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どうやってお客様の興味をひくか?

Voicy「コテツのブランディングと商売の話」コラム
読めばブランディングができて商売が上手くなる

このコラムは、コテツがVoicyのブランディングと商売の話で語った内容を文章化し加筆したものです。
Voicyアプリをダウンロードして『コテツ』で検索、無料で聴けます。
Voicyもお聴きください。

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Voicy No.38 2021年9月15日収録
どうやってお客様の興味をひくか?

興味のフック

まず質問を頂いたのでお読みします。
kinaさんから頂いた質問です。

「コテツさんが以前話をされていたトレンド的なフックになる商品の宣伝と、あおりマーケティングの違いについて教えてもらいたいです。
まずは興味を持ってもらうことはブランドでも必要だと考えています。
ウソにならない範囲でトレンド商品や顕在ニーズのあるフロント商品を、切り口を変えながらマーケティングし、購入してもらい、その後ブランドの魅力を伝えていく。
今回のマーケティングのお話は表現の仕方についての指摘ということなのでしょうか。ご教授いただけるとありがたいです」。

これはコテツラジオの「マーケティングの顧客心理操作について」の回をお聞きいただいての質問です。そのときに、今世の中のマーケティングが変わってきているのではなくて、購入しファンになり行動する消費者心理が変わってきたので、マーケティングを変えたほうがいいというお話をしたのです。

なのでマーケティングの変化に関してお聞きになりたい方は「マーケティングの顧客心理操作について」をいったん聴いてもらえればと思っています。
<音声はこちら https://voicy.jp/channel/2089/198741 >

kinaさんは、お仕事とか商売に熱心に取り組もうとされていて、なかなか鋭い考察かなと思っております。まずブランドづくり、マーケティングとブランディング、これを2つ同時にやるのが理想的。マーケティングは興味をひくことで、ブランディングは愛され続ける理由を伝えて共有することです。

商売には、絶対に必要な2つの要素があります。

1つは興味のフックです。興味のフックが掛からなければ一歩前に出て自分の商品とかサービスに近寄ってきていただけないので、興味のフックを掛ける必要があります。興味のフックというのは、世の中的に言えばマーケティングです。商品・サービスを、自分のブランディングであれば、1つつくっていきましょう。あるいは、興味のフックというのは変えていくものなので、時代とか状況に合わせて変えていきましょう。

もう一個、興味のフックだけで近寄ってきてくれても、ブランドづくりをしていかないとファンの方が愛する理由がありません。ファンの方と一緒に歩んでいって、これから先々どうしていいことがあるのかを伝えていく。例えるならば、マッチングアプリでマッチングするためにいい写真を撮るとか、こうやってプロフィールを書いて興味を持ってもらうというマッチングアプリで「いいね」をもらう方法が、興味のフックとマーケティングです。

マッチングアプリを興味のフックにして「いいね」をいっぱいもらっても、それでいい恋愛ができるかは別です。その方自身が魅力を整理して、何回も会いたいと思ってもらうためには、会い続けたいと思ってもらわないと恋愛は続かない。そうするためには、どういう在り方で、どういう魅力をどう伝えていくかが必要ですが、それには繰り返したり手間がかかったりしないと、深い魅力を伝えきれないという両面があるのです。

ですからマーケティングが上だとかブランディングが上だとか、どっちかだけやればいいのではありません。ほとんどの場合、商売の話をすると、なぜかみんな興味のフックをどう掛けるかは話しますが、自分がブランドとして愛される理由を考えていないのです。一回買ったら終わりとか、ブームが過ぎたら、その商品とかサービスは終わりみたいになってしまうという話をしています。これはコテツブランド論の結構中心的な話です。

kinaさんが質問してくださったところですが、興味のフックでコラボをしてブランドに最初に興味を持ってもらうことは、とても有効なやり方です。

スターバックスはコーヒー豆をとても大事に扱って、おいしいコーヒーを届けますというのがブランドの在り方で中心的価値だけど、コーヒーの味がわかる人とかコーヒーの味だけを求めて足を運ぶ人は、全体数として多くはない。吸引力として強くはないところから、スターバックスは興味のフックとしてフラペチーノを用意しているのです。フラペチーノは甘くて派手な飲み物ですよね。シーズナル商品として、興味のフックとして、フラペチーノで足を運んでいただく機会を、若年層、ティーンのところからつくっているのです。

