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『失敗しない服選び理論 「骨格」を知れば誰でも簡単おしゃれ』第1章まで無料全文公開!

2020年8月3日に発売された書籍『失敗しない服選び理論 「骨格」を知れば誰でも簡単おしゃれ』(著:豊岡 舞子 監修:師岡朋子)の第1章までを無料公開いたします!

内容紹介

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本書は男女を問わず全ての方が「自分に似合う服が選べるようになる」ことを目的としています。その手がかりとなるのが「骨格」です。

骨格はその人が生まれながらに持っているものであり、太ったり痩せたりしたとしても変わりません。そして、この骨格タイプによって似合う服の特徴が全く異なります。

本書では、まず簡易の骨格セルフチェックを用意しています。ご自身の骨格タイプを把握したうえで、そのタイプ毎に服やアクセサリーの具体的な選び方を徹底的に解説しています。

服選びに必要なのはセンスではなく理論です。さあ、一生使える服選び理論を体感してみましょう!

【目次】
はじめに
第1章 なぜ今、骨格診断を学ぶべきなのか?
 服が似合わない原因は「骨格に合っていないから」
 ビジネスマンこそ自分に似合った服を着ることが重要
 私が着物を着て売り場に行く理由
 なぜオーダーメイドスーツはカッコイイのか?
 好みの服と似合う服が同じとは限らない
 ファッションは“自分に似合っていること”が最大の鍵
 骨格は民族によって大きく異なる
第2章 骨格診断の理論を知れば似合う服がわかる
 骨格は大きく分けて3タイプ
 タイプを見分ける4つの軸
 実は骨格タイプにかっちりと当てはまるのは難しい
 自分の骨格を診断してみよう!
第3章 服選びの方程式。この3つだけ押さえよう
 服選びはサイズ感・素材・柄が大切
 サイズ感は重心を意識することが大事
 素材によって見た目の印象が大きく変わる
 骨格によって似合いやすい柄も異なる
第4章 自分の骨格に合った服・アクセサリーの選び方
 アウター(コートやジャケットなど)
 ニット・セーター
 Yシャツ・ブラウス
 Tシャツ
 ボトムス(パンツ・スカート)
 スーツ
 着物・浴衣
 革靴・スニーカー
 鞄・バッグ
 腕時計
 毛皮
 ジュエリー・アクセサリー
 【コラム】オンラインショッピングで間違えないコツ
第5章 苦手なアイテムを取り入れるカスタマイズのコツ
 どう見せたいかを意識する
 理論を応用して得意な土俵に近づける
 【コラム】男女で服を共有できるタイプの組み合わせ
おわりに

※本書は各電子書籍ストアにて好評発売中です。

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はじめに

 はじめまして。豊岡舞子と申します。私は着物やジュエリー、ドレスなどを販売する株式会社三松でファッションアナリストとしてお客様にアドバイスをしています。

 私は演奏会用のドレスやウェディングドレスの販売員としてキャリアをスタートしました。そして、お客様への接客を通してじっくり考えるようになったことがあります。それは「顔立ちも体型も違うお客様にどうしたら大切な日に最高に輝けるための衣装を提供できるのか」ということでした。

 体型に合わせたお直しをするのはもちろんですが、同じドレスでもお客様の体型に合わせてコーディネートはすべて変え、100人100通りのコーディネートの提案をすることにしました。そうしたことを10年ほどかけて、いつの間にか気づけば1万人以上のお客様の体型を見ていました。

 その後は、ブランドマネージャーとしてコンセプト作りや販売員のマネージメントをする立場になりましたが、実は1つだけ悩みがありました。それは、販売員時代に得た自分のノウハウを体系的な1つの理論として明確かつ論理的に説明できなかったことです。

 もちろんお客様に何かアドバイスをする際は、大きさやバランスなど自分なりの理論をもとにご説明してきました。しかし、もっと明瞭に、もっと簡単に説明できる理論はないか。

