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ブランディングって何なの?そもそもさ。

「コテツのブランディングと商売の話」コラム

 読めばブランディングができて、商売が上手くなる。
このコラムは、コテツがVoicyのブランディングと商売の話で
語った内容を文章化し加筆したものです。
Voicyアプリをダウンロードして『コテツ』で検索、無料で聴けます。
Voicyもお聞きください。


Vol.1 2021年7月27日収録
テーマ「ブランディングってなんなの?そもそもさ。」


1、『ブランド』ってなにか?それぞれの解釈が違いすぎる。

 今日のテーマは、「ブランドってなんなの? そもそもさ」というところに関してお話をします。これはコテツがやっているブランドづくり、ブランドのアドバイス、経営における一丁目一番地というものです。

ブランドってなにか、ブランディングってどういうことを言っているのがアバウトすぎて、非常に苦しんでいる経営者やお仕事をされている方が多いと俺は見ていて、これは個人の見方なので断定しています。

 なんで企業のブランディングがうまくいかないか、ブランドづくりが身にならないかというと、それは「ブランド」と「ブランディング」が、あまりにも世の中的に曖昧なものになっているし、その言葉を使っている人によってそれぞれ解釈がある、全然その意味合いが違うからです。

完成予想図がそれぞれバラバラなものの建設にみんなで取り組んだら、うまくいかないじゃないですか。「ブランドになったほうがいいよね」といっても、例えば、俺がイオンモールみたいなショッピングモールの完成予想図をイメージしていたとして、空いた土地があって、そこをみた他の方が「そこにはマンションを建てよう」という別の完成予想図があって、ショッピングモールとマンションを「じゃあ建てよう」と一緒に建て始めても、絶対うまくいかないでしょう?

 ブランドとかブランディングは、この5年、10年ですごく一般用語化してきて。インスタが出てからが大きいと思うんだけど、「ブランディングだよね」みたいな。

すてきな写真をインスタに撮ってアップして、「個人もブランディングが必要だからさ」みたいな。それがブランディングではないんですよね。

俺も日常会話でそういう会話を厳しく突っ込んだりすると雰囲気悪くなるから、仕事の場じゃなきゃやりませんよ。流します。友達がインスタでいい写真をあげて「ブランディング重要じゃん」と言っている軽い会話に、「ちょっと待てよ。俺はプロなんだ。聞きづてならねえな」みたいなことで、「君のブランディングの定義を話してもらえる? 1分以内で」みたいなことをやったら、すごく嫌なヤツじゃないですか。なので、普段は聞き流しているけれども、自分が仕事を依頼されて対応していく場合とか、時間を使っていただいて自分が何かを伝えていく状況においては、ブランドとブランディングというものに対する曖昧さが残ったままだと、きっといいブランドにはならないのです。

2、『ブランド』とは??

 ブランド、ブランディングという言葉の正体が曖昧で出来上がりがわからないものをつくろうとしているから、ブランドづくりはうまくいかないっていうことなんだよね。
 
 では、ブランドとはなにか説明するんだけど、もったいぶっているわけではありません。自分の立ち位置を明確にしたいんだけど、俺は経営者で商売人なので、アカデミックな定義としてのブランドに対して議論をするつもりが全くない。ブランドを学問的な捉え方をすると、別のいろんな定義があるのかもしれないけれども、そこは俺が勝手に自分の仕事において、クライアントに価値を提供する場合に使っているというのをご紹介する。

しかも、それは商売というマーケットの競争にさらされているという実践的な面におけるブランドだと思って、聞いてもらえればと思います。


 ブランドというのはファンの方が競合するものとの相対比較を超えて、「あなたじゃなきゃ駄目」というふうに選択して関係し続ける状態です。

柔らかく言おうと思うんだけど、これはきちっと伝えたいのでこういう言い方になっちゃう。

いち消費者から見たときに、数値比較――例えば性能の差とか金額の差とか損得を超えて、相対比較を超越して、愛情愛着でえこひいきして、「あなたじゃなきゃ駄目」って選ばれているものというのが「ブランド状態」なのです。なので、ブランドというのは「ブランド関係状態」です。ブランドオーナーとファンとの特別な愛着関係のことです。


3、有名だから『ブランド』なのではないのか?? 

