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【グローバル×コンテンツビジネス最前線】東南アジアでコンテンツビジネスに5年間向き合ってきた支社長が語る、アジア×コンテンツの今。

こんにちは。Mintoでタイ・ベトナム支社の責任者をしている奥川です。
Mintoは、日本国内だけでなくアジアを中心としたグローバルで、コンテンツプロデュース事業を展開しています。
今日は、東南アジアを管轄している私の目線から、アジアのコンテンツ市場について解説してみようと思います。

東南アジアのコンテンツ市場の現状

東南アジアのアフターコロナ事情

東南アジア全体でのトレンドで言うと、新型コロナウィルスが終息しつつあり、多くのオフラインイベントが始まっていることから、コンテンツと消費者と触れ合う機会が増えました。ユーザーもずっとオンラインでのコンテンツ消費を余儀なくされていたため、オフラインでの消費を望んでいる傾向があります。最近タイで実施されたブックフェアは3年の休止を経てようやく実施され、人が多すぎて漏れ出しているブースもありました。

利用されているSNSチャネルの急速な変化

コンテンツのトレンドについては、国々で違いはありますが、SNSチャネルの変革は複数の国で顕著に現れていると思います。

例えばこれまでは、東南アジアでは実名性の高いFacebookが最も使われているSNSでした。しかし、直近のタイでは若者を中心にFacebookからTwitterやInstagramが主流になってきていたり、ベトナムでもTiktokの需要が勢いよく伸びている点など、コンテンツを作る側の我々も対応できるコンテンツとチャネルの幅を広げていく必要性を強く感じさせられています。

日本のコンテンツはどう捉えられているか?

東南アジアのミレニアル世代は特に、アニメや漫画をはじめとした日本のコンテンツを見て育ってきた人が多く、日本コンテンツへの信頼は非常に高いものだと感じます。最近でいうと具体的には、『SPY FAMILY』『チェーンソーマン』や『呪術廻戦』は多くの人が話題にしていますし、『鬼滅の刃』や『君の名は』はオタク層だけではなく一般層にも非常に支持されたコンテンツです。

また少し別の流れとしては、キャラクターがSNSを通して人気になっているのを感じてます。例えば『ちぃたん』などもグローバルで200万人弱ものフォロワーを持つなど、海外にファンを多く持っています。

また、実は熊本県のご当地キャラクター『くまモン』はタイでの認知も非常に高いんです。その認知度の高さから、『くまモン』のようなご当地マスコットキャラクターという概念を、多くのタイの県や自治体が学ぼうとしています。

ご当地マスコットキャラクターだけでなく、企業がマスコットキャラクターを持ち、消費者とのコミュニケーション役として活用するケースもタイとベトナムの両方で増えてきているのを感じています。この領域は日本でのケーススタディが非常に潤沢で、多くの企業が日本の実例を参考に戦略を練られている印象があります。

東南アジア×コンテンツビジネスの今

東南アジアは良くも悪くも日本、韓国、中国の文化やコンテンツと欧米系のコンテンツが入り混じっていて、多様性のあるマーケットです。

NetflixやYoutubeといったストリーミングアプリによって、日本のアニメ、映画やドラマにアクセスしやすくなり、SNSの発達により情報収集の速度も上がっている一方で、日本のコンテンツはそこまで東南アジアを積極的に攻めていないようにも思えます。

ライセンシングビジネスについては、市場規模でも日本と比較すると10分の1程度の国がほとんど。現状は、東南アジア全体で見てようやく採算の合う市場と言えるでしょうが、年齢層や人口、および経済の発展スピードという観点で考えると、未来への投資場所として非常に魅力的だと思います。

その点を敏感に察知し、日本以上に活発に動いていのが韓国や中国のコンテンツです。このまま行くと、新しい世代は日本のコンテンツで育ったミレニアル世代とは違い、韓国、中国、欧米のコンテンツで育つ層が一層に増えてくるのではないかと思います。

Minto社のキャラクターは、これまでSNSで長年展開をしてきたことにより、世界で60億ダウンロードを遂げたスタンプや500万人のSNSフォロワーを持っています。そして、それらがようやくマネタイズに繋がってきていると実感し始めています。5年前にタイに赴任してきた時と比べると、確実にデジタル発のキャラクターにもライセンシングへの需要が高まってきていることを感じますね。実際、IPを保有されている日本の会社様からアジア圏での展開についてご相談を受ける頻度も増えてきていて、ローカルの市場調査やSNSを介したメディア戦略などを実行させていただいています。

