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マシュー・サイド著|失敗の科学

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今回はディスカバー・トゥエンティーワンさんから2016年12月25日に出版された、マシュー・サイドさんの『失敗の科学』をご紹介したいと思います。

本題に入る前に少しお知らせをさせてください。

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それでは本題です。

人は誰でも、自分の失敗を認めるのは難しいですよね。

ほんの些細な失敗でさえ、そうだと思うんですよ。

社会全体で考えても、失敗に対する姿勢は矛盾していると思いませんか。

自分の失敗には言い訳をするくせに、人が間違いを犯すと、すぐに責め立てる傾向にあるじゃないですか。

2014年に韓国で大型旅客船の転覆事故が起こったんです。

それに対して、事故の調査さえ始まっていない段階 で、「許すことはできない、殺人行為に等しい」と言って、船長を糾弾したんです。

要するに、誰も当事者の立場に立って「何か複雑な原因があったのかもしれない」なんてことは考えないんです。

こうやって失敗を責めると何が起きるか…

それは、誰もが失敗を隠すようになるんです。

これは企業でも、チームでも同じなんです。

失敗を責める文化や、犯人探しが当たり前になってしまっては、誰もが失敗を隠すようになるし、誰も挑戦しなくなるんです。

失敗は、学びに欠かせない貴重な情報源です。

それを活用することのないまま、葬り去ってしまうことになるんです。

何か間違いが起こると、その経緯よりも、脊髄反射的に「誰がやったんだ」と、追及する人がいますが、私は本当に不毛だと思っていて、そういう人がいる企業やチームは間違いなく弱くなっていくと思ってます。

それよりも、「失敗は学習のチャンス」だととらえて、非難よりもまず、「何が起こったのか」を詳しく調査するべきなんです。

本書は、なぜ失敗が起きてしまうのか、そして失敗から何を学び、どう活かしていくべきなのか、医療業界や航空業界などの具体事例とエビデンスをもとに解説されている一冊です。

その中から、失敗から何を、どう学び、そして同じ失敗を繰り返さないためにも、私がこれは大事だと思ったものを3つご紹介したいと思います。

分析はブラックボックスを信じろ

ブラックボックスといのは、飛行機に設置されているレコーダーのことで、機体の動作に関するデータや、パイロットたちの音声を録音したものです。

失敗を分析する際は、人間ではなくブラックボックスを信んじなきゃダメなんです。

人の記憶なんてものは曖昧なうえに、多くの場合人は、自分の信念と違う事実を突き付けられると、自分の過ちを認めるよりも、 事実に対しての自分の解釈を変えてしまうんです。

次から次へと都合のいい言い訳をして、自分を正当化してしまうんです。

これは「認知的不協和」といって、自分が正しい思っていることと事実が矛盾していると、不快感やストレスを感じてしまう状態のことです。

この認知的不協和によって失敗の事実を突きつけられたとしても、都合のいいように記憶を書き換えてしまうんです。

そういった人の記憶に頼るのではなく、ブラックボックスの正確な記録を元に失敗を分析して、本当の原因を突き止めるんです。

航空機にはブラックボックスの設置が義務付けられていて、ほぼ破砕不可能な「ブラックボックス」が装備されているんです。

事故があれば、このブラックボックスが回収され、データ分析によって原因が究明されるんです。

そして、二度と同じ失敗が起こらないよう速やかに対策がとられているんです。

その結果、1912年当時には、飛行機事故によって2人に1人以上の割合で命を落としていたのが、状況は大きく改善されて、2013年には、事故の起きる確率は240万回に1回、2014年には830万回に1回になっているんです。

ですが、失敗が許されない医療業界では、状況が大きく異なるんです。

1999年のアメリカの医学研究所の調査によると、毎年4万4000人~9万8000人が、 医療過誤 によって死亡していると発表されているんです。

さらに、その数は増え続け、今では、アメリカ国内だけで、毎年100万人が医療過誤による健康被害を受け、 12 万人が死亡しているんです。

これは、『9・11 事件』が、2ヶ月に1回起こっているのと同じなんです。

ではなぜ、こんなにも医療ミスが減らないのか。

それは、医療業界はブラックボックスを設置しているわけではなく、これまで、事故が起こった経緯について日常的なデータ収集をしてこなかったんです。

すべて医者本人からの事後報告だけになっていたんです。

医療業界は調査嫌いで、「些細なことです」「よくあることです」といった言い訳を並べたうえに、事故後の説明では「最善を尽くしました」「避けようがありませんでした」と報告されてしまっては誰にも真相が分からないんです。