 そう思っていた矢先に出会ったのが、人の骨格のタイプによって似合うものを分析できるという、本書のテーマでもある「骨格診断」です。

「これならお客様の体型に応じてファッションの楽しみ方を伝えられる!」

 そう考えた私は、骨格診断に関する資格の中でも特に実務に活かせる理論として役立てられる「骨格スタイルアドバイザー1級」の資格を取りました。

 その後、一般のお客様向けのイベントを全国で90回以上開催し、3年間で延べ900人以上の方にお越しいただいているほか、新規に設置された、ファッションコンサルティングルームのメンバーと共に、ファッションのアドバイスを行っております。

 骨格診断は最近よく耳にするようになり、一部では取り入れられたりしているものの、会社の方針として取り組んでいる企業はまだまだ珍しいと思います。

 また、小物などを含めた総合的なアドバイスはよくありますが、専門アイテムでの詳しい診断は弊社ならではの強みです。

 本書では、そうした多くの経験と実績データを踏まえた上で、自分に似合うトータルファッションの考え方をお伝えしていきます。

 骨格診断は“考え方”です。読み終わったときには今までのファッション感が覆り、きっと目からウロコが落ちたように感じると思います。ファッションに興味がある方はもちろん、ファッションに全く興味がないという方にとっては、服選びの「軸」がはっきりと持てるようになります。

 ぜひ本書を読んで、服選びで悩む日々とお別れしましょう!

第1章 なぜ今、骨格診断を学ぶべきなのか?

 第1章では骨格診断を学ぶ前に、ファッションに関する背景や前提知識を簡単にご説明していきます。

 骨格を診断するだけなのに、なぜファッションの背景やら基礎知識やらを知らなければならないのか? と思う方もいるかもしれません。しかし、服についての前提を知っておくと、「なぜ似合わないのか」から「服をビジネス戦略に使う考え方」まで俯瞰した状態で把握できるようになります。これを知っていると知らないとでは、服を選ぶときに格段の差が出てきます。

 次の第2章では実際にご自分のことを診断していただきますが、第1章はその前に必要な儀式のようなものです。しばしお付き合いください。

┗服が似合わない原因は「骨格に合っていないから」

 なぜか他の人と同じような服装をしていても野暮ったく見える人がいますが、その理由は「骨格」にあります。骨格で服の似合う・似合わないまで左右されているなんて、ちょっと驚きですよね。しかし、逆をいえば自分の骨格に合った洋服をチョイスすれば、似合う格好ができるというわけです。

 骨格の種類については後述しますが、人にはそれぞれ決まった骨格があります。着ている服が骨格の種類に合っていないと、どこかちぐはぐな印象を与えてしまうものです。たとえ同じ服でも、骨格が異なる人が着ると印象がかなり変わることがあります。テロンとしたシャツをエレガントに着こなす人もいれば、ただだらしなく見えてしまう人がいるように。

 また、例えばいつも1,980円のシャツしか着ていないのに、高級感を漂わせている人がいます。反対に20,000円以上もする一流ブランドのシャツを着ていても、サイズが合っていなければ貧相に見えてしまう場合もあります。よく「着慣れていないから」と口にしますが、着慣れている・いないの前に、そもそもその人の骨格に合っていないのです。

 きちんと洗濯されたシャツを着ているのに、なぜか清潔感に欠ける人なども同じです。その服自体が悪いわけではないのに着る人によってこうも印象が変わってしまうのは、“その人の骨格に合っていない服を着ている”からなのです。

┗ビジネスマンこそ自分に似合った服を着ることが重要

 服装は見た目だけでなく、その人の評価までも大きく左右します。

 例えばここに、2人のセールスマンがいたとしましょう。

 車のディーラーでも保険の販売員でも何でも結構です。1人はシワひとつなく張りがあり、自分のサイズに合ったスーツをビシッと着こなしています。

 もう1人は体より若干大きめのダボッとしたスーツで肩が落ち、アイロンをかけているはずなのに着ジワができて、ズボンの裾は足首あたりに余計なたるみができて、靴まで隠れているスーツです。

 さて、あなたならどちらの人と契約したいと思いますか?

