらあったの?金庫に
多分五千万円くらい」

「くらいって
その内どれだけ盗んできたの?」

「えっ多分半分くらい
残りの半分はおばちゃんがもってったよ」

「わぁ最悪やん二人とも
でもさぁ
私関係ないよね?
帰ったって別に何をされる筋合いもないし」

「お前が帰ったら俺の居場所分かっちゃうじゃないか」

「そんなの一緒に居たって言わなきゃいいじゃん」

「そんなの無理だよ
中学生のお前がこの5年間じゃあ何処で誰と生活してたん?ってなるだろ」

「まぁそりゃそうだけど
でもそしたらもっとマシな国選んでよ」

「だってしょうがなかったんだよ
めったに日本人が来ない所選んだらここになっちゃったんだから」

「最悪」

「もうちょっとの辛抱だ
もうちょっとしたら日本に帰ろう」

「もうちょっと?
それはどれくらい?」

「もうちょっとは
もうちょっとだよ
なっ頼むよ」


こうして
お父さんとナオミは日本人がとても嫌いな国に後4年ほど潜伏する事となった






ほな!

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