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479.【WACK峮峮スピンオフ#37】マジックJulieと緑の教会

大家好。WACK峮峮スピンオフの37回目、第1部の23回目です。峮峮(チュンチュン)が最終フォームへ、今回はJulieがノートガルドの街に初登場です。

これは「WACK峮峮スピンオフ#36」の続きに当たります。「WACK峮峮スピンオフ#36」は次のリンクをご覧ください。

🍒 🍒 🍒

如水珈琲店で雑談している、ワディさん、うさうさんかこさん。3人は峮峮Julieを待っていた。何でも示唆的なことがあったので試してみたいという話だった。

かこさんは最終フォームの衣装ができたので持ってきていた。その衣装は豪華なデザインで、時間をかけて作られた力作だ。

そして、峮峮Julieポンちゃんが入ってきた。Julieはノートガルドの街に来るのが初めてで、少し緊張ぎみだった。峮峮Julieを紹介する。

「皆さん、Julieを紹介します」
「Julieです。はじめまして」
「ワディです。町長やってます。あれ~、これまた美人さんやな~」

Julieは身長168.5cmと長身で、台湾とタイのハーフ美人。台湾ではモデルとしても活躍しているJulieに、ワディさんはつい私的感情に走っていた。

そんな光景を笑いながら、うさうさんかこさん、マスターのさんの紹介が進んだ。

「ところで示唆的なことって何?」

ワディさんが峮峮に聞くと、いたずらっ子ぽく目を輝かせて、峮峮は両手を見せた。

「ジャ~ン!」

峮峮の両手首には金色のバングルがはまってる。バングルは細めで、おしゃれな女性のアクセサリーという感じだ。かこさんが聞く。

「わぁ綺麗!これどうしたの」
「Julieのプレゼント」
「うん、ちょっと遅れた誕生日プレゼント。ホントは純金とか、もっと太いのが良かったんだけど、お金がね」
「でも金入ってるんでしょ。ゴールドプレーテッド」

そんな2人の笑顔に和んだ店内だったが、Julieが続けた。

「これって夢で見たことなの。その夢には3つの課題があって、一つはこの金のバングル、そして次はオキトの筒……」
「Julie、マジック!みんなに見せてあげて。うまいんだから」

峮峮のその言葉に、Julieがオキトの筒を取り出す。銀色の3つの筒を使ったマジックだ。

「あ、待って。こういうときはこの音楽だよね」

ワディさんがスマホから「オリーブの首飾り」の音楽を鳴らした。

チャラララララ~♪

Julieがニッコリして、オキトの筒を実演する。空の筒から出てくるシルクのハンカチ、白、青、黄、赤、緑と出てきて、最後は花束!Julieの慣れた手つきに魅せられ、みんな一斉に拍手した。

「ありがとう」
「そのオキトの筒にね、最終フォームの衣装を入れるんだって」

峮峮がそう言って、かこさんを見た。

「これ?衣装はできてるけど」
「わぁ素敵!」
「綺麗ね!あれ、これ筒の中に入るのかな?」
「いいよ、いいよ。素敵な衣装を着られる方が大事!」

峮峮Julieが喜んでる姿に、かこさんも笑顔になる。Julieが言った。

「まずは、金のバングルを峮峮にプレゼントすること、次に、オキトの筒に最終フォームの衣装を入れること……」
「え、この衣装を入れるの?はみ出しちゃうね」
「いいんじゃない、大体で」

かこさんの疑問に、あっけらかんと答える峮峮ワディさんが言う。

「最終フォームの衣装ってことは、最終フォームに変身するってことかな。最初がバングルで、次がオキトの筒に衣装?なんかよくわからない。白ちゃんわかる?」
「いや、全然。ところで3つ目は何?」
「3つ目は『緑の教会に行くこと』って言われたんだけど、台湾で探しても全然わからなくて……」

Julieがそう言うと、これは簡単とばかりにワディさんが言う。

「緑の教会なら隣にあるよ。凛ちゃんの教会だね」
「緑川凛ちゃんの教会……なるほど、2人がノートガルドの街に来た訳はこれか」

ワディさんとさんがうなずいた。

† † †

St.Mikarin教会。ノートガルドの街ソフィア地区にあるその教会は、さんの大書院に隣接していた。ベージュのシックな建物だが、尖塔の十字架は威厳を示していた。教会に向かうと、グレーの帽子にブルーのワンピースを着た緑川凛さんが出迎えてくれた。

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「最終フォームに変身ですか。難しいけど、できる限りのことをいたしましょう」
「よろしくお願いします」

そう言って頭を下げる峮峮緑川さんはみんなに向かって言った。

「これはかなり真剣に取り組む必要があります。峮峮さんご本人と、通訳のポンちゃん以外はお引き取りください」
「なるほど。じゃあ終わったら連絡してください。白ちゃんの所にいますので」

ワディさんはそう言って、他の人と共に如水珈琲店で待機することにした。峮峮ポンちゃんは、緑川さんに案内されて、教会に入った。

しっかりとした石造りの礼拝堂。アーケードの上にも会衆席が設けられており、かなりの人数が礼拝できるようになっていた。祭壇は十字架を中央に、左右に3台ずつの燭台があり、その左右には白いユリの花が捧げられていた。

祭壇の上には、ブルーを基調としたステンドグラスが3つ並び、東の光を受けて煌めいた。ファサード部分に作られたバラ窓のステンドグラスには、花束を背景に、右手に天秤を持ち、左手に鎌を構える自由の女神が描かれている。これは、以前訪れた「個」展を開いている如月桃子さんの手になるものだ。

「すごく厳粛な感じですね。でも優しい……」
「そう!そう感じ取れるのは大事ですよ」

峮峮は、ここでリュックから封筒を取り出して言った。

「これ寄付です。お受け取りください」
「何か必要なものはありますか?」
「いえ、これは純粋な寄付ですので」
「それは殊勝な心がけです。きっと良い結果がもたらされるでしょう」

緑川さんはロザリオを取り出して言った。

「峮峮さん、あなたには特別にロザリオを差し上げましょう。言葉の壁を乗り越えて、一緒に祈りましょう」

峮峮緑川さんの後に付いて、祭壇に向かって祈りを捧げた。祈りを捧げているとき、これからどうなるのかということは念頭になく、祈りの心地よさに身を任せていた。そんな純粋な峮峮の祈りは、緑川さんにもよく伝わってきた。

「峮峮さん、素晴らしい!やはりあなたは素質ある方なのですね」

それから次に、長椅子に横になるよう、緑川さんは峮峮に言った。長椅子には赤いクッションが敷いてあって、心地よかった。峮峮は指示に従って、仰向けになった。

「オキトの筒はどうしたらいいですか?」
「お腹に載せてください。そして楽にしてください。それぞれの関節を軽く揺すると、力が抜けていきます」

緑川さんの言葉に従って、峮峮は体の力を抜いていった。

「神の栄光がもたらされんことを。アーメン」

峮峮は深い眠りに落ちていった。

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さあ、峮峮の最終フォームへのステップが始まりました。次回でいよいよ第1部終了です。

さて、今回登場していただいた方のご紹介です。また、ご登場の方の記事をリンクしていきます。

WACKの関連記事は次のマガジンから。

今までのWACK峮峮スピンオフは次のマガジンからどうぞ。

峮峮スピンオフは、再び動き出しました。

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