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新卒で日系中堅コンサルティング会社に入社して、中小企業コンサルタントになってみて


2024年、新年の幕が開けたタイミングなので、上記のテーマにて、これまでのキャリアの棚卸しをしようと思います。
人事コンサルタントという職業自体一般的でないことに加えて、「人事コンサルタント」といっても職務内容は会社や個人によってまちまちです。
人材採用に特化している方、大手グループ企業の中で小会社のヒューマンリソースマネジメント全体を司る方、研修に強い方、組織開発やワークショップを提供している方、年金や福利厚生の提案をされる方など、扱うジャンルは幅広く存在します。
その中でも、私は新卒から一貫して5年以上、
【日系中堅規模のコンサルティング会社】に所属し、
【中小・ベンチャー企業】に対して
【人事制度設計・運用を通じた経営支援】を提供してきました。
上場企業向けのコンサルティング、あるいは組織開発、組織診断、チームビルディング、タレントマネジメント戦略などのソリューションも扱ってきましたが、ここでは話の焦点を明確にするため割愛します。

【①日系中堅規模のコンサルティング会社で】
【②中小・ベンチャー企業に対して】
【③人事制度設計・運用を通じた経営支援】を行う醍醐味や得られる経験を整理します。一部でも参考になれば幸いです!

①日系中堅規模のコンサルティング会社

就活期、BIG4やAチュアさん、Bントさんなどが興隆していた中、日系の中堅規模(コンサルタント200名程度)のコンサルティング会社を選んだ理由は下記になります。

  • ある程度規模の小さい組織の方が、入社後に誰と働くかが明確であり、ミスマッチが少ないと思った

  • ファーストキャリアでなんとしてでも「人事コンサルタント」になりたかったため、業界や機能軸でアサインの幅が広いよりも、初期配属で必ず人事コンサルタントの経験を積める会社が良かった

  • 大きい組織では、同期や上下関係で過当競争を強いられるため、ネームバリューの看板の下で埋もれてしまう気がした

  • 会社のブランドに頼らず、個人の名前で仕事を取る経験がしたかった

  • 大きな池の小さな魚よりも、小さな池の大きな魚を狙いたかった(もともとスポーツをしていた時期から、競合ではなく準競合のエース狙いでした笑)

  • 集団行動が苦手で、規模が大きい組織が昔から不得意だった(笑)

消極的な理由が多くを占めているわけですが、選択に後悔はありません笑
実際に私の会社では、外資系コンサルティング会社などから内定を得ていても、上記の理由などから当社に入社する方が多い印象です。

では、日系中堅規模のコンサルティング会社のメリット/デメリットを整理していきます。あれこれ書いても情報がごった返すので、最大のメリット/デメリット1つに絞って記載します。

最大のメリット
「リード獲得・営業〜受注・納品までをワンストップで提供できる」
自社の規模、クライアント規模が大きくなるほど、パートナーなどの部門責任者クラスが仕事を取ってきて、若手はアナリストとして納品することからキャリアを始めます。一方で、中規模のコンサルティングファームや機能特化型(M&A、人事、IT、PMO等)のコンサルティングファームの場合、セミナー実施や寄稿によるブランディング活動、パートナー企業や金融機関とのアライアンス開拓と深耕、それらに加えて問い合わせを含めたリードに対する初期営業から提案までをワンストップで実施することができます。
「仕事を作る」という本質的な活動を、遅くとも3年目には経験できる旨味がある一方で、仕事が取れない若手は苦労します。コンサルティング≠営業と考える方のミスマッチは大きく、会社で設定される目標予算などに到達せず、苦戦を強いられることになります。

最大のデメリット
「とにかく忙しい・・・」
メリットに記載の通りですが、「なんでもやれる」=「なんでもやらなければならない」ということで、働き方にブレーキが効きづらいです。今でこそ機能分化が進んできていますが、納品業務に追われながらも仕事を作らなければならないため、年がら年中二毛作になります(笑)
そのため、新卒で多様(泥臭い)な経験を積んでステップアップor独立をしたい方にはもってこいの環境ですが、ほどほどに働きながらコンサルワークを楽しみたい方には向いておりません。

