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ブランドになっていくための値づけと価値づけ。

【お知らせ】

9月27日の『コテツトーク飯』は満席になりました。
ありがとうございます。



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Voicy No.0076 2021年11月18日放送
「ブランドになっていくための値づけと価値づけ。」


どうやってプレミアムな価格にするのか?

これについて改めて
深掘ってみようと思ったのは
ご質問いただいたからです。

Voicyのコメントのところに
コテツラジオに関してコメントや質問を頂けたら

皆さんでシェアしたほうがいいなというのは
読ませていただいて
お答えしていきたいと思っています。

「ブランド、商売のカギは、内部にあり。」

について、こばビールCBさんから頂きました。

2021年11月10日
いつもタメになるお話ありがとうございます
コテツさんのお話を聞いて
セルフリブランディングに取り組み始めています
私はクラフトビールという
“少しプレミアムな日常品”ポジションの仕事を
しているのですが商品の特性からか
どうしても原価積み上げ式の値付けから
抜け出す方法が見つかりません
思い切った値付けがしづらい日常品の場合は
どこにブランド価値を置くべきなのでしょうか?
大胆な値付けだけがブランディングの成果だとは
思っていませんが
何かお知恵をお貸しください

ということで
クラフトビールを扱っていらっしゃる。

これはブランドオーナーとして
ブランドを全部いじれる立場にいるか
それとも、マーケティングとかPR担当
その事業部分でやっているかによって違って

大本からいじれるとなると
やれることはめちゃくちゃあります。

どちらかわからないので
両方の可能性についてお話しして

こばビールCBさんが
ご自身のブランドを持ってやっているのか
そういうビジネスに関わって
勤務されてやっているのかわからないから
両面に分けて説明します。

ブランドオーナーとしてできること

まずブランドオーナーとしてやっているならば、
価格をプレミアムにすることは可能です。

個人事業主や中小企業が
大企業の出している商品と同じ値付けでやると
つぶれてしまうんです。

例えばビールなら
アサヒビール、キリンビールで出している
ビールのスーパーで売っている値段とか
コンビニで売っている超大手、
ナショナルブランドのビールと
同じ値付けにするとつぶれますよ。

もし小さなクラフトビールブランドを
やっているのであれば。

個人事業主とか中小企業が
なぜあんなに大企業のまねをしたがるのか。

俺には自殺行為にしか思えない。

いっぱい露出して買ってもらおうとしたり
露出で買ってもらうって、
話がズレそうだけれども大事なところなので
はっきり言いますが

中小企業や個人事業主、フリーで仕事をしている人が露出を高めて売りたいって、大企業の露出量が

いくらかけていると思っているの?

竹やりを持って
今の米軍と戦おうとしているぐらい謎なんだけど。

なぜか、でかい企業がやっていることと
同じことをやりたがる。

すごく無理ゲーというか
ビジネス的には自殺するのと一緒と思います。

中小企業や個人事業主が
ナショナルブランドや世界的ブランドを
まねしたら絶対いけないのはなぜか。

1つが露出量を上げたら
買ってくれるだろう作戦に出ること。
ここは絶対にまねしたらダメ。

コカ・コーラを目にする機会って
どれぐらいつくれていると思いますか。

それに何千億使って
何年の歳月でつくったと思いますか。

コカ・コーラを
ほぼ毎日目にするような印象になるぐらいって
もう何兆円かけていますよ、世界的には。
CMと自動販売機の配置と
コンビニの棚とスーパーの棚とで。

露出で買ってもらうというのは
有名になれば買ってもらえるという量的露出が
個人事業主と中小企業で
そんなものを目指しても無駄じゃないかぐらい
人は、たびたび見ないと買わないのです。

500億、1000億ぐらいの企業のブランドって
誰も知らないですから。

伝わりますかね。

だから露出量で勝つのをやめる。

値決めもクラフトビールをされているのであれば
原価積み上げ式で値段を付けたら
絶対にもうビジネスなんて成立しない。

参考にしている価格が
キリン、アサヒ、サッポロ、サントリー
四大メーカーと同じような値付けじゃないと
買ってもらえないと思っているのであれば
それをぶち壊さなければダメです。


