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企業人事に携わって15年ほどです。人事、採用の日々の活動から感じることを、従業員、経営…

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企業人事に携わって15年ほどです。人事、採用の日々の活動から感じることを、従業員、経営、社会の視点から、考えたことをまとめます。

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#105 採用と人材育成のターゲット【2/2】24/3/10

みなさん、こんにちは。 前回に引き続き、どんな人材を採用し、どんな人材を社内に増やすか、を考えます。 前回のおさらいです。 仕事ができる・できない×人間性が良い・悪い、の二軸で採用や人材育成のセグメンテーションを切って考えてみます。         人間性が良い     人間性が悪い 仕事ができる  A:みんながほしい  B:現実の利に目を瞑る  仕事ができない D:変化なければ排除 C:避けたい 各セグメントの従業員や採用候補者に対して、マジョリティのビジネスパーソン

    • #250 採用面接で全人格的に評価してしまう問題 24/10/2

      こんにちは。 今日は、久しぶりに採用面接とその評価について考えます。 (実例を基に編集しています) 先日、ある事業部門の採用面接でのできごとが考える発端になりました。それは、その求人に必要な採用基準=経験や実績、それを裏付けるスキルが合格圏にもかかわらず、全人格的な理由で不合格と判断したことです。 「全人格的」とは、採用決裁者の部門責任者が実際に発した言葉です。その責任者がここで言う「全人格」とは、「生き方」、掘り下げていくと過去の転職理由や、学生時代の遍歴も含めてのこと

      • #249 外発的動機づけと内発的動機づけの理想と現実 24/9/30

        こんにちは。 今日は、動機づけについて考えます。 考えるきっかけになったのは、半年ほど前に人事制度をチューニングを検討していく中での話でした。評価制度を運用する中に、評価をどのくらいの期間で回すか、それに基づく昇給機会をどう組み合わせるか、のアジェンダがあります。 どのくらいのサイクルで評価を回すかは、目標設定ともリンクします。目標設定は、概ね1年単位か半年単位か、に分岐すると考えます。この目標と評価査定のタイミングを完全一致にするか。あるいは、目標とその達成支援サイクル

        • #248 分析は誰が行なっても結果は同じ、考察に意味がある 24/9/27

          人事部門に限らず、企画管理部門に所属していると発生するタスクに、データ分析が挙げられます。この「分析」業務は、かなりの割合、おそらくは8割以上は作業になっていると感じます。 (実例を基に編集しています) たとえば先日、ある事業部門内にある企画管理部門の部長Aさんから人事部門に依頼の相談を受けました。 企画管理部長Aさん 「事業に所属する社員の性別、年齢、等級、役職のデータを毎月提供してほしい。毎月この集計結果を見て、議論するから必要なのです」 人事課長Bさん 「なるほど

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        #105 採用と人材育成のターゲット【2/2】24/3/10

        • #250 採用面接で全人格的に評価してしまう問題 24/10/2

        • #249 外発的動機づけと内発的動機づけの理想と現実 24/9/30

        • #248 分析は誰が行なっても結果は同じ、考察に意味がある 24/9/27

          #247 八方美人は戦略的には失敗する 24/9/25

          組織間や個人間で摩擦が起きたときに、双方の顔を立てる仲介者がいます。これは結果的に、双方からあまり信頼や感謝を生まないことが多いのではと考えます。 (実例を基に編集しています) 先日、ある部門の課長がメンバーの勤務実績を誤って承認したことがありました。給与支払い後だったため、遡及修正をかけて支払い直すことを給与計算チームに指示・依頼していたことがありました。結果的には、従業員の瑕疵は大きくなかったため、給与計算をし直し、支払いを修正します。 この件のコミュニケーション過程

          #247 八方美人は戦略的には失敗する 24/9/25

          #246 ジブン内複業のススメと使い方 24/9/23

          こんにちは。 今日は、副業・複業を考えてみます。 数年前に複業、パラレルキャリア的な言葉が生まれ、人事界隈でも一種のブームはやむところはありません。むしろ、もっと副業・複業化が進んでいくことが良い風潮のように加速しているように感じます。 企業の人事、事業部門人事の現場から見える景色とそれに対する考えを整理してみます。 まず、長期の時間軸をとれば、わたし自身も複業に賛成です。いろいろな仕事、職業を試してもらう仕組みは積極的に使っていくのが良いと考えます。 (実例を基に編

          #246 ジブン内複業のススメと使い方 24/9/23

          #245 田名網敬一氏「記憶の冒険」を鑑賞した感想 24/9/20

          こんにちは。 今日は、アート鑑賞の感想です。 先日、田名網敬一さんの大回顧展「記憶の冒険」@国立新美術館を鑑賞にいってきました。 田名網さんは1936年東京生まれ。『PLAYBOY』の初代アートディレクターを務め、雑誌や広告を中心に、日本のアンダーグラウンドなアートシーンを牽引されてきたそうです。1960年代からは、絵画、コラージュ、立体作品、アニメーション、実験映像、インスタレーションなどを制作に活動範囲を広げていきました。アートディレクター、グラフィックデザイナー、映

          #245 田名網敬一氏「記憶の冒険」を鑑賞した感想 24/9/20

          #244 ナラティブなストーリーを紡ぐ 24/9/18

          こんにちは。 今日は、一貫性の通った人事施策を考えます。 (実例を基に編集しています) 企画=問題解決、を立案する際に、オーソドックスな思考の進め方は、ありたい状態と現状の差分を抽出し、問題を定義する方法です。そして、その問題を解決するための課題設定=解決の方向性と具体的な解決策アクション、を決めます。 これがスタンダードかつオーソドックスな考え方です。わたしもこのセオリーにそって仕事に取り組むことが大半です。 これは、エンジニアリングの発想です。エンジニアリングとは、

