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【ゲストやまけん】ブランドのスタイルとはなにか?

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Voicy No.0087 2021年12月6日放送
【ゲストやまけん】ブランドのスタイルとはなにか?



どうやって自分のスタイルを見つけるか?

コテツ:また、やまけんさんです。よろしくお願いします。
今日は「スタイルとはなにか」について意見交換したいです。

「在り方、哲学、思想、スタイル、センスがブランドですよ」というと、「スタイルってなんですか」という質問が結構来ます。
やまけんさんはスタイルをどう捉えていますか。

やまけん:この1カ月ぐらい考えた結果、「スタイルとはルールである」というのが1個、自分の中で落ち着いた言語化の答えです。

コテツ:それはセルフルールですか、マイルールですか。

やまけん:マイルールです。

「これが嫌い」というところから生み出されたマイルールです。この人にはスタイルがあるねとか、スタイルが確立したと言われるときのスタイルは、「オリジナルなスタイル」というオリジナルが先にあるわけです。

でも、「この人にはスタイルがある」というのは、必ずしも整っているという意味ではなくて、オリジナルではないケースがあるわけです。

コテツ:その人にスタイルがあるというので「ある形」に見えていますが、
何かのコピーである場合もある。

やまけん:そうです。ファッションで「スタイルがあるね」となった場合に、それはスタイルがいいじゃなくて、服でいったら「おしゃれだよね」と。でも、その「おしゃれだよね」というのは誰かがファッション誌の流行とかをうまく取り入れてやったもの。それではオリジナルなスタイルを確立しているとは言えません。

スタイルは結局、好き嫌いから生み出されるものだと思うんです。ただ大事なのは、好きじゃなくて嫌いのほうから生み出さないとイケてないことが多いと、いろいろな人を調べていて思っています。

コテツさんだったら、いつも「誰がそれを着るんですか」という服を着るじゃないですか。しかも服のバリエーションがすごく多い。僕は服をあまり替えないし、基本的には好きなTシャツ、トレーナーみたいなものがいくつかあって、好きなジーンズがある。

でも、これはコテツさんだったら、大きな広告会社をアンチテーゼみたいな感じでというのも、そこのそういう仕事の仕方が嫌いだからという自分の仕事の仕方と在り方と服装が、若干関係しているのかなというのがあります。

自分がこういうものが嫌いでこういうものが好きだから、こういうルールでとなったときに、そのルールが自分のいる業界の一般的なルールに則っていると、オリジナルなスタイルにはならないと思うんです。

だからマイルールが出るときに、業界の一般的なルールではない「なに」をルールにするのかによって、オリジナルなスタイルがつくられるんじゃないかと思う。


北野武監督のリアリティーとは

やまけん:北野武が映画監督を初めにするとなったとき、彼が撮ろうと思ったんじゃなくて、ある監督のところで自分が普通に俳優で出る予定が、その監督が撮れなくなったから代わりにと言われて、「いいんですか。やったことないけど」と言って1回目につくってみたら、その作品はめちゃ出来がいいわけではないけれども、まあできたんです。

でも、なぜそれが映画の撮り方を知らずにできたのか。自分がお客の立場で、それなりにバイオレンス映画を見ている中で、こういうものが嫌いというのがあった。だから自分が育った下町では、やくざがけんかしたりしたのを見ていたから、普通のガチのけんかで、どっちかがドンと一発なにか出して、ナイフで刺して死ぬ感じがリアリティーだという彼の認識があった。

撃ち合いをするとか殴り合いは、リアリティーがないから嫌いだから、自分がバイオレンス映画を撮るならドスッと一発やって、相手が崩れ去る感じのものがいいということでやったのです。だから彼はジャッキー・チェンみたいなものは嫌い。あれはお笑いでしょうという世界なので。

ハリウッドみたいな映画中で、バイオレンスを派手にやってアクション映画として成立させるんでしょうというルールがある。それに対して、そのルールは嫌いだから、自分のルールとしてはリアリティーがよりあるような形で映画をつくろうとした。