ブランドのポジショニング

ではどうするのか。

ユーザーの言う標準的価格相場が
あるじゃないか的な話になりますが、

価格相場は、あってないようなものです。

例えば自動車といったときに
ダイハツの軽自動車みたいに
40万円で買えるものもあれば

フェラーリみたいに5000万で買えるものもある。

この価格差は何倍ですか。
100倍なのです。

自動車はどこにポジショニングを取るかで
値段とその求められ方は変わってくる。

東京では車に乗らないけれども
田舎だと結構あるあるのケースが

家に車はあるけれど
子どもが免許を取って
子ども用に安めの車を買うことがある。

1免許1台みたいなことってある。

そうなると足代わりだから
フェラーリは買わないじゃないですか。

息子が免許を取れるようになって
初めての車というときに
5000万でフェラーリだな、とならないですよね。

それは
フェラーリというのは、そういうライフスタイルを
周りに表明するステータス商品だから。

こんな当たり前のことを
説明しなくていいと思うんだけど

なぜか商売をやる側になったとたん
自分の商品とかブランドのポジショニングとか
位置付けを間違ってしまうんです。

クラフトビールで丁寧につくっているのであれば
そもそもサントリーとかのビールと
一緒にしてくれるなよという意気込みでやらないと
マジでつぶれます。

これは、こばビールCBさんにだけに
言うのではありません。

日本人は儲けちゃいけないと思っているし
中小企業や個人事業主が丁寧につくったものを
大量生産で原価を安くして勝負している
薄利多売の巨大メーカーと値決めを並べてしまうから
儲からなくてイヤになってしまうのです。

「少しプレミアムな日常品」と書いてあるんだけど
全く特別品の立ち位置に
変えられるなら変えたほうがいい。

ポジショニングは
どういう立ち位置でやっているのかな。

フルーツといっても千疋屋や
タカノフルーツパーラーで売っているように
1房8000円のブドウもあれば

近所のスーパーで売っている
400~600円のブドウもある。

これは売る側が「こういう位置付けのものだよ」
と表明するところから始まるのです。

なので、思い切った値付けがしづらく
日常品の場合と書いてあるのが
どのくらいの規模感かわからないけど

リブランディングして
ブランドの位置付けを上げていくことで
値段も上げていくことが可能だなと思っています。


値付けのメンタルブロック

やっている側のメンタルブロックなんですよね。

これはこばビールCBさんにだけに
言っているようになっていますが、
そうではなくて
日本人ってメンタルブロックが激しいのです。

儲けたらいけない。
価格は原価に3割乗せるのが標準とか
2割乗せるものだとか
勝手な思い込みで勝手に儲からなくなって
クオリティーが上げられない。
ビジネスが続かなくなっているんです。

なので、まずはその辺です。

「大胆な値付けだけがブランディングの
成果とは思っていませんが」だけど

これは実は逆で
ブランディングの成果で値段を上げられるのではなく
高めの価格設定でやるブランドで
特別なときに
特別な扱いのものとして値付けをすることで
ブランドの中身を付いていかせるのです。

伝わっているかな。
次のチャプターで、もう少しここを補足します。

フェラーリとダイハツ。どちらも自動車だけど。

ニワトリ卵みたいな話を
しちゃっていると思うので話しますと、

個人事業主とか中小企業で
よくこういうことを言う人がいます。

「まだ実績がなくて誰にも知られていないので
もうちょっと実績を積んだら価格を上げて……」
と言います。

これはニワトリ卵の話なんですが
安く始めた商売で
値上げをし続けるってなかなか難しい。

価格を下げることは全然できるので
ブランドにするのであれば、
高く始めるのがいいのです。

高く始めて
そういう特別な扱いをされる方向で
全ての価値づくりをしていく。

これはビールを売っていると思っているから
価格を上げられないのです。

これは他の放送のときも言っているので
コテツラジオを本当によく聞いてほしい。

これはビジネスのキモです!

