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4月7日◆本物のミニマリストに出会った話(後編)

バリ島の旅で、本物のミニマリストに出会った話(前編) (中編)はこちら

彼女が旅の荷物を選別する基準はこうだった

1.まず、どうしても必要なものを用意する。具体的には1泊分の着替えと下着、スキンケア用品、雨具、そして貴重品類など。
2.万が一持っていこうかどうか迷ったものがあったら、リュックの容量と相談。ただし、物を増やせば増やすだけ自分の肩にのしかかってくるので、慎重に判断するという。つまり”入るから持って行く”という思考ではない。

以上。
めちゃくちゃシンプルだ。

(本人はこう呼ばれたくないらしいが…)彼女は生粋のミニマリストなので、普通の人よりいつも使っているもの自体が既にだいぶ少ない。普段から自分にとって必要かそうでないかの判断ができているので、旅だからといって深く悩んだりはしないそうだ。ここにはハッとさせられた。

私が旅の荷造りが苦手なのは、それだけ選択肢が多いから。つまり、自分の周りにモノが溢れているからだろう。しかし、モノが多い人=旅の荷物が多い とは限らない。現に私の夫は所持品が多いが、旅の荷物はかなりコンパクトである。やはりここには、不安に思うかどうかの心理が働いているのだろうか。

それに良く考えてみれば、”旅先で無駄なモノは買いたくない”と思っているのなら、買わなければいいのだ。彼女の話をきいているうちに、現地で”それ”を買わなくてもやり過ごせる方法を考えるほうが、あれもこれもと持っていくよりも結果ラクなのではないかと思い始めた。

おみやげについても彼女なりの考え方教えてくれた。完全にステレオタイプな見方だが、「とはいえ20代の女性だから少しは買うでしょ…」と思っていたのだ。しかし彼女は旅先でほとんど買い物をしないらしい。理由はリュックに入るスペースがほとんど残っていないのと、以降の旅程でおみやげの分だけ背負わなければならないからだ。それでもどうしても欲しいものに出会った場合は、送料をかけてでも日本に送るらしい。実はこの送料が一つの判断基準になっていて、果たしてそうまでして手に入れたいのかを自分に問うのだという。

「そのぐらい考えてモノを選ぶので、絶対後悔しないし大切に使うんですよね」

そういえば、彼女は写真もあまり撮っていなかった。思い出づくりにおみやげのようなモノに頼ることもせず、記録としての写真にも依存しない。五感をフル稼働させながら”今その時を生きている”彼女を見て、心からカッコいいと思った。荷物の少なさも執着のなさも、マインドフルネスの表れだ。

もちろん私は彼女にはなれないし、小さなリュックで海外旅行に出かける勇気も今のところはない。けれども、まだ起こっていない未来のことを過剰に心配して詰め込む荷物は減らせそうな気がしている。自分のペースで、荷物と不安を少しずつ手放していきたい。そう思わせてくれた素敵な出会いだった。


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