また、別軸で注力してきた事業の一つとして、先ほどあげた企業のマスコットキャラクター開発や展開もサポートさせていただいています。

例えば、タイ最大の企業、PTT石油公社様のマスコット展開をデジタルメインで担当させていただいていたり、ベトナムでも通信会社のViettel社様の新規サービス向けマスコットの開発と展開を開始いたします。

Mintoが取り組んできた、東南アジア×コンテンツプロデュースの実例

タイ・ベトナム支社での取り組み

上記で少し触れましたが、我々の事業は大きく分けて二つあります。

一つはコンテンツを企業のソリューションの主軸におきマーケティングを行う”コンテンツソリューション事業”、そしてもう一つは、アニメ、漫画、デジタル発のIPを海外で展開する”IPライセンシング事業”です。

コンテンツソリューションでは、先に記載したような企業や県自治体のマスコット開発・運用、日本コンテンツのローカライズ(翻訳など)、SNSマーケティング、市場調査と多岐にわたります。現地のニーズを理解したローカルスタッフが主軸となって、戦略の設計やローカライズに携わることで、現地にあった展開を行えることが強みです。

IPライセンシングでは、主に自社のうさぎゅーんやベタックマといったキャラクターを筆頭に、最近では他社様のIPの展開なども行っています。株式会社 電通が保有するキャラクターである『豆しば』は、現在はグローバルで10万人以上のフォロワーまで成長しています。

Mintoが、タイ北部、ピサヌローク県でのゆるキャラをプロデュース

最近の活動の中で最も変化のあった取り組みの一つが、タイの県自治体マスコットキャラクター展開です。これまでは、タイの県自治体の体制が非常に複雑ということもあり、なかなか日本のご当地キャラクターのように長い目で投資をしていくことへの理解を得るのが難しいのが課題でした。しかしようやく、ピサヌローク県のご協力のもと、彼らのマスコットキャラクターが完成しました。

先日、多くの記者様もお迎えして開会式を執り行い、今後ピサヌローク県が本格的にこのマスコットを県民とのコミュニケーションや外部への広報に活用していく旨をご説明しました。

マスコットの名前はTao Khun(タオくん)で、県自治体のロゴに使われている、タイ古来の戦に使われていたゾウをモチーフにしたキャラクターデザインになります。

開会式では、ピサヌローク県伝統の織物をタオくんの体に巻きつけることで、正式に大臣公認のピサヌローク県を代表するマスコットキャラクター誕生を祝いました。

ピサヌローク県自治体は、デジタルを活かしたスマートシティ化など、県民の生活をより良いものにしていくための新しい取り組みを行ってきました。そういった体質から、他県とは違った新たな取り組みに非常に前向きでした。

これまでは、大臣を務められている『Ms.Premruadee Charmpoonod』が県民に直接会いに行き、県内の課題や取り組みに力を注いできた過去があります。今後は、大臣の行ってきた広報活動の一部をこのタオくんが担っていき、最終的には県内だけでなく他県でも人気のあるキャラクターへと成長させるべく、Mintoとして関わっていく予定です。

ピサヌローク県以外にもお隣のスコータイ県や観光地として有名なサメット島の観光大使の開発なども実施しています。今年〜来年は新型コロナウィルスが終息した直後ということもあり、タイの主力産業である観光を軸にたくさんのゆるキャラがMintoにより作られ、成長していくと考えています。

サメット島観光大使
スコータイ県ご当地キャラ

今後の私たちの挑戦

Mintoが東南アジアで創造してく今後の未来像は、企業/自治体、クリエイター/ライセンサー、消費者の3者をつなぐ架け橋になっていくことです。

日本にあるコンテンツを作り出す力や、キャラクター/IPの数々は、グローバルの市場においてまだまだ伸び代とポテンシャルのあるものだと考えています。

一方で他国のコンテンツの成長も目まぐるしいのは事実。Mintoのようにグローバル市場で戦ってきた会社が、もっと日本のコンテンツやコンテンツビジネスのノウハウを世界へと発信していけるように精進していければと思います。

中長期的には、現地のキャラクターやマスコットを集め、日本で開催されていた『ゆるキャラグランプリ』のような大きな催事を、Minto中心となって実現できることを目標としてます。そこでは県自治体だけでなく、企業キャラクターやアニメ・漫画のキャラクターなど、多くのキャラクターが集結したイベントを作りあげたいなと考えます。

海外でのIP展開やマーケティングにご興味ある方、Mintoと何かコラボレーションしたいという方、ぜひ気軽に相談ください!

奥川真人
メール:s_okukawa@minto-inc.jp
Facebook:Shinto Okukawa
LINE:34274625


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