商品があるから
このビールがあるから
このビールを宣伝して
買ってもらおうと思っている間は
ブランドにならないのです。

ブランドを買ってもらわないといけないので
ブランドが気に入って
ブランドにお金を払おうと思ったら商品しかないので
結果的に商品を買うというのがブランドです。

ですから
ビールの説明をするのではありません。

クラフトビールをやっている思想・スタイル・在り方
歴史があるならルーツ・ヒストリー・ポリシーとか
その辺のものの価値を認めていただいて
愛着を持っていただいて
そこを好きになってもらう。

ただ無形のブランドという概念なので
概念にお金を払ってもらうのが難しいときは

「実はそのスタイル・コンセプト
思想に合っているものが、これなんです」。
「買います!」というのがブランドなのです。

ヴィトンのバッグを買っている人は
バッグが欲しいのではなくて
そもそもヴィトンに入れ込んでいるのです。

マーケティングとブランディングの違いを
ご質問いただいていますが、

製品があって、製品をどう宣伝しようかというのが
マーケティングの領域で
製品をどう宣伝するかの上位概念として
ブランドをどう好きになってもらうかが
ブランディングです。

こばビールCBさんがやっていらっしゃる
クラフトビールも、ビールづくりなのか
ルーツ・ヒストリー・ポリシーという
出だしのところがどこにあるか全然わかりませんが、

本当は物に寄っていかないほうがいいのです。

物が特別じゃないと高い値段が付けられない
と思う方が多いです。

俺はフランスの高級チョコレートを
日本に持って来たのが
ブランディングの最初だったんです。

チョコレートって
そんなにどれも変わらないですよ。

フランス人ショコラティエに
「このチョコレートはどこと似てるよね」と言うと
「俺、師匠一緒だからさ」。

横にあるAとBとCというブランドで話していて
あるチョコレート、ボンボンショコラといって
粒チョコが似ていたとします。

食べてみたら味もほぼ変わらなくて
見分けが付かないときに
もちろん、親しくならないでそんなことを言ったら
多分怒られてしまうので親しくなってから言うと
「実はAというブランドとCというブランドと
俺はBじゃん。実は習った師匠が一緒なんだ。
同じところで修行しててさ、
つくり方が一緒だから味一緒だよ」
みたいな話なのです。

では、なぜ値段が違うのとなるけど
そこがブランドなのです。

値段が高い理由を
つくり方とか材料の高級さに持っていくのが
すごく真面目な日本人の考え方です。

最近YouTubeで話題になっていますが
エルメスの45万円のバッグは
原価2万円というのが出ている。

でも実はもっと安いんじゃないかと思います。

20倍、50倍で出しているものもいっぱいあるから
ラグジュアリーブランドの場合は。

これが日本人には理解できないと思うけど
それがブランドなのです。

そこのスタイル・思想・哲学とかに共感して
それをまとう。
それを身につける。
それを手に入れる。
それに触れるから
高いお金をファンの方が払うというところです。

うまく伝わったかな。


プレミアムラインで価格を上げる

もし仕事としてマーケティング、
ブランディングをやって
このクラフトビールを売っていく場合は
1つ上の別ラインをつくったほうがいい。

テクニック的なアプローチになりますが、
ずっとこの価格でやってきて、
いきなり価格3倍にできないというけど
価格3倍にしてみたらいいと思う。

もしクラフトビールをずっとやってきた価格から
もう少し値段を上げたいと思っているなら
それを上げていくのもあるし、

そのプレミアムラインを出して価格を上げるというのは
こばビールCBさんが
マーケティング担当とか事業部長とか、
そういう位置付けでやっていらっしゃるのであれば
その辺はやり方としてあると思っております。

質問いただいて非常にうれしく思っております。

以上、久々野智小哲津でした。

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このコラムは、
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った
内容を文章化し加筆したものです。
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無料で聴けます。

上の音声は こちら からどうぞ。

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