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【少女A】 #675


少女は学校も家も何処にも居場所が無い
そんな気持ちでいっぱいであった

たまたまSNSで知り合ったお兄さんが
とても親切でしかも境遇が似ていた事から
2人は急接近した

住んでいる場所もそれ程遠くなく
一度会ってみる流れになった
少女は11歳
お兄さんは27歳

お互いが行く事ができる場所を選んだ
事前に画像を送り合っていたので
直ぐに出会えた
2人は喫茶店に行き
お茶を飲みながら色々と話をした
基本少女の話をお兄さんが聞く
そういう感じだった
喫茶店で1時間ほど話し
街をブラブラ散策しながら
まだまだ話した

夕方になり
2人は帰る事にした

この出会いにより少女は
楽しみが出来た
つまらない学校もそれなりに過ごせ
退屈な家もなんとかやり過ごした

それから3ヶ月くらいは楽しかった
けれども家庭内でとても嫌な事が起きた
お父さんとお母さんが大喧嘩をして
お父さんはお母さんを殴った
お母さんはわめいて台所の皿を叩きつけて割った
喧嘩が始まったから少女は自分の部屋に逃げ込んだ
2人の喧嘩は3日続いた

少女は耐えられなくなった
そこで少女は考えた
お兄さんに助けてもらおう
お兄さんの所へ逃げよう

少女はリュックに必要な物を詰め込んで
お兄さんが住む街へ向かった

お兄さんに連絡をし
お兄さんと会った

お兄さんは少女が家出をして来たのを知らない
お兄さんは晩ご飯を一緒に食べたら
家に帰すつもりだった

しかし
少女から家出の話を聞かされた
お兄さんは家に帰った方が良いと言った
少女は聞こうとしない
尚もお兄さんは説得したら
少女は親に外泊の連絡をすると言い
目の前で電話をして了承を得た

これでお兄さんは諦め
少女を家に連れて帰った
幸い今は夏休み中なので学校は無かった

1人暮らしのお兄さんは
狭いマンション住まいなので
2人だと窮屈だ
寝るのもシングルベッドがひとつしか無い

仕方ないので
少女をベッドに寝かせ
お兄さんは床にバスタオルを敷いて無理矢理寝た
少女は言う
大丈夫だし信じているから
一緒にこのベッドで寝ましょと

お兄さんは困った
いくら小学生とは言え
女性である

結局お兄さんは床に寝た

次の日
帰るのかと思いきや
一向に帰る気は無いらしい
少女は泊めてもらうのでお礼をすると言って
部屋やお風呂やトイレの掃除をした
お兄さんは恥ずかしいのでやめて欲しかったが
少女は自分も使うのでキレイにしたい
そう言うので諦めた
夕飯も狭いキッチンで作ってくれた

ご飯を食べながら
今日は一緒に寝ましょうと言ってくる

お兄さんは困りながら適当に話を合わせる

食後シャワーを浴びてサッパリした
後はもう寝るだけ

少女は言った
今日は一緒にベッドで寝ましょう
イヤになったら
明日からはまた別々に寝ましょう

少女に推される形で
一緒にベッドで寝る事になった

お兄さんはなかなか寝付けない
目の前の少女は寝息を立てている
同じシャンプーと石鹸を使っているのに
少女からはとても良い匂いがしている

お兄さんは少女に触れないように
出来るだけ離れて寝ているが
なにせシングルベッドには限界がある

寝返りをうった少女は
こちら側に顔を向ける形になり
しかもお兄さんに密着した形になった

お兄さんは益々目が冴えた

朝方ようやく眠れ
直ぐに目覚ましが鳴り
起きる時間になった

お兄さんは身支度をし
仕事に行く準備を済ませ
少女に合鍵を渡し
もし家に帰るのであれば
鍵を閉めた後
ドアのポストに鍵を放り込んでと伝えた

夕方
お兄さんは仕事が終わってスマホを見ると
少女から夕食のメッセージが届いていた
帰っていないようだ

家に帰ると昨日より豪華な料理が並べられた
よくもまぁあんなキッチンでこれだけの物を作ったことだ
味も美味しい
流石だと思った
少女のお母さんは料理研究家で
テレビにも出たりしている
だからなのかホントに美味しい

