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EP.9 通勤片道3時間⁉・・・崩壊寸前、初デイサービス管理者奮闘記!

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介護無資格、未経験の元部品メーカー研究者の無謀な挑戦!上場企業の理系研究者からリスクしかない起業をしたナラティブです。

 今回は、ラウンドテーブルミーティング開始1年前、離職率改善中に体験した現場再生エピソードです。私のデイサービス管理者のデビュー戦、29歳、新婚時、片道3時間、一日の1/4を通勤に使って通いました。温かく(?)寄り添ってくれた妻には感謝です。長男誕生の年でもあります。


◆管理者、現場リーダーの同時退職⁉

 離職率改善もある程度進んで、少し落ち着きをとりもどした組織にて事件は起こりました。1号店であるデイサービス(DS)西新井の現場が、完全に割れていたのです。管理者と現場リーダーが同時退職を申し出てきたのです。

男性管理者「こんな使えない人たちとはもう一緒に働けない😠」

女性リーダー「いや~、もっと動けると思ったんですけど、あの人たちダメです。もう、やってられない。〇〇さん(管理者)しか仕事してない😤」

「私たちは、もう辞めます😡」

いやっ、ちょっとまってよ。中心の2人が辞めたら現場どうなるの?と思いつつも、この女性リーダーは、別の事業所でお客様とトラブル起こして仕方がなく異動させて経緯もあり、悩みました。一応、引き止めの為にいろいろ話をしてみましたが、意志は固そうで私もそこまで引き止める気持ちも持てず・・・。

社長である友人に報告して、いろいろ考えた結果は!
受理!!自分が管理者やればいい。そう思いました。デイサービスは管轄外だったので初めてでしたが、四の五の考えずに行動することに決めました。

◆片道通勤時間3時間、自宅滞在5時間弱の生活!!

ただ、問題は、通勤アクセスが悪くメチャメチャ時間がかかるところだったのです。始発の電車は、5:45。新婚だった私は、妻を起こさないようにソロリと朝5時に起きて支度、静かに鍵を開け出ていく毎日。

この時間で、事業所到着が8:25・・・。勤務スタートは8:30。

 帰りももちろん3時間。現場仕事が終わったら、本社に移動し本社の仕事。帰りは終電で、自宅に到着1:00頃。寝るだけです。
 よくもまぁ、こんな生活を半年も続けたものです。新婚時ですから、三くだり半突きつけられなくて本当によかった。結婚15年を迎えました。

 因みに、長男が生まれたのもこの期間。なかなか出来た子でこのレアな自宅滞在時間に誕生してくれました。長男の誕生を確認して、そのままお客様の送迎の為に出勤。現場メンバーに伝えると、「すぐ帰ってください!!」と優しい言葉を頂きました。これは、このあと記載する記事の後のコミュニケーションです。

◆オ〇マ呼ばわりされたファーストコンタクト

 さて、退職を申し出てきた2人は、私があっさり受理したことが不服そうでしたが、そんなことは気にしない。辞めるとなれば、お客様のサービスに影響が出ないように現場確認と引継ぎです。

 何せ、デイサービスはじめてですので。2人が退職する1カ月前に赴任。一緒に働いてみれば、だいたい状況がわかります。これまでは、管理者と現場リーダーとしかコミュニケーションをとっていません。苦言とも忠告ともとれるスタッフ批判の情報の真偽は如何に?

管理者から業務の引継ぎの合間は、すべて介護業務。送迎、乗降、移動、体操、更衣、入浴、トイレ、食事、レクリエーション、記録、家族報告、ケアマネ報告、その他食事準備や掃除、翌日準備などほぼすべてをスタッフに付きながら実施。

現場が人間関係で崩壊している中、対立している管理者側の人間として見られないように業務を一緒に行いながら、いろいろ教えてもらいました。とにかくコミュニケーションには細心の注意を払い、下手に下手に話をしていくと、笑顔がチャーミングな年配看護スタッフから、