 身なりは第一印象や信頼度にまで影響します。どんなに仕事ができる人でも、自分に合っていない洋服を着ていると、相手は違和感を覚え、その違和感はそのまま評価にまで及んでしまうのです。

 ファッションは信頼性だけでなく、ブランディングにも影響を及ぼします。男性も女性も、年齢が上がるほど社会的に上の立場になる人も多いですよね。社会的立場や責任を担っている人の場合、自己表現のためのファッションという以前に、立場相応のファッションが必要になってきます。

 つまり、ビジネススキルとしての服選びが問われるのです。

┗私が着物を着て売り場に行く理由

 面白い例をもうひとつお教えしましょう。私が売り場で販売する際、着物を着て売り場に入ると、売り場の雰囲気が一変します。着物を着ると自然と気が引き締まって、自分の周りにある空気が少しだけピリッとしますし、それはスタッフにも伝わっていることがわかるのです。

 こうした日々の体験から、着物はきちんとした人のイメージを持ってくれるという効果があることを実感しています。そのため私は、大切な商談のときは必ず着物で伺うことにしています。

 その効果は絶大で、洋服で商談に伺うと立ったまま待たされたりすることも多いのですが、着物を着て伺うと、ほぼお部屋に通されてお茶まで出してくれるのです。

 着物を着ている人はいわゆる“商談で来た人”ではなく、丁重に扱うべき“お客様”として認識されるのですね。これは、「着物の人は無碍むげにできない」という日本人の意識も影響しているかもしれません。

 着物は日本の伝統的な衣装なので、日本人なら誰しも、着物を着るということは「伝統を纏う」ということを無意識的に知っています。それゆえ、着物はかしこまったイメージがあるのです。現代では一部の人を除いて、式典などの特別なときしか着ないというのも1つの理由だと思います。

 また、着物を着ていくことは、“着物を着てお会いするほど大切な相手である”というこちらの気持ちの表れでもあります。それは当然相手方にも伝わります。ですので、着物を着た人が来社すれば、自然と丁寧な応対をしようという気持ちになるのです。

 このように着物ひとつで特別感を与えることができるように、着るものは影響力を持っているのです。

┗なぜオーダーメイドスーツはカッコイイのか?

 男性のスーツにも同じことがいえます。どこにでもある既製品のスーツを着ている人と、オーダーメイドで誂えたスーツを着た人とでは、醸し出される雰囲気がまるで違います。

 なぜオーダーメイドのスーツが独特な雰囲気を醸し出すのかといえば、第一にその人の骨格に合わせて作っているからです。

 また、オーダーメイドは首や胴体、腕や脚の長さや太さなどを細かく計測しますが、それだけでなく、その人の立ったときの背中の癖やよくする動作までを調査し、緻密に計算して作るのです。

 その他にも、似合う生地を選んでいることや、靴を履いたときのわずかな裾の好みなど、細かな点が“自分仕様”になっています。この世にたった1つのオーダーメイドは、袖を通したときから違うといいます。

 自分好みでよく似合うのは、自分に合うように作ったのだから当然といえば当然なのですが、抜群の着心地は「着ていないより着ているほうがリラックスする」といいます。その満足感や自分自身への優越感が立ち居振る舞いにも知らずうちに反映され、大量生産で作られたスーツを着ている人との差として表れるわけです。

 とはいえ、何から何までオーダーメイドで服を作っていたらキリがありませんよね。そこで骨格診断で自分の特徴を把握していれば、オーダーメイドとまではいきませんが、自分で洋服を購入する際にかなり自分に似合った洋服を選ぶことが可能です。

┗好みの服と似合う服が同じとは限らない

「ファッションには興味がないし苦手だから、いきなり骨格っていわれてもねえ」

 私が営業で伺ったある企業で対応してくださった男性の中に、こうズバリとおっしゃった人がいました。ファッション業界と無関係な男性の多くは、「骨格診断」というと、最初から否定的な場合が多いため私も慣れっこです。