そうすると、スタバへの興味のフックとしてのフラペチーノで、写真を撮ってインスタにあげたいと女子高生は思っているから来てくれる。女子高生が来るということは、大学になったら大学生の彼氏と一緒に来るようになり、大人になるにしたって勉強するようになり、仕事をやるようになり、途中から「コーヒーもおいしいね」「スタバはほかのデザートもおいしいね」となり、そこで本当にファンになっていくのです。

だから、スターバックスで言うと、興味のフックがフラペチーノで、ブランドとして愛してもらう方法としては、コーヒーに対するこだわりです。

スタバはセミナーみたいなものをよくやっているんです。今はコロナで中止しているけれど、コーヒーの飲み比べと、ちょっとしたコーヒースイーツとの食べ比べをカウンターの端でやっています。それは結局、ブランドの愛される理由づくりじゃないですか。これが興味のフックの話です。

マーケティングで顧客心理操作でやりすぎだし、それをやっていたらブランドにならないよと言っているのは、この前も言葉を濁してしまったかなと思って、話し終わったあとに引っかかっているのだけど、今ニュースアプリやニュースサイトでニュースを読もうとすると、美容系健康系のコンプレックス商品で、普通にあり得ないような現象を写真にしています。

例えば、鼻の頭から皮脂みたいなものが、じょうろから水が出るみたいに飛び出している写真を使ったりして、鼻の毛穴の黒ずみがこれで一発だとか、肌のシミが家庭のキッチンにある何とかで取れるとか。あれはもう興味のフックではないでしょう。あれはブランドになる気はないでしょう。

「ブランドになる気はない」と言われればそれまでだけど、あれはマーケティングではないですよね。誇大広告として取り締まられないけれど、実質あり得ないことを書いて注目を浴びるようなやり方です。

前回の「マーケティングの顧客心理操作について」でもお話ししましたが、人は飢餓感とか恐怖とかを先に教育して、救世主的に商品とかサービスを出したら買ってもらえることは、心の構造上あり得ます。商売で売るためには何でもやることを否定はしません。ただそうであれば、もうブランドになるのは、やめたほうがいいということです。


他人と同じ事はしない

これはいいか悪いかというのは、コテツが判断したからそれが正解ではありません。最初にコテツのナチュラルプレゼンという自己紹介のときに話しているけれど、経営を20年以上やってきて、いくつか途中で考えが変わったことがあるからです。商売は短距離走ではないと、なんで20年以上にわたって言っているかというと、会社を20年以上やるには自分を変えざるを得ないし、相当いろいろ変化し工夫しなければやっていけないからです。

自分は当初会社をやり始めたときは、若くして会社を大きくしするのにあこがれていたし、それがすごいと思っていたけれど、やはり会社を伸ばしながら続けるほうが難しい。社会とずっとマッチし続けることだから。

だからコラボとかで興味のフックをひくのです。

例えば、グッチがドラえもんとコラボすることで、あんなダサいのをなぜ出すんだとか、わあ、ドラえもんだ、かわいいとか、賛否両論を生みながらブランドに触れて手にとってもらう機会を増やすこだし、マーケティング上、ただの賑やかしです。

誰のためにもならないようなコンプレックス商材に本当に多いです。これだけやっていれば全て解決みたいな、口臭もこれで全て消えるみたいな。いやいや、歯医者に行かなきゃ無理ですよ。そんなことがあるわけないじゃん。これだけやればすぐ解決みたいなものは、興味のフックではないからね。

