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433.【WACK峮峮スピンオフ#18】峮峮(チュンチュン)色欲の悪魔アスモデウスと対決!

大家好。WACK峮峮スピンオフの18回目、第2部の4回目は、色欲の悪魔アスモデウスとの対決です。これは「WACK峮峮スピンオフ#16」の続きです。「WACK峮峮スピンオフ#16」は次のリンクをご覧ください。

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シーザーの宮殿。ノートガルドの街にある「シーザーズ・パレス」、それはラスベガスのカジノホテルと提携している。建物は2棟と本場ラスベガスより少ないが、古代ローマを模した建築、中庭の噴水など、それはラスベガスを彷彿とさせた。

ホテル内のカジノは豪華絢爛で、カジノフロアでは、バカラ、ブラックジャック、ポーカー、ルーレットといったテーブルゲームや、スロットに興じる客が引きも切らない。派手なライティングとめくるめく喧噪に、カジノ客は酔い続けた。

峮峮チュンチュン)が地図に導かれたのは、このシーザーズ・パレス。人々が多く出入りするこのホテルで、どうしたものかと、ホテルの中庭を所在なげに歩いていた。

すると、そこにUFOが現れた。有名なアダムスキー型、ナチスが開発したハウニブだ。音も立てず、ゆっくりと回転しながら、その中庭に降りてきた。

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「何のアトラクションだろう」と思った峮峮、UFOを見ていると、UFOの底部にある3つのライトが明るく輝き、そこから発せられた光が中央の炉心部で交差した。その炉心部が赤く輝き始めたと思うと、そこから一筋の光が地上に向かって降りてきた。中には人影が見える。

UFOから降りてきた人物、その人物は峮峮に向かって歩いてきた。その姿が確認できたとき、峮峮は卒倒しそうになった。

「兄さん……」

その人物とは、死んだはずの小鬼(エイリアン・ホァン)だった。峮峮は目を潤ませて言った。

「兄さん、どうして……」
「峮峮、すまない。突然呼び出しを受けてね、飛んでいかなければならなかった。エイリアンの仕事がようやく終わったんだ。会いたかったよ、峮峮」

峮峮は涙を止めることができなかった。小鬼へと歩を進めた。2人が近づくと、ガシッ!と鈍い音に遮られた。峮峮が驚くと、小鬼が空間をまさぐり、ドンドンと叩いた。

「結界……?」

そのとき天から声が聞こえた。

(それはインキュバスだ!峮峮、お前のエネルギーが吸い取られるぞ!)
(当麻……?そうなの?)
(ヤツに騙されるな!もう一つアドバイスだ。アスモデウスは魔力を初期化する短剣を持っている。注意しなさい)

峮峮は半信半疑で小鬼を見た。人間だったら問題なく入れるところ、なぜかこちらに来ることができないでいる。

「インキュバス……なの……?」

そのとき小鬼が短剣を振りかざした。短剣が結界に刺さると、結界が消え、小鬼が突進してくる。峮峮は間一髪それをかわすと、短剣を振り回す小鬼と対峙した。

「兄さん、やっぱりあなた……」

峮峮もバングルから聖剣を取り出して応戦する。聖剣の威力に押され、短剣のスピードが弱まり、そして短剣が折れた。短剣が折れるのを見るや、峮峮はバングルを交差させた。

炸裂……変身!

変身すると、峮峮は戸惑った。そこには小鬼がいる。短剣を折られた小鬼は、哀願する眼差しを峮峮に向けた。その瞳に動揺を隠せない峮峮だったが、意を決して聖剣を振り下ろした。

聖剣から発せられる青い光に悲鳴を上げ、真っ二つに切り裂かれる小鬼小鬼は赤茶けた姿を崩していく。峮峮は思わず顔を背けたが、次の瞬間ぎょっとなった。

真っ二つに切り裂かれた小鬼が溶解し、赤茶けた姿が黒い影となって地面に伸びていく、いや這っていく。それはサソリの大群だった。

「インキュバスだったか。今度はサソリ……」

サソリの大群に向けて、聖剣を振り下ろすが、サソリが多すぎて埒が明かない。これではエネルギーを消耗するだけと見た峮峮、サソリから身を引いて、距離を置いてその光景を見守った。すると、サソリは小山のように集まり出し、巨大な影を作り始めた。

その影は、ガチョウの足、毒蛇の尻尾、牛・人・羊の頭を作り出し、赤茶けた色のアスモデウスが姿を現した。

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「色欲の悪魔アスモデウス!よくも兄さんを使ったな!」

炸裂!チュンチュン剣~!

そう峮峮は叫んだが、聖剣からは何の光も出ない。

「うはははは……。峮峮とやら引っかかったな。お前のエネルギーは吸い取った。その聖剣には、もはや何の力もない!」

アスモデウスの笑い声がシーザーズ・パレスに木霊する。しかし、次元が違うのか、それに呼応する人々はいない。シーザーズ・パレスには奇妙な静寂が支配していた。

そしてアスモデウスは口から火を吐いた。凄まじい炎がドラゴンとなって、峮峮を襲う。峮峮は聖剣を振りながら、かわし続けた。しかし体力がどこまで持つか、不安が支配していた。

噴水を背にして、ドラゴンの炎を防ごうとしたとき、息が上がった。峮峮は開き直って、聖剣を高く掲げた。

水啦スイラー

チアリーダーのときのクセで、思わずそう言葉を発すると、突然空が白くきらめき、落雷のように白い光が聖剣に注がれた。聖剣が白い光に満たされ、輝きを取り戻す。そしてドラゴンを一閃!

「バ、バカな……」

アスモデウスは狼狽し、逃げようと動揺した。峮峮は逃さなかった。

炸裂!チュンチュン剣~!

峮峮がそう叫んで聖剣を振り下ろすと、今度は聖剣から透き通った青い光が放たれた。そのまぶしい青い光に打たれて、アスモデウスは恐怖の叫び声を上げて消滅した。

峮峮は呆然と立ち尽くしていた。今起きた状況が飲み込めなかったのだ。ゆっくりと変身を解除すると、小鬼のことを思い出して、胸が詰まった。涙が止まらず、そこにへたり込んだ。

「兄さん……」

🍒 🍒 🍒

少し黄鴻升小鬼エイリアン・ホァン)氏について。小鬼氏は「鬼哥(Guǐ gē)」、つまり「鬼さん」というあだ名で呼ばれていました。この「」には「兄」という意味があるので、ここでは「兄さん」という言い方にしております。

自分のことを「エイリアン」と称していた小鬼氏、今回はそんな彼のモチーフを取り入れました。

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今までのWACK峮峮スピンオフは次のマガジンからどうぞ。

峮峮スピンオフは、のろのろと続きます。。

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