 その人もたしかに「ファッションには頓着していないのかな」とわかるような、あまり似合っていない(失礼!)スーツやネクタイを着用されていらっしゃいました。

 しかし、後日もう一度その企業を訪れてみると、なんと先日お会いしたかの男性が骨格診断をもとにしたスーツやネクタイを着けているではありませんか! しかも、とてもお似合いでビシッと決まっていました。

 そして、一度目にも同席していた女性社員の方がこっそり私にこう教えてくれました。

「実はあの後、社内中の人に『あなたはナチュラルタイプだからこういう服装が似合うよ』『あなたはウェーブタイプだね』ってやってたんですよ(笑)」

 このエピソードからもわかるように、男性がファッションに興味がなかったり苦手だったりするのは「わからないから」です。

 多くの方は、ファッションというと、「センスや感覚の話でしょ?」といった印象を持ってしまいます。

 なぜそうなるのかというと、男性でファッション好きな人といえば、「それ、どこで売ってるの?」というような独創的な服を着ていることが多く、往々にして目立つ人というイメージがあるためです。

 それに対してファッションに興味がない人は、ファッションについて深く考えたことはなく、皆と同じでその上価格が安ければそれに越したことはないという考えの人が多いと思います。

 誤解のないように一言添えておくと、価格の安さで服を選ぶことを悪いといっているのではありません。高価な服だからセンスが良いとは一概にいえないからです。

 本当の意味で「センスが良い人」というのは、服の価格はあまり関係なく、安い服でも「自分に合う選び方」がわかっている人なのです。

 とはいえ、理論的に考えるという特徴を持つ男性の場合、センスや感覚は理論と対局にあるイメージがあるため、「服のことはよくわからない」と思っている方が多いのではないでしょうか。

「ファッションなんてこの世からなくなればいいのに」

「全国的に私服を廃止して、死ぬまで制服だったらさぞ楽なのにな」

 そう思っているたくさんの男性を、私は知っています。

 しかし、理論に当てはめて考えることが可能になれば、自分のすべきことが明確になり、苦手意識がなくなります。ですから、本書でお伝えする骨格診断の理論から入るファッションの話は、男性でも斬新かつ面白いと思います。

 先ほどの男性の例のように、むしろ私の経験上は男性のほうが理解しやすく、驚いていただきます。もちろん、ファッションに苦手意識がある女性にとっても非常に有効です。

 また、日本人は占いや診断といったコンテンツが大好きですよね(笑)。自分がどのタイプかわかると、自分ごとになるので自然と興味がそそられるはずです。

 この本では、理論に基づく「骨格診断」によって、自分に似合う服を選べるようになることを目的としています。

 骨格診断で自分の特徴と似合う服の特徴がわかれば、どんな服を選べばいいのかがわかるようになります。

 また、好きなアイテムを使って、自分に合ったカスタマイズができるようになります。自分に似合う形のスーツやネクタイの色柄、自分に一番似合うサイズ感の洋服を選ぶことも容易になります。

 今まで「なんとなくスーツがしっくりこない」「買っては失敗し、着ない洋服が増えていく……」というお悩みを解決できるのが、まさに骨格診断なのです。

┗ファッションは“自分に似合っていること”が最大の鍵

 人は、毎日何かしら服を着なければなりません。ファッションにそれほど興味のない人は、毎朝着る洋服を選ぶのが面倒に感じることもありますよね。

 アップルの共同創業者であるスティーブ・ジョブズは、いつでも黒のタートルネックTシャツにジーンズ姿だったのでトレードマークと化していましたが、同様にいつも同じ組み合わせの洋服を着て“制服化”している人もいます。

 かくいう私は今でこそファッションに携わる仕事をしていますが、何を隠そう、元々は洋服に興味がありませんでした(笑)。

 学生の頃は制服があったので、着ていく服に悩むことはありませんでしたが、大学生になったとき「着ていく服がない!」と困ったタイプです(笑)。

 そういう人はどうするかというと、周りの人が買っているブランドと同じものを買うのです。私は、どこで何を買っていいのか皆目見当がつかなかったので、とりあえず友人などが着ているのと同じブランドの服を買いました。あるいは、妹の買い物にくっついて行き、妹が買うのと同じお店で買ったりしていました。