②中小・ベンチャー企業に対するコンサルティング

大手ファームが相手(顧客)にするクライアントは日経225に採用されるような日本を代表する企業が多いです。一方で、中小・ベンチャー企業を相手にするコンサルティング会社の顧客は創業期~老舗企業まで、歴史や規模は様々です。
私の場合は人事マネジメントのテコ入れが必要となる社員5名~社員1,000名程度、売上規模でいうと1億円~200億円程度のクライアントが多いです。
先程と同様に、メリット・デメリットを1つずつ記載します。

最大のメリット
経営者に対してコンサルティングができる
これが最大にして最高のメリットだと思います。クライアント規模が大きくなればなるほど、経営の根幹に対するコンサルティングではなく、顕在化した課題に対する支援を行うことが多いです。つまり、対峙する顧客層も、社長ではなく、担当役員や部門長・課長クラスなどが依頼主になります。
私が提供する人事コンサルティングについてもソリューション型ですが、対峙する経営者の問題意識は人事に留まりません。そのため、「人事を通じた財務改善」「営業組織の活性化」など、人事の枠組みを超えた経営支援までお付き合いが可能になります。担当役員や部門長・課長クラスを相手にすると、組織長クラスの課題感を解決すれば支援終了となりがちですが、経営者を顧客に信頼関係を築くと、長年のパートナーとして伴走しやすく、幅広いテーマで顧客支援を行うことが可能です。
経営者に対してコンサルティングができる」ことで、
✓テーマを問わず経営機能全般に触れられる
✓会社ではなく、コンサルタント本人に仕事がつく
などの魅力があります。後者の「仕事が本人につく」というのは、中小企業の経営者を相手にしているからでしょう。卒業していく上司たちを含め、独立後も職に困らない方が多いのは、仕事が会社につくのではなく、コンサルタント本人につくからです。

さらに、コンサルタント個人のキャリア開発という側面からみても、メリットがあります。「人事に興味があると思っていたが、中小企業経営者のお悩みごとの中で自分が得意とする領域/解決したいと思う分野はマーケティングだった!」などと、他の専門性にピボットしやすい特徴があります。実務から得られたインサイトや内発的な動機付けは、ジョブローテーションよりも失敗しにくい転職(転ジョブ)になるように思います。

最大のデメリット
仕事の単価が上がりにくく、多売になりがちである
大手企業と中小・ベンチャー企業、どちらがお金を持っているかは自明です。ビジネスにおいては、「何をやるか」よりも「どこでやるか」で、仕事の単価が異なります。これは恐らく、どの業界でも同じように思います。
大手企業に対するコンサルティングと中小企業に対するコンサルティングでは、単価が一桁違います。ただし、同案件に関わる人数や難易度は同一ではないため、一概に比較することができません。
いずれにしても、M&Aなどの高単価のコンサルティングを除き、◯億円規模の仕事は発生しにくいです。そのため、関与する案件数が多くなり、単価ではなく数で稼ぐという方向にいきがちです。
これもデメリットと書いておりますが、下記のような方にとってはメリットでもあります。
✓独立までに関与する顧客数・ケースを増やしたい
✓短い期間で重層的な経験を積み、圧倒的に成長したい

③人事制度設計・運用を通じた経営支援

最近では、働き方改革の浸透とともに「戦略人事、HR tech、心理的安全性等」、メディアを通して人事のバズワードが報道される機会が増えました。また、リンクアンドモチベーション様、識学様など、人事マネジメントをサービスの中核とした、マーケティング力の高い上場企業が増えています。
とはいえ、ファーストキャリアで「人事コンサルティング」を選ぶ方は少ないかと思います。ここでは、人事コンサルティングの魅力を記載したいと思います。