自分は根本的に変わらない。「リアリティーがないのが嫌いで、リアリティーがあるものが好き」という感じで、その好き嫌いはあまり変わっていかないから、自分がそこをあえて意識していなければマイルールになっている。

そのルールをずっとやっていった好き嫌いの延長線上では、「この人の映画って毎回こうだよね」というのが見ている側からもわかる。それが好きか嫌いかという話になっていくのではと思いました。嫌いが明確になっていないケースは、スタイルをつくりにくいなというのはある。

コテツ:それは多い気がします。「大人になって社会に出ると、好き嫌いではやっていけない」みたいな世の中的洗脳がありますが、大人になったからこそ、好き嫌いを言えるわけです。子どものときは強制的に集団生活をさせられてしまうし、しないと学べないからしょうがないと思う。小学校、中学校で好きでもない人と同じクラスになって、席替えです。

大人になることがなぜいいかというと、自分に経済力と基準があれば嫌なヤツが横に来たら席を立てるからです。好き嫌いを言うから大人なんです。やまけんさんの言っているのですごくしっくり来ました。嫌いがないからスタイルができないというか、そのスタートにならないというのは、すごく思います。

やまけん:好きのほうだけだと、全体の中で合わせにいっているケースがまあまああるから、嫌いのほうがオリジナルとか個性をつくることが、いろいろと見ていて多いと思っていて。だから、一般的に「これがはやっているよね」とか「ウケている」ものに対して嫌いを明確にした人たちが、ココ・シャネルや椎名林檎などのブランドになっている人たちです。嫌いが明確にあるから、その中からマイルールを決めていっている。

コテツ:本当にそれはあるな。そうか。スタイルをつくるには、自分の嫌いを確認しないといけないですね。

やまけん:嫌いを確認しないといけないし、むしろ好き嫌いがあまりないなら、ブランドやオリジナリティーをつくることには向きにくいかなと。

コテツ:ないのかな。あまり追求して考えていないと思うんです。

やまけん:追求して考えていったら、好き嫌いがだんだん明確になっていく。僕も1年前ぐらいからようやくアートを見始めたけれど、初めは好きも嫌いもなかった。でも1回家に買ってみて、いっぱい見ていったら、こういうのは好きだけれど、こういうのは嫌いとなった。嫌いがちゃんと明確になっていくことが、すごく大事なのかなという気がします。

コテツ:「スタイルってなんですか」という質問を受けて、これが結構大事だと思ったのが、自分の活動とか好みとかコンフォートゾーンというか、自分の行動範囲以外のものに触れようとしない人って意外と多いと思ったことです。

やまけんさんが言ったとおりで、アートもいろいろ見ているうちに好きと嫌いが出てきたんだけど、見に行かない人って好きも嫌いも出てきません。食わず嫌いというか、食わず好きでもいいですが、意外と人は同じ行動範囲でしか行動していないので、やってみたらわかることがあるんです。

「スタイルをつくるにはどうしたらいいですか」と聞かれれば、自分と全く違うライフスタイルの人の生活をちょっとのぞいてみたり、体験したりするしかないと思う。そうすると、意外と好きだなということもあるし、やっぱりこれはダメだなと思うときもある。

自分も好きとか嫌いとか、やってみてというのが明確にあります。自分は経営者が集まってやるような趣味は、あまり好きじゃない。経営者が集まってやるゴルフとか釣りとかトライアスロンって、関わってみても全然好きになれなかった。

経営者って大変なこと、すごいことをやっているぞと言いたい部分がある。前澤さんが宇宙に行くのは、「こんなすごいことをやっているぞ」というのがエスカレートした結果、宇宙に行くしかなくなったからだと思います。

「すごいことやっているぞ」みたいなのでトライアスロンをやっている経営者は多い気がして。これは僕の勝手な主観です。好きか嫌いか、ここには具体的な理由があるわけではなくて私の感想なんですが、自分は経営者が集まる趣味には全然行かないのです。