ご飯を食べながら
また色々お話をした

基本的にお兄さんが聞き役だ

こういった生活が数日続いた頃
2人で夕ご飯を食べている最中
テレビをつけたらニュース番組がやっており
少女の写真がテレビからバンと現れた
両親が警察に捜索願を出して
探しているそうだ
この様な家出少女は沢山いる
わざわざニュースにするのは
お母さんが有名人だからだ

お兄さんはビックリした
ちゃんと承諾を得ているものとばかり思っていた
少女を初めて叱った
少女は泣いてしまった
お兄さんは焦った
とにかく明日は必ず家に帰るように約束して
今夜だけは泊まっても良い事にした

最後の夜だ
お兄さんも比較的に少女と寝るのにも慣れて来た
今夜は少女がなかなか寝ない
それどころか少女が抱きついて来た
お兄さんは固まった
やめなさいと言わなければいけないのに
何故か言えない
少女はお兄さんに顔を近付けてきた
あいにくお兄さんの後ろは壁だ
逃げ場がない
顔をイヤイヤしてかわすしかない
しかし
唇に唇が触れ
お兄さんは諦めたというか
チカラが抜けた
いやタガが外れたのかも知れない
後の流れはご想像に任せる

朝方
目覚まし時計では無く
インターフォンの音で目覚めた

お兄さんは眠たい目をこすりこすり
玄関のドアを開けたら
そこには沢山の警官が立っていた

お兄さんはそのまま警察に連行され
少女は保護された

お兄さんは今までの経緯を話した
少女も別の部屋で事情を聞かれた
2人の言っている事が全く噛み合わない
お兄さんは恐らく正直に話していると思う
がしかし
少女は誘拐され監禁されていたと主張していた

ニュースでは
少女を無事に保護
お兄さんを容疑者として
顔写真まで出された

少女は迎えに来た両親に引き渡し
帰って行った
お兄さんの取り調べは尚も続いたが
スマホでのやり取りを見せたら警官も納得したのか口調が柔らかくなり
対応が豹変した
完全に容疑者から保護をしていた人間に扱いが変わった
ただ言われたのがどうして警察に相談しなかったのか
というところと
少女が両親に連絡を取っている時の確認をきちんとしなかったのか
それから2人は性的な関係は無かったのか
これらの事を言われた

確かに警察はよぎったけれど
1番大切なのは少女のケアだと思った
学校も家も何処にも居場所が無い
思い悩んだ少女がたまたまの縁で
自分を信頼し頼って来てくれているのに
その思いを裏切ってしまったら
この少女は人を信じられなくなる
そういう気持ちもあって
一度は警察というのもよぎったが
少女の気持ちを優先した
両親の連絡もそうだ
疑ってかかるのでは無く
信じてやりたかった

最後に性的な関係についてですが
今日ホントに帰す予定だったんです
捜索願まで出ていましたので
で最後の夜という事もあって
お互いに感情がたかぶってしまったんだと思います
無理矢理になんかしてませんが
キスはしてしまいました
しかしそれ以上の事はしていません
心配なら少女の体を調べて下さい

全て正直に話した
後は警察がどう判断するのか

私は逃走する心配が無いと見なされ
一旦家に帰された
警察の前にも自宅マンションの前にも
多くは無いが数人のマスコミ関係者が居た

後日
少女の両親から提訴の取り下げの申し立てがあり
刑事訴訟も無く
示談という形で終了した
ただもう二度と少女とは連絡も接触もしてはならないというのが条件

お兄さんは当然ながら快諾した

勤めていた会社はクビになったが
犯罪者では無いので
比較的に早く次の仕事は決まった
SNSでは色々言ってくる人間もいるのでこれを機会に全てやめてしまった

それから3年後
お兄さんには彼女ができて
その数年後結婚して
更に数年後には子宝にも恵まれた

あの少女はその後
両親が離婚し母親と暮らし
高校生になった頃に
芸能界デビューをし
タレント活動を始めた

もう交わる事のない2人

お兄さんのスマホに
ショートメッセージが届いた

来週久しぶりのオフなので
久しぶりにお茶でもしません?

少女からだった
お兄さんはビックリしたが
多分別の誰かと間違えて
送って来ただけだろうと
スルーした

そしたら
その数分後
またショートメッセージが来た

冗談ですよ
ウフフ

お兄さんは苦笑いし

ハートマークだけ
返信しておいた

小悪魔め







ほな!

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