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#178 「対話する」には、前提を合わせる 24/5/22

みなさん、こんにちは。
今日は、対話が円滑に進むための要件、その難しさを考えます。

先日、ある事業部門責任者とその組織内のコミュニケーションのあり方についてディスカッションする機会がありました。

(実例を基に編集しています)
ここ数年、組織内のキー人材層の退職が顕著に増え、従業員のリテンションが当該事業部門の課題の中でプライオリティが上がってきたことが背景です。それは、これまでその事業部門で良し、とされてきたスタンス・スタイルを状況に合わせて変えていくこと、と同義です。

そのコミュニケーションを変えていく代表的な場を、1on1とターゲットしたらどうか、と話が始まりました。

1on1に力を入れ始めているものの、その実情と中身は・・・です。上長がタスクの進捗を確認する、業務や勤務パフォーマンスに問題が生じていることへの指導が中心となっていました。

その背景や要因を内省してもらう支援から始めます。事業部長とわたしのやりとりの大まかです。

わたし
「大半の上長が、業務オペレーションの指導や指示、確認に偏るのはどんなことが影響していそうですか」

事業部長
「うーん、やはり業績と売上成長に偏った日常のコミュニケーションだと思います」

わたし
「なぜそう考えたのですか」

事業部長
「私を含めて、管理職の会話が案件受注の話や、今のお客様に対してのサービス品質やそれを梃子にした顧客深耕して追加の仕事を取れないか、ばかりになっていると、感じたからです」

わたし
「事業ですから稼ぐことの話が本丸で、悪かったとは思わないのですが、どの辺りが良くないと感じられますか」

事業部長
「営業活動や受注見通しはどうなっている?現在の取引顧客からのクレームや要望に対応できているか?パフォーマンスが良くないがどうしてか?などと、上長や事業運営側の関心ごとを一方通行に確認、指示していただけだからです。その背景で、「退職したい」と言われたら初めて話を聞く姿勢だからです」

わたし
「そうなんですね。その現象はさらになぜ改めないといけないと考えるのですか」

事業部長
「そうですね。業績確保、業務パフォーマンスのプレッシャーばかりを与えていたからでしょうかね。退職申し出についても、そうなったら都合よく引き留めをしているように感じます、逆の立場に立つと」

わたし
「いい気づきですね。部長や課長のミドルマネージャー層も同じような内省に至ってますか」

事業部長
「正直なところ、まだほとんどの人がそうは思えていないですね。にわかに気づいているものの、『でも一方で業績要求があるじゃないか』とある種の経営への不満との逆説に葛藤があるように見えます」

わたし
「ミドルマネージャー、特に部長陣の内省が深まるといいですね。何かできそうなことはありますか」

事業部長
「私が明確に、これまでと方針やプライオリティを変える言動を見せることでしょうか。業績、案件と私自身もなっていたので、従業員目線に少し目線を置いた事業運営をする。そのためには、部長や課長へのそのメッセージを明確に出したり、キックオフミーティングでも現場の従業員にも伝わるように話したいと思います」

わたし
「それはよさそうですね。その気づきが、ミドルマネージャーにも伝播するといいですね」

以上のようなやり取りをしました。

何かを変えるケースにおいて大事なことをわたし自身学びました。

事業部長クラスが問題認識をしていたとしても、このような変化がある場合、なぜ問題なのかを解像度高く、かつ自己内省的に矢印を向けておくことです。

それは、問題認識があって論理的に考えてもやらなければならない変化と理解していたとしても、それをそのまま管掌配下に展開した場合、多くのミドルマネージャーは面従腹背で言うことは聞いてくれると考えます。

しかし、やり取りにも出てきた矛盾との葛藤もありますから、なぜ変化が必要かを事業部長の内省と合わせて伝えるような、自分ゴト化しているとの緩衝材として挟んでおくことが、現場の納得度に作用すると考えます。

この意味で、地ならし=前提条件を合わせておく、が多くの場合に有効だと考えました。

さて、みなさんは、自分や所属組織が変わるときに、どんな自己内省を働かせて、そのあとの変化行動を駆動させていらっしゃいますか。
それでは、また。

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