 いくつか事例を挙げて補足します。この言葉だけだとしっくりこないので。よく「ブランドっていうのはさ」みたいな話のときに、今だったらブランドでイメージするのが、スタバとかナイキとかマクドナルドとかヴィトンとか、そういう話になりますよ。

「そういう有名なのがブランドですよね。」みたいな。それは合っているとも言えるし、そうじゃないとも言える。なぜかというと、有名だからブランドなのじゃなくて、無条件で、競合を比較せずにそこを選択するという状況をしているファンにとっては、ブランドなんですよ。

 なので「スタバってブランドですよね」というのに関しては、おおむねスタバのファンがいるとみんながわかっているから、多くの人がファンがいることがわかっているからブランドだということを知っている状態ではあるけど、スタバがブランドかどうかっていうのは、近くにいろんなところがあっても、高くてもスタバに行くという人にとっては、金額という相対比較を超えてブランドになっている。その人個人にとっては、スタバがブランドだということなのです。

 コカ・コーラとかも世界的ブランドじゃないですかって話に関しては、コカ・コーラの自動販売機があって、すぐ横にペプシコーラの自動販売機があって、仮に金額はコカ・コーラのほうが高かったとしても、「俺はコカ・コーラじゃないとコーラは認めねえ。高くても横に安いペプシがあっても、コカコーラで決めている。」という人にとってはブランドなんです。そうじゃない人にとっては、だだのメーカーなんです。世界的に有名なブランドとして聞いたことはあるけど、自分は特別愛着があってこれじゃなきゃダメ!になってないものは、ただ有名なメーカーで無条件選択ではない。

 隣の自動販売機でコカ・コーラがあってペプシコーラが並びであって、同額でもいいんですけど、誰かが「ペプシコーラがこんなに安くなってるよ。」と言っても、「いや、俺はコーラはコカコーラに決めている」という人にとっては、コカ・コーラはブランドなんだけど、「ペプシのほうが安いじゃん。安いのがいい。買うわ。」みたいになって「ペプシでいい」という人にとっては、コカ・コーラはブランドじゃないんです。なので、あくまでも消費する、選択する1人の消費者にとって、ブランドかブランドじゃないかが決まっている。
有名というのはたまたまそういうふうに言っている総数が多いだけじゃないですか。

 
4、『ルイヴィトン』はブランドか??

 「ヴィトンってブランドですか」というのに関しては、バッグを買おうと思ったときに、高かろうが買いに行くところが遠かろうが、どうしてもヴィトンのバッグが欲しいんだという人にとっては「これじゃなきゃいけない」状態になっているから、ヴィトンはブランドなのです。

ただ、「ヴィトンじゃなくて、今回グッチのドラえもんコラボがいいから、ドラえもんにしようかな」という人にとっては、特別な選択、無条件でヴィトンを選ぶような位置まで行ってないので、それは「ヴィトンを好んで買う顧客」なんです。

 「あれ? なになに、それ?」ということで、今言ったところが引っかかる方はいると思うんだけど、『ファン』と『顧客』は違うのです。いっぱいお金を使ってくれる顧客を重要顧客という定義にしている会社は結構多い。自分がアドバイスに入ると、大体そういうリストが出てきます。「うちも売上でS客とか、何とかランクとか付けているんですよ」と言うんだけど、お客さまが使ってくださる売上金額が多いから、その方がブランドのファンとは限らないのです。「あなたじゃなきゃ駄目」という状態で、スイッチされない状態を維持できている方がファンです。
 
例えば年間、ヴィトンで1000万使うお客さまがいたとします。でも、グッチでも1000万使っていて、サンローランでも1000万使っているかもしれない。グッチで1000万使っているけど、エルメスで5000万使っているかもしれない。ファンと顧客が違うというのは、ヴィトンでは年間100万しか使っていないけど、バッグとか身の回りのものとなったら、ヴィトン以外、自分は認めていないぐらいヴィトンを愛着と持って優先的に選んで買っているとすれば、それは強烈なファンです。

 なので、ファンになれば、いっぱいお金を使ってくれるという捉え方も実はちょっと違うし、顧客として買う行動とファンとしてのこれじゃなきゃダメ!の両方の条件を併せ持っているお客さまもいらっしゃると思う。だから顧客とファンは別です。これは別なときにきちっと話します。別なんだけど重なっている場合もあって、相対比較を超越して自分を選択してもらえる状態ができているファンの方がいらっしゃればブランドなので、ここを見間違ってしまうとブランドにならないです。

相対比較を超えて、あなたじゃなきゃダメ!で特別扱いで優先的に選ばれる状態を作ることがブランド作りなのです。 

ブランドとそれ以外がわかりにくいと思うので、このあとのチャプターで、ブランドというのが何なのかわかりやすいように、「ブランド」と「ブランドじゃない状態」をもう少し具体的に説明していきます。

5、トイレットペーパーでブランドはあるか??

