ブランドとは、名前をたくさんの人に覚えてもらうことではない。
Voicy No.0130 2022年3月14日放送
知名度を上げてもブランドにならない。
今日のテーマは「ブランドとは、名前をたくさんの人に覚えてもらうことではない」という話です。
SNSというくくりでVoicyは音声コンテンツ発表の場だし、noteはコラムとかの発表の場だと考えると、Twitterとかインスタは、最近あまりやる意義を感じていません。
でも情報収集もしたいし、Twitterとかインスタは一応マーケットや世の中とピント合わせするのにはいいのかなと思ってやっています。
Twitterは見解を述べ合って、ビジネスで自分のスタンスを明らかにして仕事を増やすという使い方も一大用途として存在するから、Twitterで見解の延べ合いみたいなものを見たりするときがあります。
でも、Twitterは議論に一番向いてないSNSだと思っているので、真面目な議論する気はハナからなくて、最近はビジネスのことをつぶやくのもやめています。
「こんな感じのところを見ました」とか、「お客さんの仕事で、こんなのがあります」程度はやるにしても、深い話や議論の発端となるようなことは、やりたくないなと思っているのです。
Twitterを見ていると、いろいろなやり取りが目に入ってきます。ビジネスを始めた当初は、まず集客と新規獲得ばかりに頭がいきます。
それと、子どもの頃から大企業のコマーシャルを見てコンビニとかで物を買っているので、カルビーのポテトチップスとか、日清のカップヌードルとか、コカ・コーラとか、そういう巨大ブランドやメーカーは、マスに対して棚を取って名前を覚えてもらうだけと思っています。
一日のうちに目にしてもらう時間とか、面で棚を埋めていく作業とか、看板広告を出したりテレビCMをやったりして名前を覚えてもらって「迷ったらこっちを取ってもらおう作戦」みたいな商売をずっと見ているわけです。
ですから、商売はそういうものだという思い込みがある。
この前Twitterで、いわゆるビジネス談義というか、意見交換みたいなのを目にしたときに、なかなかの会社の経営をやっているレベルの経営者の方が、「名前を覚えてもらって、手に取ってもらうブランドになるのは、相当難しい」というようなことを言ったのに対して、いろいろ議論が行われていました。
そもそも中小企業とか個人事業主が名前を覚えてもらって、それだけで仕事が入ってくる状態にするというのは無理ゲーです。そもそも、それはブランドではないからです。
ブランドやブランディングが何のことを言っているのかを明らかにしない限り、完成形が見えてない料理をつくり出すみたいになります。
一般的なニュアンスで捉えると、そう定義して喋っている人がいるかというといないけど、ブランディングはインスタを使ったビジュアライズのイメージアップで、それがブランディングのように捉えられています。
いい印象、いいイメージを上に塗り重ねていくことがブランディングになっているようで、ブランドというのは、みんなが知っているメーカーがブランドになっているじゃないですか。
でも、これにはブランドではなくて、有名日用品というカテゴリーもあります。「ブランドとは」というのは他の放送できちっとやっているので、お聞きください。ブランドというのは、そのいちファンの方から「あなたじゃなきゃダメだ」という状況になっていることで、全員にとってではありません。
だから、自分自身にとって相対比較と金額比較と性能比較を超えて、金額が高かろうが他と比べて高かろうが安かろうが、他と比べて性能がよかろうが悪かろうが、「このカテゴリー、この分野の商品を買うときは、これと決めている」というものが、いち消費者にとってブランドだというだけなのね。
だから、カバンが欲しいなと思ってヴィトンに入ってこうと思っている人に、ショップの入り口の前で大の字になって「入るな」と言って、「君、カバンが欲しいんだったら、オレのエコバックをあげるから買わなくていいじゃん、20万もするカバンを」と言っても、「ルイ・ヴィトンのカバンじゃなきゃダメ」というファンの方にとっては、コストパフォーマンスとか性能とかではないのです。
自分のライフスタイルや哲学と合っているとか、メッセージ性に共感しているので買っている状態です。ブランドというのは「これじゃなきゃダメ」というファンがいる状態で、ブランディングというのはファンをつくる活動のことです。
その良いイメージが伝われば、ファンになってもらいやすい。ですから、いいイメージアップ戦略をブランディングのファンづくりの中の一つとしてやりますというのであればいい。
ブランドがファンとどういう関係をつくるかというのがブランディングですから、ブランドというのは、詰まるところファンとの関係を築くことにかかっているのです。
「興味メーター」を振り切ると起こること。
となると、そのSNSを頑張って露出で知名度を上げても、100人が興味メーターというか、興味カウンターみたいなのをそれぞれが数値で表現できるとして、「興味が私、どれぐらいあります」というのが100点満点で興味100%となるように、例えばおでこに数字でも出て、ファンになる指標が目で見てわかるようになっていたとします。
そのときに100人の人が興味メーターで100%中1%の興味。100人はみんな知ってるけれども1%の興味という状態をつくるのと、100人の中で98人は興味メーターが0%だけど、2人だけが興味メーターを振り切っちゃって、バーンってぶっ壊れて100%のメモリを突き抜けて120%ぐらいになる。
だから98人は知らないし、2人はもう興味が高まりすぎて、「これじゃなきゃダメ」状態になっている。
この120%に振り切ったお二人からすると、あなたのブランドだということです。
だから100人の興味メーターが100%で合格ラインが1%だと「知っているけど、以上」は起こらないわけ。
「それだと大勢の人に買ってもらえませんよね」という人がいるんですが、それがネットとスマホが出てきて状況が変わって、興味メーター、興味メモリが120%まで振り切った人は、自分で投稿します。それが今までと全然違うところです。
インスタでインフルエンサーにお金払ったりして、大して満足もしてなくて、使ってもいないものを推してもらうぐらいなら、自分のファンの方が120%の状態になって、興味度120%で、もうこれじゃなきゃいけない状態を振り切っていて、その方々がTwitterとかインスタで、今日も手に入れちゃった何々をやってくれたほうが、広がると思いませんか?
