見出し画像

EP.33 辞表を携え、社長と対峙。幹部メンバーとはガチンコバトル!!

画像9

いつもお読み頂きありがとうございます。今回はEP.32 迫ってきた崩壊の序曲、急拡大の陰にコミュニケーションミスマッチ⁉から続くエピソードです。こちらもご確認ください。

 全国展開中のいきいきらいふ、出店を進めて行く中で激減していく資金・・・。確保していた出店資金は、計画外の運転資金に消えていきました。

組織の真価が問われる状況での幹部メンバーをどのようにまとめていったか、メンバーから《青い炎をもった人》と形容される私の象徴的なエピソードになりました。


◆幹部全員辞表持参の経営会議⁉

 売上計画の未達、膨らむ赤字、会議での報告と実情の乖離に「先行投資!」と叫んでいた社長にも焦りの色が・・・。そして次々と起こる問題にも業を煮やし、

ついに、爆発!
「全員、辞表を持って●●日の会議に参加しろ!!」

 幹部全員にメールが飛びました。この時は、幹部同士のコミュニケーションもギクシャクしていて他のメンバーがどんな反応をしていたのかわかりません。
 私としては、「出せと言うのなら用意しよう」と思い取締役の辞任届を作成してカバンに入れました。ただ、辞めたところで問題は全く解決しない、そう思ったことを強く記憶しています。

 会議前日の夜、社長から電話がありました。

「明日の会議だけど、まず、お前が幹部全員の前で謝罪しろ。これはケジメだ。謝罪の上で、今後の対応について話をする。」

「俺が頭を下げることで何かがよくなるなら、別に構わないよ。冒頭に謝罪させてもらいます。」この時、私を飛び越えて(横に置き?)幹部とコミュニケーションをとっている社長には何か対応策があるのだろうと思っていました。

画像1

 会議当日、研修センターの大会議室に幹部メンバーが揃って座っていきます。会議室は重苦しい空気で、誰も会話をしません。最後に無言で社長が入ってきました。そして、一言。

「今日はなんで集めたか、わかっているな」

「会議が始まる前に謝罪させてもらっていいですか?この度は、全社を統括していながら、このような事態にしてしまい申し訳ありませんでした。言われた通り、辞表も用意してきました。」
 幹部メンバー全員の前で、社長に向かって謝罪をして辞表を机の上に出しました。
※この辞表、その後も常に持ち歩き、勢いで数カ月後に出すことになります。

「副社長から謝罪があった。今日は、辞表を持って参加してもらったが常に責任をとる気持ちでこれからの対応にあたるように。状況はとても悪い。各担当責任者は改善策を考えてすぐに動くように」

 この会議では解決策について議論されることはありませんでした。刻一刻と問題に対峙しないといけないのに・・・。
幹部メンバーも誰一人言葉を発することなく散会。各自の業務に戻りました。

◆「副社長だけいいカッコして!」

 この会議から数日して、幹部メンバーの一人から2人で話がしたいとアポイントの連絡がありました。プロフィット部門の現状を確認するにはいい機会だと思って話をすることにしました。

 場所は本社近くの喫茶店。創業より第3会議室として使っている場所にて待ち合せ。幹部も到着し、コーヒーを注文。幹部から話が切り出されます。

画像2

「今日はありがとうございます。いや、あれからずっとひっかかってるんですが、先日の会議のことです。副社長一人だけ、謝罪していいカッコして、なんなんですか?

んっ⁉ そんな話? そんな話で呼び出したの??
この言葉に愕然としました。今は、そんな話をしている状況じゃないでしょ。現状を打破するためにすぐにでも動かないと・・・。
と心の奥底で思いながら、話を聞きました。

 社長から謝罪の指示が出ていることは伏せて、現状の認識を擦り合わせと今後の対応について話をしていきました。この時に、誤解が解けたかどうかわかりませんが、社長ともダイレクトコミュニケーションをとっているメンバーからすると私の謝罪行動は、単なるカッコつけに映ったようでした。

さて、状況の打破には改善策が必要です。他の幹部メンバーも含め担当領域における改善策が出され、社長承認のもと実行されることになりました。このアクションプラン自体は的外れではありませんでしたが、ここまので活動でどこまで本気で実行するか、私は少し懐疑的に見ていました。
 そして、幹部メンバーの現状へ危機感、認識のズレに不安を感じながら。

画像3

結果は、2カ月経っても、案の定・・・。


◆覚悟を決めて、ドンパチ準備!

