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2人の団体が出来上がるまで

こんにちは、QoiQoiの大橋悠太です。
今回は僕らQoiQoi(コイコイ)が団体として、自覚を持って活動していくまでの地盤作りや、本気になるまでにどんな事を話し合って行ったのか、という「メイキング」的なことをテーマに書いてみたいと思います。

僕らは2人しか居ませんが、複数人の集団や劇団だと中々全員が同じ方向を向いて走り続けることは難しかったりすると思います。
それぞれのやりたい事と、団体でやりたい事が違ったりするのはよくあることですが、それが原因で長く続かなかったり、本気で作品制作に乗り出せなかったりと、集団創作や人間関係の悩みは尽きません。

そんな中僕らは今のところは、お互いにQoiQoiの活動に本腰を入れて活動していこうとすることが出来ています。その理由は何なのか言葉にしたいと思いました。
お付き合いいただけたら幸いです、ではいきます。

目次
1、始まりはノリだった
2、本気にならざるを得なかったあの日
3、責任をもつということ
4、まとめ


1、始まりはノリだった
僕ら二人は同じ日本大学芸術学部演劇学科出身で、在学時代に共に出演した演大連(えんだいれん:演劇大学連盟)共同作品の『カノン(野田秀樹作)』をきっかけに話すようになりました。
卒業後は二人ともあまり接点はなかったのですが、2年ほどたった時に偶然舞台の公演で再開し、共同主宰で公演を打つ流れになったのでした。

それまでの2人それぞれの話は別の記事にもまとめていますので良ければ下さい。↓

言ってしまえば始めはノリでやろうよと決めてしまい、そこから動き出したわけなのですが、自分の作品を作る考える作業は新鮮で楽しい時間でした。当初、吉次と僕と後一人大学の同期の3人で共同主宰公演をするつもりでした。
ただ、出演する舞台を抱えていた僕は全ての時間を主宰公演にかける訳にもいかず、吉次と当時参加していたもう一人の子に迷惑をかけてしまっていた時間もありました。
吉次はその公演に自分の今後のキャリアや生活を懸けていたので、当時は僕と吉次の間の温度差も多少あったように思います。

そんな中、脚本も大体書き上げ上演する小屋を決めたあたりで事件が起きました。


2、本気にならざるを得なかったあの日
公演準備をしながら年明けを迎えた2018年。
朝起きてスマホを見ると、一件の通知が来ていました。
それを開くと、そこには一緒に公演を主宰するメンバーの一人からメッセージが来ていました。

「勝手をして本当に申し訳ない。事情があり公演には参加できません、連絡を取らないつもりで姿を消します。公演の小屋代は振り込みますので好きに使ってください。本当にごめん」

僕は見た時に一瞬「?」と頭が停止しました。
一体どういうことだろうとすぐには理解できず、しばらくしてから「あ、そうだ公演どうしよう?」と思い出したような感じでした。
そしてすぐに吉次と連絡を取り、忘れもしない2018年2月9日に江古田の「なか卯」に集まりました。
そして二人で今後どうするか、もう一人にはどう言葉をかけてやるべきか、公演はやめるのか延期にするのか、そもそもやりたいのかどうか、などを話し合いました。その時の僕はまだ、本気で自分の団体を背負い引っ張っていく心構えができておらず、実感がもてずにいました。
2人ともいなくなったその子に対して、怒りや憤りは感じていませんでした。何よりも真剣に本気で自分たちの公演を成功させようとして動いていたのを知っていたからです。
僕はむしろそれほどまでに追いつめられるほど、この舞台に本気を懸けられていなかったことを恥じました。そしてここで本気になれないようなら、今後も本気になれずに終わってしまうような気がして、吉次と二人のユニットとして「ano」という名前を付けて活動することを決めました。
そしてまた「○○が戻ってこれるように、二人でユニット組んで活動を続けて、戻ってこれる場所にしよう」とその時、二人で決意しました。


3、責任をもつということ
そしてそれから自分の作品制作を進めていくのですが、中々に難航続きで大変な生活になっていきました。
掛け持ちが多かった僕は、主宰の経験もなく手さぐり状態で公演の準備を進めつつ舞台のセリフを覚え、脚本を書き、また別の舞台の稽古に参加したりと、まさに目が回るといった感じでした。
その頃は朝、鏡の前に立って見ると日に日に白髪が増えていたのを思い出します。

しかしその中で、団体の公演を成功させるも失敗に終わるも、すべて自分次第でこの身一つに懸かっているというのが、日を追うごとに分かってきて震えると同時に、やりがいも感じていきました。
慣れない制作業務、演出、そして出演も重なりミスもしてしまい、その度に自分が情けなくなったり、死にたくなったりしていましたが何とか続ける事ができました。
オムニバス3作品を全て全く違う演出で、衣装も装置も音・照明も変えて行うというかなりのハードな事をやっていたなと、思い返すと驚きます。
そんな作品を稽古している中で、あるとき先輩から言われた言葉が忘れられません。
「自分の団体は、自分で守るんだよ」
稽古でミスした時に、その言葉を言ってもらえて、自分が折れたらこの公演が、自分の挑戦も吉次の挑戦も、もう終わってしまうことにハッと気付かされました。
一つ一つの作業で真剣に考えて、行動しなくてならない。つまりは【責任感】というものがそれまでの様々な出来事を通じて、自分の中に芽生えたのがこの初めての公演の時だったと思います。
「終わったら泣くかもしれない」と思っていた旗揚げ公演「いたす」は、様々なトラブルがありつつ、沢山の成長をもたらしてくれ、涙を流す気力も体力も残さずに終わりました。
でもその時に自然と、燃え尽き症候群ではなく、「次は何しよう? 次はここに気を付けよう」など頭を既に切り替え始めている自分がいて、驚きました。

2018年2月9日~2019年2月11日までの約1年間が、自分たちにとっては大きな経験となったのは間違いありません。

4、まとめ
そして二人の活動はその後、福島という更に大きなテーマに向き合っていくことになるのですが、思いのほか長くなってしまったので、今回はここで一旦区切らせてもらおうと思います。

今回は2人の出会いや、共に公演を打つまでをざっとさらいましたが、次はその中でも、大橋・吉次がそれぞれの作品への向き合い方や取り組み方の違いを知っていった過程を文章に出来ればと思っていますので、またお目を通していただけたら幸いです!

ではまたお会いしましょう。

QoiQoi 大橋悠太



QoiQoiプロフィール
2018年2月9日に大橋悠太と吉次匠生によって結成されたアートユニット。 当初はano(アノ)として活動していたが、2020年10月1日より団体名を改めQoiQoi(コイコイ)として新たな活動を始めている。

また、「想像力を創造する」を信念に演劇、映像、インスタレーションなどさざまな分野を飛び越え作品制作を行う。団体名のQoiQoiもquality of imaginationが由来である。 また、社会問題から個人の体験まで幅広い事象を可視化し、常に観客に「当事者性」を提示する作品作りが特徴である。

このnoteでは作品制作のことを中心に、被災地のことや原発のこと、その他考えたことなど、読んでくれている方へなるべく為になるような記事や僕らをより知っていただける記事を書いていくことを目指しています。
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サポートして頂いた資金は現地取材や稽古など全て作品作りに使用させていただきます。
今後とも我々QoiQoi(コイコイ)をよろしくお願いいたします。

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