日本の税率が高いからと、日本の富裕層が海外に移動することなんて本当にあるのか?(大学生のレポート向け)
有名な事件では、武富士事件があります。
大手消費者金融の武富士 の創業者武井保雄 元会長の長男、武井俊樹氏が、香港に名義だけの支店を作りました。
武井俊樹氏は香港在住の時に、武井保雄氏とその妻が武富士の株式の多数を株式を保有するオランダ法人のものとしていましたが、その出資持分の贈与を受けました。
ここでのポイントは国内にあった株式をオランダに移し、オランダにある資産を、武井俊樹氏が香港で贈与されたということです。
日本の武富士の株式が、日本の国外と国外で贈与されたということです。
当時の相続税法では、海外の居住者が、海外の財産を贈与または相続で取得した場合は課税対象外となり、日本の贈与税または相続税は課されないとされており、贈与をうけた武井俊樹氏も贈与税の申告はしませんでした。
贈与時に、日本を挟まないという手段に出たわけです。
この贈与に対し、所轄税務署長は贈与税の決定処分を下し約1330億円贈与税を課すこととしました。
その理由は、住所の考え方でした。
所轄税務署側は、香港の住所は、税務上の住所ではない。税務上の住所は国内の家にある主張しました。
武富士元専務への課税取り消し 2000億円還付へ https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG17022_Y1A210C1000000/
その根拠は、香港の住まいはホテルのような様式あり、生活のすべてを移転したとものとは言えず、これは税負担を回避することが目的ものであると判断したためです。
更に税務署側は、この税負担を回避すべきスキーム等を考えた弁護士、公認会計士等が、武井俊樹氏の日本国内に滞在する日数を税法上の住所の要件を超えないように指導していた事実などをあげていました。
武井俊樹氏はこれを不服として、裁判に踏み切りました。
東京地裁は、香港に住民票も移転してある事実をもとに、武井俊樹氏の住所は、国内の住所という論拠には無理があるとして、税務署側の敗訴となりました。
法律では香港が住所ですから、意図的と断定は出来なかったわけです。
税務署側は上告し、東京高裁は、税負担回避の意図的な海外移転であると判断して、国の逆転勝訴となりました。
こちらは弁護士、公認会計士等が法律を意図的に使ったということです。
これにより武井俊樹氏は、延滞税を含めて約1600億円の贈与税を国に納付しました。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/702/036702_hanrei.pdf http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/702/036702_hanrei.pdf
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