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誰にでも好かれたい??スーパーニッチをとれ!

2022年1月26日放送


薄利多売でやりたいの?


物事を単純化して決めつけでしゃべると結構ウケがいいものです。逆に本質的なことを話そうと思うと、どうしても抽象的な話もしなければいけなくなくなるので、いつもどっちで話そうか、どうお伝えしようかと思っています。

時間が限られている中でブランディングや商売のことを話すとなれば、ある程度話をシンプルにするものです。

ざっくり言うと、ネットとスマホが出てからは、商売はグローバル・プラットフォームをとるか、スーパーニッチをとるか、極論すると、どちらかでした。ですからAmazonみたいな品ぞろえにしようという個人事業主や中小企業は、いなくなったのです。

ビジネスで一般的に手を出せる領域は、グローバルプレーヤーがほぼ全部とっています。個人事業主や中小企業というのは、スーパーニッチしか生き残るすべはありません。

スーパーニッチといっても、何万人も何十万人もいるようなことが多いから全然成立します。それでも中小企業や個人事業主は、なぜか国民的な人気なものをつくりたがるのです。

あれはどうしてでしょうか。
病気かなと思います。

コンビニの棚に常に並んでいるような、カルビーとかコカ・コーラみたいな商品になると思うのかな。どれぐらいの開発費と広告費をかけていると思っているのでしょうか。

だからこそ、スーパーニッチをとる方向なのです。

ただ極論はあまり言いたくありません。みんなが「シンプルに」と言いますが、極論を言い過ぎてしまうと意見交換の余地がなくなって、あまり好きではないからです。

そもそも、ブランドはスーパーニッチなものです。

こういう話があります。

まあまあビジネスを展開している企業に行くと、マーケティング的な分析とか顧客の使用感とかのアンケートを採っています。

でも、アンケートにのっとった商品開発をしてもヒット商品は出ません。好かれるようにいろんな人の意見を聞いて取り入れていくうちに、「誰にも刺さらないもの」になるのはよくある話です。

そもそも、ブランドオーナーとかビジネスをやる人が、「誰にでも好かれたい」と思っている時点で、ブランドからはほど遠くなる。

ヴィトンの鞄にも、モノグラムという家紋みたいなものがたくさん付いています。あれは好き嫌いがはっきり分かれるでしょう?

誰にでも好かれるものを売りたいときには「ほどほどいいもの」しかできないので、薄利多売でたくさん売ることになります。でも、それだけのリソース(ヒト・モノ・カネ・情報・時間)がありますか。

みんなが「ほどほどいいもの」を巨大資本と同じように薄利多売するか、ブランドになってスーパーニッチをとって、ファンが熱くなって「これじゃなきゃダメ」という状況をつくるかのどちらかになります。


深く刺さるブランドになれ。


ブランドを目指すかどうか、最初に意思決定してください。
そこで全てが違ってくるからです。

普通にビジネスをやっていたら、いつの間にかブランドになることはなかなかありません。海に行くか、山に行くかくらい違います。

ブランドになろうと思ったら誰にでも好かれようとせず、深く刺さることを狙ったほうがいい。

全く逆のもの、例えばダイハツの軽自動車のようにフェラーリを売ってみたいとします。

みんな2台目、3台目の車を持っているところに、フェラーリを持つようにできないかなというのもナンセンスだし、一人で吉野家に行く感覚で、ディズニーランドに毎日通えることもありません。

ディズニーは非現実です。「ハレの日」というのは特別な日という言い方ですが、「ハレとケ」でいうと、ハレのものとケのものが同居しています。日常と非日常が同居することはないわけです。

クロックスを履いてワンマイルウエアでというのは、コンビニに行くような格好で友達の結婚式に行くことで、真逆のもの。みんなが好きになってくれるブランドをつくろうというのは違和感というか、どういうこと?と思うはずです。

日常の中で、なんとなく選択されるものに入ればいいのか。
非日常として自分にとってはこのブランドに関わって、この人といることが特別だと認識されたいのか。

それがブランドと、そうではないものを分ける差です。

全員にとって特別ということはあり得ません。
好みとか愛着の強さ、日常と非日常です。

ファンの方にとっての特別な購入や体験として認めていただき関係性をつくろうと思うのであれば、「誰にでも好かれる」は速攻で捨てなければなりません。

ある人にとっては最高で、ある人にとっては最低でというのがブランドです。

日本人には、無難に行くことが最もいいという思考様式があります。

よく言われるように、就職活動における髪型とか服装です。あとは日本の芸能界においてタレントさん、俳優さんは、政治的なことを発言しません。主義主張、スタイル・スタンスを明確にしないことがいい。それが最も無難だということです。


お土産ものか、その人のためのものか?


