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サーフ ブンガク カマクラ の歌詞に沿って物語を書いてみる

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サーフ ブンガク カマクラ の曲の歌詞に沿って物語を描いてみる④

腰越クライベイビー

夜の腰越海岸。遠く江ノ島を望み、静かな波音と、薄明かりの大洋。ぼんやりと考えるのは、
子どもの頃と今では海との接し方が違うということ。

腰上まで波に浸かって、傷に海水が染み込む痛み、そして涙目になって砂浜が滲む。自力では泳いで行けない所にブイがぷかぷかと浮かんでいる。

油性のペンで書いた手紙を瓶に詰めて、海へ泳がせる。
その宛先は、もう誰だったか忘れてしまった

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サーフ ブンガク カマクラ の曲の歌詞に沿って物語を書いてみる③

江の島エスカー

江ノ島に渡る白い橋は通る人の割に狭い。そして、長い割に渡っている時の体感時間は短い。

島に着いて、いろんな食べ歩きの店を横たえる坂を登っていくと、江の島エスカーは待っている。

エスカーとは、要は有料エスカレーターのことで、頂上まで約5分で行くことができるのだ。
湘南の広々としたパノラマを見渡すべく、このエスカーに乗るのだ。

江の島エスカーの搭乗券を買おうとし

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サーフ ブンガク カマクラ の曲の歌詞に沿って物語を書いてみる①

藤沢ルーザー  

人生においてルーザー、すなわち敗者とは何だろうか。たとえ成功せずとも、自分の夢を追い求めもがくことは敗者なのか。はたまた、やりたくは無いが安定した仕事で自分の気持ちを押し殺すことはどうだろう。  

そんなことを考えながら、今日も電車に揺られるAM8:05。JRは3番線のホームに滑り込み、社会人、ライナー、それぞれがごちゃ混ぜになって風景になっていく。こんな朝を繰り返してもう3

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サーフ ブンガク カマクラ の曲の歌詞に沿って物語を書いてみる②

鵠沼サーフ

嗚呼 リアルに何もないな。

大学生とはこれほど何もないものなのか。藤沢にある大学に進学した当初、自分のやりたいことを山ほどやってやろうと思っていたが、リアルに何もない。20歳を超えたら何かを大きく動かせると思っていたけど、そんなことは全くなくて、ただバイトして友達と飯食ってみたいな生活。

そんな時友達からサーフィンをしてみないかと誘われた。正直言って全く乗り気ではなか

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