 「あなたじゃなきゃ駄目」状態で、特別に優先して選択し続けるような方がファンだというお話をしたんですけど、多くの方がブランドづくりとか、ブランディングしようと思って混乱に陥る理由は、有名だとか露出が多いのがブランドじゃないかと思い込んでしまうからです。ただ、指名購入もブランドにおいては結構大事な要素なのだけど、いろいろある中で「どうしてもそれじゃないと」という状況になっていればブランドで、そうでなければ「ただ有名なメーカー」なんです。
 
クリネックスとネピアって、あるじゃないですか。ティッシュとかトイレットペーパーのブランドとして。クリネックスはブランドかどうかということに関して、多くの方は「有名だしブランドじゃないかな」と思うと思います。それは別に構わないのだけど、自分が商売をやってブランドづくりをするときに、知名度だけアップしてクリネックスとかネピアみたいになろうと思ったらブランドになれないのです。
 
鼻をかもうと思ってティッシュを取ってみたけれど、よく見たらネピアだった。そのときに「いや、俺クリネックスじゃないと使わないから。俺クリネックスじゃないと鼻かめないんだよね」という人がいたら、その人にとってクリネックスはブランドですよね。

有名で、露出によって、どっちでもいいから自分のところを手に取らせようというマスマーケティング、マス・コマーシャル・ブランドというのがあります。もちろんそれをブランドだと認識している方もいらっしゃると思います。お尻を拭こうと思ってトイレットペーパーを出してみたら、クリネックスの大ファンが「この肌触り? この雰囲気? これはネピアだな? 俺は、今日はお尻を拭かないぜ、クリネックスじゃないと。」みたいな感じだったら、それはクリネックスはブランド。そうじゃなければ強烈なファンがいない状態を露出量で手に取る可能性を高めようということでテレビCMを打つというのも、もちろん多くのメーカーがやっています。日用品で量産品は価格と露出量で選ばれて、ブランドになりにくいのです。

6、超有名でも、誰も買わなくなるものだってある。

 有名になればブランドになるかというと、有名になっても「あなたじゃなきゃ駄目」「これじゃなきゃ駄目」という方がいなければ、そのビジネスとか、ブランド名というか商品名が付いているものは、続かないですよね。

 おやつの「カール」ってなくなっちゃうんですよね。おやつの「カール」を知らない人はいますか?超有名なスナック菓子です。森永チョコフレークという有名な森永の看板商品も(2019年に)販売中止です。

 ちょっと古い例になってしまうんだけど、コカ・コーラで出しているファンタというフルーツ味の炭酸の飲み物があります。ファンタもなかなかの知名度だと思いますが、結局「これじゃなきゃ駄目」ということで選んでくれる人がいないので、ファンタは今、スーパー・コンビニで棚が取れなくなっているんです。知名度があったらブランドになってつぶれない。実際は、知名度があっても指名買いする顧客と、あなたじゃなきゃダメ!という熱いファンがいないと無くなっちゃうんです。

ただただTVに出て露出増やして、有名になれば売れる!商売うまくいくと思っている人がいて、それはちょっと病気に近いかなと思っています。

 だって、「いきなりステーキ」とか大ピンチじゃないですか。「いきなりステーキ」の露出量というか目にする機会とかすごかったですよね。どこでもあった。だから、やっぱり露出と知名度、それだけで商売は成り立たないのです。ブランドというのは、そういうところです。

7、一時的な知名度より、スイッチ(他に変える)されないことが重要だ。

 自分の商売とかビジネス、あるいは、ご自身をブランド化していこうと思ったときに、すぐスイッチされるような状態なのに露出量を増やしても、不況やコロナ禍のような状況になった場合、「あなたじゃなきゃ駄目」という状態をつくれていなければ、一時的に有名になっても潮が引くように客足は引いていきます。

 ブランドとブームは違うんですよ。

例えばタピオカとかチーズドッグとかパンケーキとか原宿界わいで流行って、あとはカラー綿あめも一気に火がついて、わっと行列ができるような状態になるビジネスがあるでしょう。でも、そういう盛り上がりは数年でなくなってしまう。

