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青橙のポン酢

こころの幸せレシピ⑦

大切な香りがありますか

シェフ 梯真由美 (アロマセラピスト)

【材料】
  心地よい香り ひとつ
【調理法】
  自分の感覚を素直に感じてみます。

10月の末に、予約していた青橙が届きました。

橙の果実は季節を経て、
濃い緑色から黄色、お正月の頃には橙色に変わります。
冬に熟した実が、年を越しても落ちにくく、
2~3年なり続けるそうです。

越冬した実が春を迎えて夏になり、また青緑色になって、
ひとつの木に新しい実と前年、
前々年に残った実とが混在することから、
代々続く縁起ものとして、
お正月のしめ縄や鏡餅の上に使われるようです。

青い橙は、香りが豊かで酸味と独特の渋みがあり
酸っぱいものが好きな我が家には、ピッタリの柑橘です。

すだちと違って実が大きいので、何個かギュッと絞るだけで
容器に果汁がたまっていくので絞り甲斐があります。
そして何より、部屋中が橙の香り一色に包まれ、
幸せな気分になります。

醤油と酒とみりんと、昆布と鰹節。
橙果汁の分量が多いのが、我が家流。
出来上がったオリジナルのポン酢で、お鍋を囲めば、
こころもからだもポッカポカになります。

『大切な香り』

橙は、酸味が強く独特の苦味があり、
西洋ではビターオレンジとよばれています。
私は、このビターオレンジの花から
わずかに抽出されるネロリ精油が大好きです。

故ダイアナ妃も愛した香りとのこと。
友人には『淑女の香りよ』と伝えています。

アロマ初心者だったころ、片道3時間半くらいかかる道のりを
月に3~4回通院していました。
ネロリ精油の効果・効能などあまり知りもせず、
ただ「なんていい香りだろう。」と思って
通院日の朝、いつもアロマペンダントに1滴のネロリを携えて
出かけていました。

体調があまり優れない上に、
夫婦で、新しい場所で仕事を始める計画をしていたので
今から考えると精神的にも肉体的にも、緊張や不安や心配などを
自覚している以上に感じていたのだと思います。

長い長い往復の道のりを、
それまでの嬉しかったことや辛かったこと
自分が進もうとしている道は、自分に対して誠実か。
など様々なことを、思い浮かべては考える時間でもありました。

そんな時、1滴のネロリの香りが、
何かの拍子に胸元から、ふわっと立ち上がってきて
「ここにいるよ~。」
と話しかけてくれているように感じて
ホッと気分をやわらげてくれたものでした。

あれから20年もの歳月が過ぎて、
70種類以上の精油と接していますが
「ここ一番!」という時には、
やはりネロリがふっと頭に浮かびます。

「そうだ。ネロリ。」
と親しい友達と再会するように感じます。
私には、とても大切な香りです。

「アロマセラピーって、難しそう。」
「私、よくわからない。」
「あまりセンスがないので…。」
などといわれることがありますが、
誰でも、必要な香りは知っている。
と私は思っています。

みかんの皮をむいているとき、
思わずプシュッとしずくが飛んで
ふわっといい香りがする事がありませんか。

それが、みかんの皮から得られるフレッシュな精油です。

そう考えると何となく、
アロマが身近に感じられるのではないでしょうか。

視覚や聴覚を駆使しがちな現代社会ですが
嗅覚は、本能の感覚です。
「これ、食べても大丈夫だろうか。」
「何だかガスくさい。」とか 
「わぁ。美味しそうなにおい。」
と感じる、生きていくために必要な感覚です。

アロマの働きを知る前に、
テスターなどで色んな香りを嗅いで
どんな香りが好きで、どんな香りが苦手なのかを感じてから
効果・効能を調べてみると、
逆に、「今」の自分の状況に気づけるかも知れません。

どこかに置き忘れてしまったような感覚を、思い起こす。
それが、自分自身の感覚に、
自信が持てるきっかけになるかも知れません。

私にとってネロリは、
自分の本質への繊細な響きを感じる香りです。

どんな香りが好きですか。

自分の大切な、心地よい香りをみつけてみませんか。

いのちの感じられる植物の香りの語りかけに耳を傾けると、
その響きが伝わってくると思います。

【調理のコツ】
 ここ一番の香りをみつけてみよう。

サポートいただきまして、本当にありがとうございます。 どなたかご縁のある方のこころの奥に、私の言葉が届くとうれしいな~。と思って 書いています。とっても励みになります。こころから感謝をこめて。                              板橋真由美