 資金調達方法については、第2、第3策を持っていましたがデメリットも多く、今後のことを考えればできれば発動したくない・・・。何より、資金調達の問題では、根本的な解決は図られない・・・。そんな状況の中、悶々としながら年末となり、2014年の年明けを迎えいよいよ腹を決めることにしました。

 資金調達にも限界がある、現在の状況を突破する策は立ててある。しかし、立て直すためにはあらゆる策を綱渡りのように成功させていく必要が!社長は一切動かない。限られた条件の中で、思考を巡らせて・・・

「やるべきは、幹部メンバーと本音で向き合うこと」

 ここまでは、どこかで優秀なメンバー、なんとかしてくれるんじゃないか、そんな淡い期待を持っていました。おそらくこれが間違いであると気が付きました。
創業から活動してきた私以上に、いきいきらいふへの想いを持っているメンバーはいない。これまで一緒に活動してきたメンバーの生活を守り、お客様へのサービスを継続していくためには、倒産を絶対的に回避しなければなりません。

1月のある日の夜、社長に電話を入れました。
「幹部メンバーとぶつかります。誰か辞めるかもしれません、仮にそうなってもどの道、これまで通り抜けた分は、私が自分でやるんでいいですよね。今のままだと持たないので。」

「お前がそう言うなら、好きにしたらいい」、言質はとった!もはや、覚悟の問題です。

この後、幹部メンバーの中で最も信頼していた管理部長に電話して、この件について話をしました。そして、私の行動については秘匿にするようにお願いしました。

行ったのは、幹部メンバーからのメール、電話連絡に対し一切無視。
 それまでの私は、原則電話は即折り返し、メールは24時間以内の返信をルールにしていましたので、私から一切の返信がないことに幹部は驚いたようです。留守電には何度も、「折り返し連絡が欲しい」とメッセージが残されました。

画像4


 1週間くらいして、そろそろ頃合いかと、コールされた携帯に出ました。
「副社長、どうなってんですか?何度も連絡しているのに!一度きちんと話をしましょう!!」と語気荒く、アポ調整となりました。
 故意に、相手を苛立たせる行動をとりました。本社にいましたので、会いに来ようと思えばいつでも会えたのですが、この幹部はそれをしなかったのです。

 本社に来ないだろうことは想定して・・・。このやり取り以前に、全社の改善行動をとる為に、研修センターを拠点としていたプロフィット部門を本社に戻し、アクションプランの管理とスピードアップを図る指示を出していたのに、私の指示には従わなかったのです。

(後で判明したことですが、メンバーからは、この幹部の指示で私の言うことは聞かなくてよいと言われていたようです。まぁ、社内の引き締め役だったので、支持率低くて当然です。ただ、一部の役割としての活動だけでなく、組織全体としての役割が全て機能しないと・・・) 


◆喧嘩売られてるんですよね! ガチンコバトル

 話し合いの場は、研修センターの会議室が設定されました。つまり彼らのホームです。そして、会議テーブルをはさんで対峙しました。

「副社長、なんなんですか?何度も連絡しているのにどういうつもりですか?」

「いや、だって私の指示には従わないでしょ。」

「えっ、なんすか! これって喧嘩売られてるっとことですか?」

「ああ、そうだ。喧嘩を売っている。」

「はぁ⁉ さすがに黙ってられないですよ、これ以上だと手が出るかもしれません」

「やるなら、やろう!」

画像5

この幹部は、テーブル越しに腕を振り上げましたが、そこで何とかストップ。腕はワナワナと震えていました。
 お互い大人でよかったです。ようやく本音で話ができる土壌が出来上がりました。

ここから、なぜ私がこのような行動をとったのか、現在置かれている会社の状況、会社やメンバーに対する想いを感情込めて話をしていきました。
  この幹部は、いきいきらいふのこれまでの勢いとこの現状でも社長が一切動かない状況に対し、「まだ余裕がある、資金に対しても隠し玉がある」そう思っていたとのことで、全く危機感が伝わっていませんでした。

 他人には見せられない、だいぶみっともない感情のぶつけ合いとなりましたので、詳細は書けませんがこの話し合い(喧嘩?)が危機突破への合意となったことは間違いありません。

 他の幹部メンバーとも、個別に本音の話をすることで意思統一を図っていきました。この翌月から、私が立てた経営改善および事業再生策をこの幹部メンバーと共に実行していくことになります。誰も辞めることなく!
 今回はこの辺で、話は次のエピソードに続きます。

画像6

さて、今回のエピソードでは、どんなことに気が付かれましたでしょうか?覚悟、覚悟ってどうやったら生まれるのでしょうか。そんなことを考えながら話を振り返ってみて頂けたら幸いです。


画像7
画像8


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?