「本社から来た人だから、どんな怖い人かと思ったけど、きちんと話を聞いてくれるんですね。話し方があまりにへりくだっているからオ〇マちゃんかと思ったわ😚」

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!? クールドライで通ってきた私にとって、人生初の評価です・・・😱。そこから少し話し方を気を付けました。

現場業務はあらかた把握。スタッフとも一人ずつ仕事しながら話をすると、管理者・現場リーダーの評価とは違うものが見えてきました。そして、それぞれしっかりお客様のことを考えて行動していることがわかったのです。

◆不安いっぱいの残されたスタッフ達

 これは、立て直しへの光が見えてきたと思いました。ただ、現場リーダーにすべての行動を全否定され、オペレーション方法を強制されていたスタッフたちは委縮し、自らの意見を言うことはありません。コミュニケーションがなされなければ、問題頻発です。ついていけない新人は早期退職、マイナスのスパイラルの完成です。その他、スタッフの個人のお金がロッカーから無くなったらしく、それぞれ疑心暗鬼状態が続いていました。

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 中心の2人の退職を聞いた残されたスタッフ達は、これまでの関りから安堵するかと思いきや、不安がいっぱい。それもそのはずです。現場は退職する2名を入れてギリギリの人数。さらに指示を出していたのはこの2人でした。中心の2名の退職後、私一人が交代要員、1日25名前後のお客様ギリギリ6名で対応しているところを5名減ることになるからです。

 そこにデイサービス未経験の私が赴任したと言うことで、内心不安がいっぱいだと言うことを話してくれました。私もデイサービスは初めてなので、一先ず退職者2名がいる引継ぎ1カ月は、何も言わずに現行のやり方を全てマスターするように現場で一緒に汗を流しました。この間に様々な問題点を把握、課題の分析を行い、対応策を考えました。
 一番の課題は、安全性の担保。サービス提供においての危険性箇所が散見され、さらにコミュニケーション不和による申送りがスムーズにされない実情を変える必要性を感じました。

中心2名の最終出勤日、業務終了時に2名から挨拶。

「私たちがいなくなったら、大変だと思うけど頑張ってください!😤」

◆対話を基本に、段階的オペレーション改善!

そんな、挨拶しなくてもいいのに・・・。と思いながらもスルー。全員が帰宅後、一人フロアのレイアウト改造!!少人数で安全性を担保して、サービス品質を下げない為に、フロアに対するスタッフの配置箇所を全て変更。それも、できる限りスタッフに負担をかけない方法を実践します。

 次の日の朝、スタッフとの朝礼の際に、レイアウト変更の趣旨を説明。1カ月見てきた中での解決策。中心2名はもういないので、やり方を変えていきます。

「そんなやり方、できません・・・😥」
「本当に大丈夫なんですか?😖」

「大丈夫!!責任は全部私がとるので、まずやってみてください!😆」

 私には、自信がありました。なんせ、1カ月も策を練る時間がありましたし、一緒に仕事しながらスタッフの力量も把握していたからです。一番の問題は、やり方を変えることに対するマインドです。ですので、変更を3段階に分け実践する方法をとりました。

Phase1 レイアウト変更による業務位置の改善
Phase2 オペレーションの簡易変更
Phase3 理想オペレーションの実行とスタッフ増員(余剰)

とにかく、一緒に行う。都度、振り返りのミーティングを行う。変わったことを確認する。対話を基本に関わった成果なのか、現場の人心掌握は1カ月で完了し、スタッフ同士の協力体制が生まれ始めました。2カ月目には、スタッフの苦手領域や課題の改善に着手。スキルアップへ向けた勉強会と個別指導でおおよそ3カ月後には、手が足りない部分のみの手伝いで現場が回るようになりました。

「日下部さんの言うとおりになりました、前より楽に働けます!😂」

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 荒れた介護現場は、ほとんどがリーダーシップの不在。対話を持って、不安を払拭し、できることを一緒に証明していく。このスタンスが全て。この後も、業態、サービス種別を問わず立て直しの共通項であることを確認できています。

デイサービスの事業再生方法については、内容にボリュームがありすぎるのでまた別のところでご紹介します。

さぁ、このエピソードからどんなことに気が付きますか?


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