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元•教育実習指導教官が遺してくれた言葉

先日後輩教師が1人1台端末を実現している1年生対象の、ある教科で中間考査を紙のテストではなく、Chromebookを使い、Googleフォームで実施しました。

どれくらいの学校がCBT(コンピューター端末を使ったテスト)を意識して定期考査を実施しているのでしょうか。後輩教師のその取り組みについて会議の場で知らされたのは夏くらいだったと思います。それから事前に問題作成や生徒へのプレテストの実施などを何度も検討を進めていざ実施になりました。直前になると他の先輩教員から「パソコンの電源が入らなかったらどうするのか?」や「試験監督の先生がパソコン操作についてわからないからやめた方がいい」などという意見が噴出しました。その声を受け、学年主任として実施すべきかどうか、意見を求められ正直悩みました。

20代の頃は、生徒のためなら何でもやってあげたいと思っていました。そして後輩たちにも基本的には何でもやっていいよと思っていました。学年主任になると「調整」という言葉が常に頭にあります。とにかく自分一人では何もできないと痛感しているので、これが世に言う「中間管理職」ですかね。


その時、尊敬する先輩教師の言葉が頭をよぎりました。

「若い人がやってみたいと言っているんだからやらせてみよう」


これは以前その先輩教師が生徒会の顧問をしている際、会議で前例の無いことを「やりたい」と提案すると批判ばかり出てきて窮地になり、困っていると普段あまり発言しない年配の教師が言ってくれた言葉のようです。実はこの年配の教師は社会人を辞めた私が遅ればせながら26歳で教育実習に来た時の教育実習の指導教官の方でした。世界史についての知識は豊富でしたが生徒指導やHRクラスの清掃などはあまりやらない方で私の教師像とはかけ離れていたことを感じました。つまり当時あまり尊敬することができませんでした。


しかし、その先輩教師の話を聞き、心のどこかでずっとその「若い人がやってみたいと言っているんだからやらせてみよう」という言葉は私の心に刺さっていたのだと思います。その指導教官は私が同じ職場に勤めて4年後の夏、突然お亡くなりになりお別れも感謝も言うことができませんでした。


そんな言葉を今回意見を求められた際、数年ぶりにふっと思い出し、その指導教官の言葉そのままを私の意見として伝え、Chromebookでの定期考査の実施に賛同しました。


先輩教員の中で前例が無いことをやろうと言うと「来年度へ向けて議論をしていきましょう」という返答が多いように思います。その気持ちはとても良くわかり、リスクを取るよりは今まで通りやっていきたいということだと思います。まさに「調整」や「足並み」です。

GIGAスクール構想を受け、本校ではたった1年というスピードで1人1台端末の実現が達成できましたがこれを「来年に向けて・・・」という意見を鵜呑みにしてそのペースで行っていたらと思うとゾッとします。学年主任として、そして先輩教師として後輩教師が「これを初めてやってみたい」と提案して来た際、私はあの指導教官のような人間でありたいと改めて思いました。

自分の未熟さで教育実習では気付けなかったことを10数年振りに教えていただけたのだと思っています。本当にありがとうございます。またいつか難しいナポレオンの話を聞かせてください笑



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