なぜかというと、それはブームであってブランドじゃないからなんだけど、人ってどうしてもめちゃくちゃ大勢の人にさえ知ってもらえれば、知ってもらい続ければブランドになると考えてしまうのだけど、露出量を増やして一時的に売れたとしても、ファンづくりをやらないとブランドにならないです。

ファンづくりをしないと、ブランドにはならないのです。
あなたじゃなきゃダメ!という関係づくりをやらないと、ブランドにならないのです。

 自分の出だしはフランスとかイタリアの高級チョコレートです。日本で売っていない高級チョコレートを、ちょうどサロン・デュ・ショコラとかバレンタインのビジネスが大きく拡大していったときに、フランスやイタリアで日本に入ってきていないチョコレートブランドの独占契約をしたいと思って、フランスのチョコレートブランドオーナーと話を始めて日本に持ってくるというのがスタート。でも、そのとき俺はブランドに対する認識が非常にまだ浅はかで、有名であればブランドだよねとか、今自分が説明しているような間違いをいっぱい犯していて、最初うまくいかなかったのです。

 そうしたらヨーロッパのチョコレートブランドを持っているオーナー一族に呼ばれまして、「コテツ、なんで売れないの?」と。俺としては、露出やマーケティングで売れると思い込んでいるので「いやいや、テレビとかも出ているし、雑誌とかでも取り上げてもらっているし」みたいな。

8、短期回収ビジネスやるのか?ブランドにするのか?を決めること。

「でも売れてないだろ?どうやっているんだ?」といわれて、フランスのブランドづくりを何回もフランスに通ってブランドオーナー家に見せてもらった。その当時はできてなかったです、ブランドづくりは。本当のブランディングとして伝えていくべきこと、先に明らかにすることを自分は非常にアバウトにやっていたし、ファンづくりも非常に甘かった。そういうところでブランドになれなかったという経験があります。
 
TVにでた雑誌にでたよ!と知名度だけを追って有名になって、焼き畑農業的に3~4年一気に売れて、そのあとやめちゃってもいいんだという単騎回収のビジネスも、商売のやり方の一つです。俺はそれを全然否定する気もないし、そういうふうに俺もやってきている事業もあるし。これはこの数年が勝負で、ここが稼ぎ時で、これが終わったらこの事業はもういいのかなというのは、ブランドではないビジネスのやり方です。

 あと、ブランドづくりをして、ファンの方がきちっと付いて、「これじゃなきゃ駄目」状態ができていると、ブランドのファンは年々積み上がっていくのです。そういうブランドビジネスは経営者が自覚してやるものです。ブームをつくるのとブランドをつくるのがごっちゃになっている人も多いし、露出量が増えればいつの間にかブランドになると思っている人も多い。だからブランドづくりがうまくいかないんだよな。

 ブランドというのはすごく個人的なもの、パーソナルなもので、最強のブランドというか、これは結構すごいなというのが、相対比較を超えて、「これじゃなきゃ駄目」「あなたじゃなきゃ駄目」となっているのは、子どもの頃大好きだったぬいぐるみがボロボロの状態になっても手放せないのがあるじゃないですか。あれは相対比較を完全に超えていますよね。愛着・愛情のもと、そのボロボロで、もう手とか取れそうになっているけど大事にするみたいな子どものときのぬいぐるみ。あれは完全に、その子どもにとっては、そのぬいぐるみがブランドです。これじゃなきゃダメ!なんですよね。

 さらには、行きつけの定食屋とかスナックにスナックのママさんがいて、通っていた。スナックって日本ですごく多いんです。10万軒ぐらいあるんだって。コンビニよりスナックは多いんですね。なぜ成り立つかというと、お客さまの数は多くないし不特定多数の人が来るわけではないけれど、強力なファンの人に支えられているから、「このスナックじゃなきゃ駄目」という人がいるんだよね。駅の裏側に新しいキャバクラができて、そっちのほうがかわいい子がいるよとなれば行く人も多いと思うけど、やっぱりスイッチされずにスナックのままのところに戻ってくる状態がつくれていれば、それがブランドですよね。

 次の回はブランディングに関してお話をして、ブランド自体に関しては、このコテツの配信のメインテーマでもあるので、今後もまた別な切り口でお話ししようと思っています。
 以上、久々野智小哲津でした。

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