【日記】坂本龍一

 桜の咲きぶりについて。満開の時よりも、咲いているところもあり、花芯の赤いところも残ったり葉が出て緑だったりする色合いの方が、きれいに見えるような気がする。


 大江健三郎が亡くなった、なんて言っているうちに、坂本龍一も亡くなってしまった。もう短いのを知ってか坂本龍一が新潮で連載をはじめた「僕はあと何回満月を見られるだろうか」だったと思うが、今までのことを振り返りつつ現在の状況を語るエッセイがあるのだが、それを第一回から読み進め始めたばかりだった。現在の分まで、生きているうちに読んで追いつこうと思っていたら、それは叶わなくなってしまった。
 なんなら、大江健三郎が亡くなった時よりも、ショックというか、読むことの及ばなさに少し動揺する。いつか読もうなんて思っていたら、アクチュアリティは何秒かで褪せる。逆に、今読んでいるものは、それがどんなくだらないもの、ネット記事や広告なんかでもそれがアクチュアルであり、全てで、少なくともその時の自分の思考圏とでもいうものを支配する。
 だから、それが本当にネット記事や広告漫画なんかでいいのか、よく考えなければいけない。自分だって、回数が違うだけで、あと何回かしか満月を見られないことには変わりないのだから。

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