鹿

奈良のシカ事情 / Circumstances Surrounding the Deer in Nara

今回のならあそびのテーマは「シカ」です。
間違いなく奈良の代名詞の一つであり、きんなら(近鉄奈良駅)周辺が生活圏の人であれば、ほぼ毎日見かける身近な存在のシカ。
しかし、その特徴や実態について知っている人は多くないのではないでしょうか。
そこで、今回はシカにまつわる次の疑問について解説します。
全体図には、この他のことも記載していますので是非ご覧ください。

→シカは増えているのか、減っているのか?
→シカを守るためにどのような取り組みがされているのか?
→シカの角が折れたら、また生えるのか?
→奈良公園が動物園のような臭いがしないのはなぜか?


(FBから直リンクで見ていただいている方は、下の図が拡大できないので見にくいと思います。お手数ですが、画像を保存するか、サファリなどのブラウザで開いていただくと拡大できます。)

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This text is Japanese only, but there is an English document summarized on this subject.
If you can not read Japanese, please see the following English document.
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1.全体図
■日本語 ver. (size: A4)

191130_意外と知らない鹿のコト_FIN_ol_アートボード 1

■English ver. (size: A4)

191130_意外と知らない鹿のコト_FIN_ol_アートボード 1 のコピー


2.疑問についての解説

Q. シカは増えているのか、減っているのか?

現在、奈良のシカは増加しており、2019年で1388頭が暮らしています。

アセット 1

増加の主な要因は、シカの死亡数の減少と思われます。

アセット 3

10年前は300頭以上が1年で死亡していましたが、2019年の死亡数は200頭以下になりました。
主な死因としては疫病が最も多く、次いで交通事故が多いです。
どちらもこの10年で減少傾向にあり、シカと人の共生環境が少しずつ改善されていることがわかります。


Q. シカを守るためにどのような取り組みがされているのか?

奈良のシカは、「奈良の鹿愛護会」が中心となって守っています。
「奈良の鹿愛護会」の活動は、毎年の頭数調査や奈良公園周辺の見回り、交通事故撲滅の啓蒙活動、傷ついたシカの保護と治療を行う「鹿苑」の運営など、多岐に渡ります。
この会の長年の活動がなければ、今日こんなにたくさんのシカを見ることは出来なかったかもしれません。
今回のならあそびのデータも、「奈良の鹿愛護会」が丁寧にまとめてくださっている情報をもとにして作成しました。
こうしたソフトの取り組みと併せて、ハードの取り組みもあります。
それが「鹿ゾーン」(下図の赤エリア)です。

アセット 4

このゾーン内には、奈良独自の道路標示と標識が設置されたり、舗装の色を変えたりして、ドライバーに注意喚起しています。
道路標示の赤色は、奈良県旗のカラーである「蘇芳色(すおういろ)」が使われており、落ち着いた色合いなので僕は好きな色です。

画像8

出典;http://mahono28.blog.fc2.com/blog-entry-104.html


Q. シカの角が折れたら、また生えるのか?

シカの角は折れても、また生えてきます。というより、自然に角は取れる仕組みになっています。これを「落角」といいます。
角を伸ばして落角するというサイクルを約1年かけて繰り返します。

アセット 5

ちなみに牛などの角は一生もので生え変わりません。
ちなみにちなみに、シカの角はオスにしか生えませんが、牛などの角はオスもメスも生えます。
ちなみにちなみにちなみに、牛などの角は英語で「ホーン(horn)」といい、鹿の角は「アントラー(antler)」といいます。


Q. 奈良公園が動物園のような臭いがしないのはなぜか?

あれだけたくさんのシカがいるのに、奈良公園はあまり臭くありません。
それは、奈良公園に優れた生態系が構築されているからです。
その立役者がコガネムシ、いわゆるフンコロガシの仲間です。
奈良公園内には40種類ものコガネムシが生息しており、彼らがせっせとシカの糞を運び、分解し、土の栄養に変えています。
その良質な土は野芝を育て、シカの餌になります。
特に奈良公園には「ルリセンチコガネ」という瑠璃色のコガネムシがたくさん生息しています。
今度奈良公園に行った際には、少しかがんで、ルリセンチコガネがいないか注目してみてください。

画像7

出典;https://www.insects.jp/kon-koganeoosenti.htm


3.さいごに

いかがだったでしょうか。
奈良のシカ、かわいいだけじゃないんです。
意外と知らないあれやこれやがあって、調べていて楽しかったです。
奈良のシカの楽しみ方は、鹿せんべいをあげるだけではないことが伝わればうれしいです。


おわり。

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