20年選手はこれが違う。

コテツ:好きとか嫌いとかって大事ですよね。

やまけん:大事だし、スタイルをつくっていくのに、僕がすごく注意したほうがいいと思うことがあります。

スタイルは専門性と専門特化と勘違いされることがすごく多くて、それは絵の世界でもそうだし、どこの世界もそうだと思いますが、専門特化していくとなって、自分のルールはこうでジャンルはこうだとなるときに、そこのポジションはもちろん専門特化しているから取りやすくなるし認知もつくりやすくなる。

けれども、最近の天才研究で、10年ぐらい第一線で活躍している人はすごいですが、10年選手と20年選手は結構違うというのが肌感覚である。20年選手になってくるとなにが違うのかというと、どうやってそのスタイルを壊せるのかをやってきているなと思っていて。

スタイルがあったほうが評価はつくりやすい。ただ、その評価が自分の好奇心とか創造性を狭めてしまっているケースでは自分が飽きてくる。すると、そこに対する熱量が下がってくるから人気も下がってくるわけです。

でも、コテツさんも自分がやっている仕事のポートフォリオじゃないけど、最近だったらスタートアップ系のやつを増やしていると書いたりするじゃないですか。それを固定的にやっていくと飽きてくる。

ただ椎名林檎でも北野武でも、うまくいっているときに別の創造性を発揮するイノベーションの種まきみたいなことを必ずみんなしています。それがちゃんとできていないケース、今やっている企画が忙しすぎたり、当たりすぎて疲れていると20年行く前に疲れ果てるか、飽きられて終わることが多いと思っていて。

ドリフターズのいかりや長介さんは、そういう感じだった。

『8時だョ!全員集合』をやっているときに、その企画が当たりすぎて、その番組のことだけにほとんど時間が取られてしまって別の種まきができないから自分が飽きちゃうし、その番組の人気が下がっていくときに次のチューニングができる用の種まきができてないから、スタイルを変更していけないというか、自己革新していけなかった。


安定をあえて崩してみる

コテツ:なるほど。スタイルは10年、20年を考えたときには、余白をつくっておいて?

やまけん:そう。自分の中のルールを入れ替えしないといけないです。自分でルールをつくって、自分のあるところは壊しということをやっていくのは、さっきコテツさんが言った「自分とは違うライフスタイルの人に触れる」ということも1個かもしれないし。

コテツ:それは本当に思います。意外と同類でつるんでいますからね。あれはあまりいいことじゃなかったりする。

ダウンタウンを見ていると、ブランドが長く続くには裏切りの1、2割は絶対混ぜないとダメだと思っていまして、前まで否定していたことを急にやり始めたり結構するんです。

ダウンタウンだったら松ちゃん(松本人志)が30で引退するとか、「漫才とかお笑いはやりたくない」と言っていたのがドラマに出たり、音楽番組『HEY!HEY!HEY!』の司会をやったり、その後映画を撮っている。そのあと子育てを始めて、裏切りが5年ごと、10年ごとに必ずあるんです。

そうすると、自分のスタイルを1回つくっても、好きと嫌いを食べてみて吟味しながら、入れ替えていかなければダメですね。

やまけん:根本的にこういうのが好きとか、こういうのが嫌いという変わらない部分があっても、コテツさんの得意な時代の空気感に合わせて、多少のチューニングをしていくことは必要だろうと思います。

コテツ:ドリフターズの『8時だョ!全員集合』がめちゃくちゃ当たって、ほかのことをする時間がなくなった結果、20年を越えて、ほかのことを打ち出すスタイルが出せなくなったのと同じで、ルーチンの生活をしている人にはスタイルが確立できないと思うんです。ルーチンの枠の外に出てみないと。

それもテーマがずれそうな気がするけれど、自分はかぶっているところがあると思うんですが、安定と不安定というか、ルーチンワークとイレギュラーで、イレギュラーの中にこそ面白さが混ざっていたりするんですが、やっぱりイレギュラーって怖いんです。