 一昔前は、以前の私のようにファッションに特別な思い入れがなくても、人と同じものを着ていればそれほど困ることもありませんでした。自分の着ているブランドやファッションが好きなわけではなく、「変に見えないから」という理由で服を選んでいる人も意外に多かったものです。流行りの服を着ていれば間違いないという理由から着ていた人も多いでしょう。

 たしかに昔は、「流行に乗っていないと恥ずかしいから」「人と同じものを身に着けていると安心だから」という理由で、雑誌のモデルが着ている服を真似する人が多くいました。流行の服を着ていれば、友達が「かわいいね!」「かっこいいね!」といってくれるし、学校の仲間グループで浮くこともありません。

 つまり、人の真似をする(同じである)ことで社会性も保っていられたのです。

 思い出してみてください。同じグループの人は、だいたい似通ったファッションの人が集まっていませんでしたか?

 1人のファッションが伝染(?)してグループに広まっていくこともあったでしょうし、同じファッションの人が自然とグループになっていくこともありました。

 しかし、現在はファッションを含めて「在り方」の価値観が変わってきています。今はSNSなどで自らが発信し、“いいね”をもらう時代です。

 つまり、個人にスポットライトが当たる時代なのです。

 自分なりのコーディネートを発信している人もたくさんいます。人と同じものを求めていた価値観から、現在は人とは違う、自分に似合うものを求める価値観に移行してきています。

 洋服も、以前はデパートやセレクトショップで買うのが主流だったのに対して、今では様々なネットショップで閲覧し、自分に合ったものを探して購入する人が増えています。

 「今季はクラシカルな服が流行る」「淡い色が流行る」などの全体的な流行はありますが、「これさえ身につけていれば間違いない」というような服はなくなりつつあるのが現代です。

 「流行っていないものを身につけるのが恥ずかしい」というのは昔の価値観で、「自分に似合っていないものを身につけるのが恥ずかしい」というのが現代の価値観です。自分らしさが十分に出ているか、真似や借り物ではなく、自分に似合っていることが最大のマナーともいえます。

 昔と現代の価値観の違いをわかりやすく並べてみましょう。

【昔のファッションの価値観】
・人と同じものを着る
・周りから浮いていない
・流行に遅れていると恥ずかしい
【現代のファッションの価値観】
・個性を大切にする
・人とは違うものを身につける
・似合っていない服を着ていると恥ずかしい

 まるで真逆であることがわかりますね。

 そんな現代では“ファッション難民”が急増しています。自分に似合う服の選び方がわからない人が続出しているからです。

 しかし、そうはいってもECサイトなどで服を買う場合、自分の身長と体重が近い人のコメントを参考にすることはないでしょうか?

 例えば自分の身長が167cmなら、165~170cmの人のコメントを探して、サイズ感はどうか知るといった具合に、です。

 実は私たちは骨格診断を知る前から、自ずと骨格診断的な思考で服を選んでいるのです。ECサイト側も心得たもので、着用モデルの身長を明記したりしています。これが今の世の中の風潮です。

┗骨格は民族によって大きく異なる

 日本の洋服の歴史が西洋に比べて浅いのは、ご存知の通りです。西洋人のような着こなしは難しいと感じている人も多いと思いますが、その理由は日本人の骨格が西洋人よりどちらかというと華奢だからです。

 日本は欧米コンプレックスがあるため、外国人への憧れなどで服を選んでしまう傾向があります。販売する側もそれを利用してイメージ戦略としている企業が多いです。

 例えば、売り場に、外国人モデルが売っている服を着ている素敵な特大写真パネルがデカデカと飾ってあったりします。しかし、素敵だと思って試着室などでいざ自分が着てみると、外国人モデルのようにはいかないという経験をした人も多いのではないでしょうか。

