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短歌№1-30

30
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2022年9月の記事一覧

あなたとは
ふたりでいきたい
とこじゃなく
ふたりしかいない
とこへいきたい

目が合った
レンズ越しに見た
その先の
静かにゆれる
あなたのまつげ

衝動が
溢れて溺れて
しまうから
いまは水面を
揺らしたままで

息ひそめ
目が合うたびに
ノックして
窓をあけるよに
眼鏡をはずす

あてもなく
千切れた雲の
むこうへと
くるり回った
一羽の鳥よ

そういえば
今日は十五夜
なんですね
空を指差す
あなたが綺麗

はじめから
そういうつもりは
なかったと
大好きなんて
言われて浮かれ

感情に
名前をつけて
呼ぶ度に
取りこぼされた
なにかが呻く

君の言う
拭えないほどの
鈍色は
油絵でいうと
ほんの下塗り

秋風が
吹けばさらさら
鳴り響く
見渡す限りの
金色の稲

風を切り
エンジンの音に
溶けていく
奥田民生の
『イージューライダー』

少しづつ
記された音が
いつの日か
溢れんばかりに
耳に届いて

誰にもね
言えない恋だと
言う君の
一番近くに
僕はいるのに