人の生活やビジネスでめちゃ矛盾するのですが、安定して利益を上げることを目指しても、安定し始めたとたんに面白みも下がるし、人に関しては魅力が下がる気がするんです。

不安定な人とか危なっかしい人って、昔から言われますけど魅力的。今でこそ古典になってしまいましたけど、横山やすしとか漫才師のやすしきよしとか、しいて言うと、ああいう壊れた人って、やっぱり魅力的なんですよね。

人は両面ないとダメで、一番面白くなくなっていくのは「全て今のままでいいや」となったときです。スタイルが革新されないし、スタイルを主張する必要もない。好き嫌いの「嫌い」を言うような場面に当たらないから、嫌だなと思うような場面に出くわすかもしれないけれども、行動していって、いつものルーチンから離れてみないことには。

やまけんさんは最近、月に1週間ぐらい東京にいないでしょう?

やまけん:どこか森の中に行ったり、全国泊まりに行ったりするんです。今の僕の中で森とか自然の中は大事ですが、その上位には、ちょっと違う働き方をするところがある。でも僕がやっていることが広がり始めたら嫌になる。

僕はアート型ビジネスと言っていて、ちょっとずつアート型ビジネス的なことを発信する人がちらほら見えてくるから、アート型ビジネスという温度感を変えたいこともある。中心に置いているものは変わらないけど、大枠の変えるところと変えないところの両方をちゃんと持っておくことが、すごく大事なのかなと思います。

コテツ:1週間東京から離れていろいろな所に行くのは、仕事しに行っているという認識ですか。それとも関係なく。

やまけん:基本は仕事をしにいっています。そのときのテーマとか気分に合わせたものがあって、ちょうど今日探していて来週1週間ぐらい「そこの家に住みたいな」という別荘があって、その別荘を勝手に貸しているサイトがあって、どうしようかなと思っていました。1週間近くそこに住んで、論文を書いてみようかな。

コテツ:住みたい家を探していたんですか。なにをきっかけに、そこを見つけるのですか。旅行?

やまけん:自分がやっていることが安定してくると、縛りをもうけるという感じで、僕が今住んでいる場所がすごく好きなので、東京に住むとしたらこの地域と決めていて。でも、ここの地域は心地よすぎて、このままずっと居続けるから、東京を1回離れて森の中で暮らしたいなというか。

どこかを定期的に強制的に変えていかないと、ちょっと微妙だなと思うところがあって、今からできるだけ離れるとなったら地方で、都会の反対が森の中でとなるけど、森の中でとやったら、寒さとか虫とかいっぱいいるかもしれないから、まず、こんな家に住みたいというところで1週間ぐらい過ごしてみたら、実際コロナ渦の感覚に対してどうなのかなというのを検証したいというのが、今回の場合は目的で行ったんです。

コテツ:住む所とか環境とかを変えてみて、ちょっと自分に新しい刺激をみたいな。

やまけん:コテツさんで言えば、クライアントの客層を変えるみたいなことです。

コテツ:そうそう。新しいクライアントにチャレンジしたくなる。

やまけん:みたいなことです。どこかうまく行き始めたとか、そこがわかってきて安定してくると、すごく自分の中で危険を感じるというか。これはわかってきつつあるから、このまま行っても心地いいところはあまり変わらないので、そこにいつか戻ってこようと思える。だから安定して心地よくなってきて居心地良くなってきたら、結構、自分の中に危機感がありますね。

コテツ:解けないパズルが面白いから、このビジネスを自分が好んでいないというだけで、「絶対売れます」というフランチャイズビジネスは一番興味がない。形をつくってコピーするのは俺のやることじゃないなと思っていて、自分は解けるか解けないか微妙なパズルが好き。

もちろんコテツの得意領域と不得意領域があるから、全く解けないパズルに取り組んでもいいことは何一つないですけど、解けそうか解けなさそうなのかが、一番面白いと思ったりはします。

スタイルとかオリジナリティーは、まだまだブランドとかビジネスで追求するポイントだと思うので、今後もまた意見交換できればと思います。ありがとうございました。

やまけん:はい。

コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った
内容を文章化し加筆したものです。
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