          #244 ナラティブなストーリーを紡ぐ 24/9/18

          #243 観察力を磨くにはバイアスを理解する 24/9/16

          こんにちは。 今日は、観察力について考えます。 (実例を基に編集しています) 考えるきっかけになったのは、とある研修を運営したことです。マネージメント職対象に、コミュニケーションのトレーニングを実施しました。その中の1つに1on1を取り上げたコンテンツがありました。その中で、ロールプレイングを取り入れました。よくある話です。 そのロールプレイングを教材に、学習することが狙いです。その様子を見ていて、「観察する」ことを改めて考えるに至りました。 1on1、いわゆる面談のロ

          #243 観察力を磨くにはバイアスを理解する 24/9/16

          #242 対面研修の即興的ライブ感がいい 24/9/13

          こんにちは。 今日は、ナマ・Liveの強さ、を考えます。 先日、1on1の研修を実施しました。コロナ禍以降、オフラインで実施する、数少ない対面の形態でした。実施内容も新たに作り、これまでわたし自身は取り入れたことのない形式と、いくつかの観点でわたしにとっては小さな好奇心を積み重ねた実験的な位置づけでもありました。 その中で、圧倒的にライブ感を持って、その場の即興性をもって実施したのが、公開1on1です。わたしと、受講者の中からその場で手を挙げてもらい、1on1をほかの受講

          #242 対面研修の即興的ライブ感がいい 24/9/13

          #241 「◯◯率が低いから高める」課題設定は問題解決にならない 24/9/11

          こんにちは。 今日は問題解決の思考を考えます。 (実例を基に編集しています) 先日、採用チームメンバーAさんと、毎月の採用活動結果を採用オーダーの事業部門に行うために、報告書を作成する過程をともにしました。その時に引っ掛かりを覚えたことがあり、考えるに至ります。 Aさん 「○○部門の選考プロセス上の課題は、2次面接の通過率が低い点です。対策として、通過率を上げます」 「△△部門の課題は、母集団形成です。応募数が少ないです。応募を増やす対策をします」 Aさんはこのような報

          #241 「◯◯率が低いから高める」課題設定は問題解決にならない 24/9/11

          #240 論点とは意思決定の根拠になる問いであり、検討項目名ではない 24/9/9

          こんにちは。 今日は、何かを決めるときの論点、について考えます。 (実例を基に編集しています) 考えるきっかけは、かなり頻繁に見る機会がありますが、会議の起案やそのプレゼンテーションや商談打ち合わせにおけるシーンです。たとえば半年ほど前に人事制度のチューニングを検討するプロジェクトが走っていました。 そのときに、論点と示されたものは、たとえば、こんな解像度です。 等級制度はどの形をとるか? 何を評価するか? 何に対して報酬(金銭報酬)を支払うか? 雇用形態は、何パターン用

          #240 論点とは意思決定の根拠になる問いであり、検討項目名ではない 24/9/9

          #239 意思決定するとは事前に変えることに合意すること 24/9/6

          こんにちは。 今日は、意思決定について考えます。 (実例を基に編集しています) そろそろ多くの企業が下半期に向けて、事業運営の大きなPDCAを回し、組織編成や人事を検討する時期の真っ只中に差し掛かっているのではないかと想像します。当社も半期単位で大きな人事や組織改編を検討することが多く、今期もその最中です。 ある事業部門の営業チームの編成の変更が1つ大きな議題でした。現在の組織構造は、事業下のさらに各事業単位のレイヤ構造です。それを共通、横串に跨ぐように営業部門を編成して

          #239 意思決定するとは事前に変えることに合意すること 24/9/6

          #238 フィードバッカーの存在が学び・成長を左右する 24/9/4

          こんにちは。 今日は、個人の人材育成における重要要素を考えます。 (実例を基に編集しています) 考えるきっかけになったのは、次期中期経営計画の議論が始まり、その中で人材育成テーマにどのような問題設定をし、何を実行するか、議論に向けていくことです。その手前に、事業部門長とわたしたち人事での意識合わせを行ないます。 その前段に、現場のナマゴエをヒアリングをして、現場の状況を可視化することにしました。役職階層でいえば、事業部門長から、現場のメンバーまでをスコープにし、隈なくナマ

          #238 フィードバッカーの存在が学び・成長を左右する 24/9/4

          #237 決めた戦略に縛られず、優先順位を組み替える 24/9/2

          こんにちは。 今日は、問題解決策の実行を考えます。 (実例を基に編集しています) 考えるきっかけになったのは、わたしが所属する採用部門でのことです。 ここ4~5年ほどは、他社の採用部門との大きな違いは、採用部門が応募者の伴走者としてその応募者の転職課題に対して解決策の提案を行なうことを掲げました。そして、実行しています。 しかし、その戦略を方向転換することを決断するタイミングかも、と考えました。それは、足元の目標に対して、少しずつ遅れをとってきていることが見え、そのギャッ

          #237 決めた戦略に縛られず、優先順位を組み替える 24/9/2

          #236 人事制度や施策の運用には揺り戻しがある 24/8/30

          こんにちは。 今日は、人事の取り組みや施策の揺り戻し、を考えます。 (実例を基に編集しています) 考えるきっかけになったのは、事業部門長と従業員の評価とその報酬について、意見交換をした時の話です。今後の人事制度(ここでは特に評価と報酬制度を指す)のチューニングポイントについて発散的に話しをしました。 具体的には、マネージメント職と専門職のそれぞれを、かつ相対的に、どのように処遇していくのか、です。 ここ5~6年ほどは、各事業領域の専門知識に長けたスペシャリストを高く評価

          #236 人事制度や施策の運用には揺り戻しがある 24/8/30