これは、真相をかくす悪いブラックボックスになってしまっているんです。

大事なのは、真相かくすブラックボックスではなく、飛行機業界のように、自動で記録してくれるブラックボックスを設置すべきなんだと思います。

完璧な集中は失敗を招く

集中にはいい集中と悪い集中があって、ものごとが上手く進んでいるときの集中というのはよりパフォーマンスが上がって、成果につながりやすいんですが、何かトラブルが発生したとり失敗したときの集中というのは、さらに最悪の事態を招いてしまうことがあるんです。

本書の具体事例で、1978年 12 月 28日の午後、ユナイテッド航空173便が、ニューヨークからオレゴン州のポートランド空港に向けて飛び立ったんです。

天気は快晴。飛行条件はほぼ完璧でした。

操縦を任されていたのは、飛行歴25年以上の機長と、パイロット歴13年の 副操縦士でした。

飛行は順調で、なんの問題もなく目的地付近まできて、いよいよ着陸態勢に入るために車輪を下げようとして、機長がレバーを引いた瞬間「ドンッ!!」という音がして機体がゆれたんです。

そこで機長は、もしかしたら車輪が出でいないかもしれないと判断して、確認できるまで着陸せずに飛行を続けたんです。

ここで機長のスイッチが入って「完璧な集中モード」になってしまったんです。

その結果、車輪のことに集中しすぎたあまり、燃料がなくなりかけていることに気づかなかったんです。

そしてついに燃料がなくなり、墜落してしまったんです。

しかし、幸か不幸かこの事故で、機長は生き残ったんです。

後のブラックボックスなどによる調査で判明したのは、副操縦士が何度も機長に「燃料がなくなる」と言っているのにもかかわらず、機長は車輪に集中していて全く聞こえていなかったんです。

機長への聞き取り調査でも、「なぜ燃料がなくなりかけていることに気づかなっかのか?」と問われて、機長は「燃料がいきなりなくなったんだ」と、答えたんです。

これは、集中しすぎたあまり、時間の感覚が飛んでしまったんです。

失敗やトラブルが起きたときは、それを何とかしようとして集中してしまいがちですが、大事なのは、そういう時こそ周りの意見に耳を傾けることなんです。

マーチナル・ゲイン

マーチナル・ゲインというのは「小さな改善」という意味で、シンプルな考えですが、この「マージナル・ゲイン」というアプローチは、今やさまざまな分野で注目を浴びているんです。

Googleやメルセデス・ベンツをはじめ、軍隊でも参考にされているほどなんです。

さらに、イギリスのスポーツ界では、マージナル・ゲイン専門のアドバイザーを雇っているチームもあるくらいです。

そのマーチナル・ゲインによって成果をだした本書の事例が、

お世辞にも強いとは言えなかったイギリスの自転車競技のチームに、ブレイルスフォードという人がアドバイザーとして参加したんです。

そして彼は「5年以内にツール・ド・フランスで優勝する」と宣言したんです。

それを聞いてほとんどの人が「そんなのは無理だ」と笑ったんです。

しかし、その3年後にイギリス人初のツール・ド・フランス総合優勝を果たしたんです。

ブレイルスフォードは、最も効率的なトレーニング方法を検証するために、選手たちのパフォーマンスを小さな要素に分けてすべて測定し、詳細なデータベースを作成したんです。

たとえば専用マットレスや枕の導入。これによって、選手たちは眠る場所が変わっても、同じ質の睡眠を得られるようになったり、新たなホテルに宿泊するときは、まずスタッフが選手の部屋に掃除機をかけ、感染症の予防をしたり、ユニフォームは、肌に優しい洗剤で洗濯して、快適感をアップしていたんです。

これらは、どれもマージナル・ゲインから生まれた施策なんです。

大事なのは成果につながる要素を、少しづつ改善して、それを積み重ねていくと大きな成果につながるということです。

成功はひとつの大きな目標を達成したかのように感じてしまいますけど、実際には小さな改善の積み重ねだということです。

今回は以上です

最後まで読んでいただき、ありがとうございます

それでは素敵な1日を

読書家のヒデでした

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