危機的状況にあるとか、会社をやっていて売れていない人ほど、手っ取り早いノウハウを欲しがります。これは本当に言葉の選択が難しいのだけど、世の中的に情報弱者とか知識がない方とか、あまり自分で情報を取りにいかない方というのは、危機あおりとか顧客心理誘導型広告にすごく反応しやすい。それをわかってやっているという過剰顧客心理誘導型広告と、興味のフックを掛けるためのコラボとか工夫は、全く違うということです。

何か自分が大事にしている、お届けしたいと思っている商品やサービスがあって、それを今の時流から言えば、こういうイベントをやって、ある種コラボとか、今の興味からいけばやったらいいかなと考えていけば、そのコラボは最初、興味で来てくれたり買っていただけたとしても、その先ファンの方やお客様とつながっていけます。

それが、最初にあおりにあおって一発だけ買ってもらうとか、サブスクに1回登録したら解約しにくくするとか、訳の分からないやり方でお客様とか消費者を抱え込んだところで、そんなところに愛したいと思うところはないから続きません。

なので、全くこれは自分の中では別物としてお伝えしたかったんですが、説明が足りていなかったところをkinaさんが良い質問をしてくださったので、改めて補足させてもらう機会を得たから、とてもいい質問をもらえたと思っています。

ほとんどあり得ないことを健康系・美容系の広告としてうたって、あれをマーケティングと言っていると、結局マーケティングは、そういうものだと思う方がいますよね。こんなふうにやれば、お客様のコンバージョンが上がる、買ってもらえるみたいな。それはいいけれど、そういうことをやり続けて、その先に何があるのと思っています。

でも、この辺は商売のやり方の違いと言われればそれまでなので、法的にコテツさんが裁くわけではないですよねと言われれば本当にそれまでなので、自分は今ブランドをつくっていく方のご相談に乗って、その方に全力を尽くしているので、あのやり方はブランドからはほど遠いと思っています。

コラボによる興味のフックとか、今の時代にマッチしている企画やイベントをやることによる興味のフックをかけることは、とても有効です。

これでちょっとだけ気を付けたほうがいいことがあります。みんなの興味があることに合わせていくと、ほかと同じ興味のフックを掛けることになる。だから『鬼滅の刃』がいくら流行ったから、いろいろな商業施設が『鬼滅の刃』のグッズを売りたがっているんだ。俺は商業施設関連をやっているから裏側で話を聞くけれど。ただ先々月までほかの商業施設でやっていた『鬼滅の刃』のグッズ展みたいなのと同じことが、次の月から始まったところで、というのがある。

俺が定点観測しているところで、東京中野にある中野ブロードウェイがあります。そこはまんだらけとかいうお店の巨大版みたいなもので、古い漫画とか、サブカルチャーの雑誌とか、そういうサブカルの聖地みたいなところです。これはググってほしい。説明がうまくできていないので。

そこはサブカルチャーのお店がいっぱいあるから、本来は一個一個のお店に個性があるから面白いわけです。例えば、ないものがあるところにサブカルチャーの聖地としての意味があるけれど、中野ブロードウェイの各店舗がしっかり市場調査を始めたのか、みんなドラゴンボールとワンピースと鬼滅の刃グッズを増やしているのです。これは何なのと思って。

ほかには置いていないような、こういうものがあるという店が全部同じ品ぞろえになったら興味のフックは掛けられるけど、そこに繰り返し行かなければいけない理由を下げていることになるので、繰り返しは行かなくなりますよね。

ブランドとして何を大事にするかきちっと持った上で、興味のフックをコラボとか今の時流に合ったイベントでお越しいただいて、接点を持った方にブランドの在り方を伝えていくやり方で、マーケティングとブランディングを両方やってみてください。

以上、久々野智小哲津でした。

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