ですから100人中98人が知らなくて、2人が120%だと時間がかかるといっても、そんなにかからないです。
カギはファンイベント
この話をすると「その状況をどうやってつくるんだ。それを教えてくれよ、コテツちゃん」となるわけだけど、それはもう直接対話です。
これもTwitterとかインスタは頑張るのはいいと思います。ただ、それだけやって興味%が1%の人を100人だったのを120人や130人にしても、無料だから眺めているだけで、全く足を動かして買いに来るつもりもなければ、ネットでポチるつもりもないみたいな状況をいくら広げても、しょうがないじゃないですか。
そうすると、もう直接対話なのです。
ファンイベントは、新規の方用のファンイベントと、既存の方のファンイベントを別々に企画してやる。ファンづくり活動をやるのかやらない
のかです。
ブランドというのは、名前をたくさんの人に覚えてもらうことではありません。名前を覚えてもらって買ってもらうっていうのは無理ゲーです。
じゃあどうするか。
直接対話です。
直接対話とはファンづくり活動で、それをやるのかないのかは、ブランドオーナーが決めることです。それを新規用のファンイベント、最初の接点の持ち方として企画するのと、もう一つが既存のファンの方対象にイベントをやることです。
ハイブランドが売れ続けるワケ
ハイブランドって、宣伝もやらないのになんであんなにずっと売れ続けているか。もう何千億とか、グループによっては何兆円と売れているでしょう?
30万とか20万とかのカバンとか、洋服もグッチのメンズだとジャケットでも30万~50万します。靴も大体12~13万から25~26万ぐらい。これが宣伝もしないで、なぜ売れているのか。数だって、そんなにわんさか来ないです。
何をやっているか。
それはもう既存のファンづくりイベントを、めちゃくちゃやっているわけです。儲けた利益を既存のファンとの直接接点になるイベントに、めちゃくちゃ使っているのです。
CEOから、ブランディングオフィサーから、マーケティングオフィサーから、職人から、全国を回って重要な顧客やファンの方との接点をつくるのに使っているから、150年たってもファンの方が熱いわけ。
スタバのファンづくりは。
「いやいや、ハイブランドわかったけど、もっと身近なものはないの?」というなら、スタバは店舗がまあまあ広くて、レジのあるカウンターが広いところでは、端の方でコーヒーのイベントをやっている。
ミニセミナーみたいな感じでコーヒーの飲み比べと、ちょっとしたスイーツの食べ合わせのイベントを結構やっています。コロナで最近はちょっと抑えめですが、あんなのは1円にもならないです。そう思いませんか。
しかも、スタバってコーヒーのお店じゃないしね。
実はフラペチーノが売れているんです。
でもブランドとしてのあり方が「コーヒーを大事にする」ということなので、コーヒーを大事にし、しかもスタバでゆっくり過ごしてくれる方、スタバのコーヒーへのスタンスに興味を持ってくださる方と、コーヒー以外もイベントやっていますが、コーヒーの飲み比べとスイーツの食べ合わせで、楽しみ方を教えています。
別にそこで受注会みたいに発注もらおうとか、それがセールスの会で最後にクロージングがかかるということではありません。
あれはもう既存のファンづくりイベントなんですけど、結局そういうことをやっているんだよね。
ですからブランドがマーケティングをやっていった先に、有名になればいつの間にかパッケージと名前だけで手に取ってもらえると思っている人は、多分ブランド自体の捉え方があまりうまくありません。
ブランドというのはファンとの関係づくりで、それはもうやるか、やらないか、ブランドオーナーあなたが決めることです。
自分自身も個人でもブランドなので、自分自身で決めてください。
以上、久々野智小哲津でした。
ブランドとは、名前をたくさんの人に覚えてもらうことではない。 | 久々野智 小哲津(くくのち こてつ)「コテツのブランディングと商売の話」/ Voicy - 音声プラットフォーム
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