 大抵の場合は「日本人と比べて外国人は、何を着てもサマになるから」とがっかりするわけですが、西洋人と日本人とでは、そもそも骨格が違うので同じような着こなしにならないのは当然なのです。

 骨格だけでなく、文化という側面から服飾を見ても、日本と西洋とでは異なります。

 日本の服飾の歴史は、女性の場合でいうと十二単などに見られるように、古来より体型を隠す文化でした。男性にしても、紋付袴などはほとんど体のラインがわかりません。

 一方西洋では、女性ならコルセットでウエストを締め付けて、胸元を大きく開ける洋服、男性ならウエストがくびれて肩幅を強調するスーツなど、体型をアピールする服飾が主流でした。

 また、民族による違いによっても筋肉の付き方や骨格が異なります。農耕民族は鍬を持って畑仕事などがしやすいように肩が内側に入っているのに対し、狩猟民族は武器を投げたり走って獲物を追ったりする狩猟に必要な肩や脚、背中の発達した筋肉を支えるため骨も太く丈夫です。

 つまり、生活スタイルは骨格にも影響を及ぼし、脈々と受け継がれる歴史の中でDNAに組み込まれているのです。それぞれの文化によって、自分たちの骨格に合う服飾が発展していったのは、自然なことといえるでしょう。

 しかし、現在の日本は様々な文化の要素がミックスし、食文化も西洋寄りになっていることから、生まれつきの体型も昔とは異なっています。

 服選びも自由になっているので、コンプレックスを隠す服を選ぶこともできるし、体型を魅せる服を選ぶこともできます。

 骨格診断で自分の特徴を把握すれば、服を買う際に自分に適した服を選ぶことができます。骨格は太ったり痩せたりしたとしても変わりません。骨は体の軸であり、骨格とは骨の長さや太さ、形のことで、体重の増減によって左右されることはないのです。

 理論で服選びができるようになれば、服を買う際に迷ったり、買って失敗したりすることがなくなるので、時間的・経済的コストを減らせるだけでなく、社会的信頼やブランディングにも利用できます。

 さらに、人から「おしゃれに見られたい」という願いも自然と叶います。自分に似合う服を、自信を持って着ることができるからです。また、基本さえ押さえていれば自分仕様にカスタマイズできるというのが、骨格診断のメリットでもあります。

 洋服は、ジャストサイズがベストとは限りません。体にフィットしたスーツよりは、ちょっと動きに余裕があるほうが包容力や落ち着いた雰囲気が出せる場合もあります。

 また、着心地も重要です。ちょっとたっぷりめに着るのが好みの人もいれば、どちらかというと体を締め付ける服が好みの人もいるでしょう。

 他にも、使用されている生地の素材によっても、与える印象がかなり異なります。綿素材はパリッとした張り感があり、ナイロンやポリエステルはテロンとした柔らかな素材です。

 好みもさることながら、使われている素材によっても雰囲気がガラッと変わるということです。そして生地や素材などの様々な要素は、骨格によって相性があるのです。

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無料版はここまで。以降の本編では骨格を見極めるポイントを始め、具体的な服の選び方やアクセサリー等についてもイラストや写真を交えわかりやすくお伝えしています。

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著者プロフィール

著者近影

豊岡 舞子 (とよおか・まいこ)

群馬県高崎市生まれ。東洋大学文学部中国哲学文学科卒業。

2003年に株式会社三松へ入社。フォーマルドレスの「AIMER」での接客経験から、ウェディングドレスやカラードレスなど、どうしたら最も美しく見えるスタイリングができるのか、お客様お一人お一人の体型に合わせたお直しなどを提案。

2015年にカジュアルブランド「TIENS ecoute」ブランド長を経て、骨格スタイルアドバイザー2級取得。スタイリング提案について社内研修やお客様イベントを開催。

2018年に骨格スタイルアドバイザー1級、色彩技能パーソナルカラーアドバイザーを取得。トータルファッションを理論に基づいて解説するセミナーを、商業施設や大手結婚相談所などで開催。専門商材を用いたアドバイスを行う。

Instagram:@maiko_1225