この回の次か、その次でお話ししようと思っていることがあります。

これからは人と異なる主義主張を持っていることがその人の個性や存在証明にもなるし、ちょっと時代の流れ的に、自分なりの意見を主張していくことが結構大事になってくる。これからは変わってくると思っています。

例えば土産物のように、無難でどこにでも置いてもらうこと。

土産物というのは、ほどほど良くてどなたの好みにも合うので、人にお渡ししても失礼のないものです。最も喜ばれるように、その人のパーソナリティーとか生活様式とか好みとかセンスに合っているものを渡せばいいわけです。

一番いいプレゼントは、その人のことをわかりきっている状態で、その人じゃないと喜ばないかもしれないけれども、その人だったら喜ぶものを買うなり、つくるなりすることですよね。

空港や新幹線の駅のお土産屋では、多くの方に渡す用のものは売れますが、ブランドではありません。それとも、くれた人が熱狂するほど熱くなるけど、ほかの人からすると「何だこれ?」というもので、自分のビジネスやブランドや自分自身のあり方をお土産屋で展開するのか。

両方問いたいといっても、さっきみたいな話になります。

多くの人がいいなと思うものは、似てきてしまうんです。同じもの、無難なものをつくって勝負するとなると、露出量勝負になって結局スタートに戻ります。

そうなると資本力勝負です。人・モノ・カネ・情報・時間では物量作戦で戦うことになる。中小企業や個人事業主のゲリラが、最新鋭の戦車や飛行機をつくろうと思ったらダメなのです。

飛行機一機は、すごい金額がするでしょう?
ゲリラにはゲリラの戦い方があるのです。


小売の鉄則は2つ


2000年より前に経営を始めたとき、IT革命を「イット革命」と当時の首相が言ったぐらい、パソコンもみんな使っていない時代から自分は働いています。

そのときに小売の世界でどうやって勝負が決まっていたかというと、品ぞろえが多いところが勝っていたわけです。

商圏の設定は商品によって違うから一概に言い切れませんが、例えば徒歩10キロ圏に同じ商売をやっている競合店が3店舗あった場合、小売の勝利の鉄則があります。

1 品ぞろえの多いところが勝つ
ABC3店舗あった場合、まず品ぞろえが多いかどうか。

ライバル店に乗り込んでいってどういう品を置いているかメモして、それを一覧にして、品ぞろえをライバル店よりも優れた情報にします。これが商売を決する尺度になります。

 品ぞろえが同じであれば安いところが勝つ
こうなるとバイイングパワーです。同商圏に出したら食い合ってしまうので、近隣商圏に出して、2店舗、3店舗で同じようなことをやっている店を増やして、仕入金額を下げる交渉をする。

例えばABCでC店舗の経営者だったら、A店、B店よりもC店の近隣出店を増やし、「仕入れ量をABよりも増やすので10円安く仕入れさせてください」と言って10円安く売ると、安いところが勝つ。

商売の単純量や品ぞろえ価格のように、計算できるもの勝負は、個人事業主や中小企業には全く向いていません。

なぜならば、勝てる要素がゼロになってしまうからです。

個人事業主や中小企業が「価格で勝負」したら自殺です。ビルの上から飛び降りようとしているのと一緒。

ただし特別な仕入ルートがあれば別です。それも今この世の中では、何でも仕入られるようになっているので難しいけれど。

Amazonが出てから、品ぞろえで勝負することをうたうところがないぐらいです。安さで勝負もありません。

そうなったら、ブランドになってスーパーニッチをとることです。ほかの人が「何これ。かっこ悪い。持ちたくない」となったとしても、ファンの方が「これだよ、これ!」となる、引きが強いものを出していくのが大事です。

以上、久々野智小哲津でした。

本文は
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った内容を
文章化し加筆したものです。
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上のVoicy音声は下のリンクからどうぞ!


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