最大のメリット
人事コンサルティングは究極のコト売りである
これこそ、仕事の醍醐味です。
顧客の課題が売上不振でも、後継者不足でも、コスト削減でも、顧客満足度の低下でも、とにかくなんでも(笑)、人や組織の改善を通じた本質的な課題解決の支援が可能です。
皆さんの会社でも、以下のようなことが起きているのではないでしょうか。

  • 商品力は高いのに、経営陣の足並みが揃わず、成長が鈍化している

  • もう少し人材がいれば、爆発的に成長できる

  • 部内のメンバーの仲が悪く、足の引っ張り合いが置きている

  • 働かない窓際社員、お局さんが組織に悪影響を与えており、若手の退職が激しい

上記はすべて人・組織に根付いた問題です。
「利害関係者で膝を突き合わせて対話をし、経営方針を明確にする」
「貢献度に応じた人事評価を実現する」
「適材適所で、個人の強みが活きる人員配置を行う」
「モンスター社員を組織として対処する」
等々、”言うは易く、行うは難しの実行”こそ、人事コンサルティングが介在する価値になります。
役員同士など、利害が絡む同じ組織の人間同士では、水掛け論になりがちで、感情的な言い合いで終わることが多いです。第三者のコンサルタントが入ることで、摩擦を解消し、共通目的に向かってファシリテートすることができます。
勢いに乗った会社にガソリンを入れるだけでなく、人間関係が硬直した組織の緩衝材として歯車を動かすことも、ダイナミズムとやりがいを感じる仕事です。

最大のデメリット
成果が現れるのに時間がかかり、効果が見えにくい
経営改善のコンサルティングであれば、コンサルの質がP/Lに現れます。SEOコンサルティングであれば、売上貢献が可視化できます。
一方で、人事コンサルティングの成果は定量的に測りづらく、効果が現れるのは何年も先、ということが一方的です。
今でこそ、ISO30414(人的資本に関する情報開示のガイドライン)で推奨されている指標であったり、人事KPIといわれる離職率や社員満足度などのデータを可視化することが増えてきました。しかし、先程のメリットで挙げたような解決すべき本質的な課題はKPIにしづらいのです。
(窓際社員の退職数などをKPIで挙げたら、それこそ大問題に発展しえるからです笑)

ここまでで、経験則で大変恐縮ですが、以下3点の分類について特色を整理しました。
【①日系中堅規模のコンサルティング会社で】
【②中小・ベンチャー企業に対して】
【③人事制度設計・運用を通じた経営支援】
最後に、少しおまけを書こうと思います。

おまけ

コンサルタントがコンサルティング会社に在籍する価値
独立しても個人で2,000万以上は稼ぐことができるコンサルタントが、会社員として活躍する価値として、「リスクのある提案でも挑戦しやすい」というものが挙げられます。個人や小規模でコンサルティングを行う場合、クレームに繋がりづらい、謂わば”安全性の高いコンサルティング”を提案しがちです。安定して稼ぐことができる一方で、思い切りのある商品開発や多様な専門家が集結しないと解決できない、難易度の高い案件に携わることが難しくなります。(個人コンサルタントでも上記を実現されている方がいるのは重々承知ですが、大多数は安定を取りにいく嫌いがあるということです)

もう1つ、良い意味で「ハッタリ(※)で取った仕事を(責任持って)納品できる」ということも挙げられます。
※ハッタリはわずか1でもあることをそれ以上に膨らませていうことであり、完全にゼロのことをあたかも1以上に言う「ホラ」(ホラ吹きのホラ)とは異なります。
大げさにいうと、会社という看板を使って、ダイナミックな提案、業界初のチャレンジなどを積極的に行っても、個人に与えるリスクが抑えられるということです。個人で手堅く稼ぎたい、あるいは個人でもリスクを取れる自信があるのであればすぐにでも独立した方が良いと思いますが、会社組織に所属するからこそ提供できるコンサルティングがあることは事実です。

今回は、自身のキャリアの棚卸しも兼ねて、新卒で日系コンサルティング会社に入社してよかったことを整理してみました。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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