ふるかわたかし

social work, elderly crime, social exclusio…

ふるかわたかし

social work, elderly crime, social exclusionをおもなテーマに研究。福祉から社会を考えています。追手門学院大学社会学部に所属。

最近の記事

COVID-19とメディア(その1)

 ずいぶん久しぶりにnoteに投稿する。しばらく非常勤先の学生さんへオンライン授業のコンテンツを提供するだけに使っていたため,講義期間が終わってから間が空いでしまった。  さて,2019年12月に日本でも武漢の原因不明の感染症を報じてから2年目に入った。当初からtwitterで何度か発信してきたのは,これから報じられる患者の数や行政の動きは,眉に唾をつけてとらえる態度が大事だということだった。というのも,目に見えないウィルス感染は検査数次第だし,把握される数の多少や報じられ

    • COVID19のなか日本に住む外国人

       すでにニュースでも取り上げられているが,日本に住む外国人の多くが,COVID19の感染拡大に伴って職を失い,職とともに住まいも失ったり,海外との往来が止められたため母国に帰国することもできないでいる人が増えている。名古屋の徳林寺というお寺は,生活困窮に陥ったベトナム人たちを受け入れ,寄付によって支援を続けているという。また国士舘大学の鈴木江理子先生が代表を務める東京のNPOでは,募金を募りながら独自の給付を続けつつ,政府の準備した様々な支援金の申請手続も支援しているという。

      • 悼むことは不正義だろうか

         昨日(6月4日)は,天安門事件が起こった日でした。当時大学生だった私は,改革開放が進み身近になりつつあった中国で起こったこの事件で多くの同世代の若者が死傷し,亡命したことにショックを受けました。それからの年月は,現在の中国共産党政権が一国2制度をとる香港への介入を強めていくこと,台湾への国際的圧力を強めている事など,民主主義にとって大きな懸念を抱かせるものでした。とくに香港では,激しい抵抗にかかわらず自由を主張する人達が,COVID19の感染対策を名目に8人以上の集会が禁止

        • もしも意に反しても

           去年の京都アニメーション放火殺人事件の容疑者が,ようやく取り調べの出来る状態に回復したとして逮捕された。この事件で亡くなった方や傷ついた多くの方を思うと,逮捕されたからといって取り戻せないことが多い。また社会的関心の高い事件だっただけに,容疑者の治療にあたった医療従事者はどんな思いだったろうか。私の関心はここにある。  仮にふだん自分へ嫌な目に合わせる人が,本当に困っている場面に出くわしたとする。あなたは助けるだろうか?私は,自分の思いがぐぐっと沸き上がり助ける事をためら

        COVID-19とメディア(その1)

          一人ひとりとの関わり-刑務官にエールを送ろう-

           ふだん授業を配信するのは,勤め先のwebサービスへテキストデータとそれを読み上げながら講義するMP3の音声ファイルだ。学生が提出してくれる小レポートで出席をチェックする,という日々が続く。150人規模の講義では提出物チェックがやっとこさで,コメントを返すまでに至らず申し訳ないなと思っている。また,ゼミはさすがにしんどいのでweb会議システムをあれこれ試して,顔を合わせ話をしている。でもネット環境が不安定だったり,機材がスマホだけという学生の方が多いので,研究室の電話も使って

          一人ひとりとの関わり-刑務官にエールを送ろう-

          生まれた環境やその時代で差があっていいのだろうか

           いまCOVID19の感染対策で全国の学校が休校や授業をおこなえないでいる。少しずつ登校の機会を作っているのだけれど,それでも全国的には大きな問題だ。  これを機に9月入学にしては,という意見があり,賛否が色々議論されている。だが一番大切なのは,人生は一度きりで,学ぶべき時に学べなかったことがあとあとに響くんじゃないかという事だ。これを誰も強調しない。やれ入試だの就職の機会だの,果てはインターハイだの甲子園だのと勉強とは関係ないことまでごちゃまぜに扱われている。  手元に

          生まれた環境やその時代で差があっていいのだろうか

          春の野草を摘む時

           近くに山のある環境で育った私は,春になると山菜採りを子どものころ経験した。野イチゴやぐみはその場で味わえるし,ワラビなどは家に持ち帰って母や祖母が佃煮にしてくれた味を忘れられない。勤め先も,なぜか山に近いところが多く,生えているのを見つけるだけでもうれしくなる。今年の春は,どこも外出自粛なのだろうか,私は少しさびしい職場の近くで野草を摘んだ。  スーパーは買い物客でいっぱいだ。出来合いの惣菜やレトルト食品や冷凍食品,それに即席ラーメンは品薄に思える。またホームセンターで夏

          春の野草を摘む時

          自粛をどう考えようか

           COVID19のパンデミックに対し,日本は個人の権利を規制する法制度をもたないため,外出の自粛やお店の営業自粛などが呼びかけられている。ちょっと前まで同じことを「マナー」とか心がけようというアナウンスで扱ってきたのとは,ずいぶん違うレベルで扱われるようになってきた。これに対する違和感を持つ人も多いんじゃないかと思う。  司法と福祉に関わらせて考えてみると,少しその理由が読み解けるように思う。何かの罪や非行で刑事処分(少年の場合は保護処分)をうけて罰せられ,その後社会復帰す

          自粛をどう考えようか

          ようこそ,司法と福祉のマガジンへ

           ふだん大学での授業は,朝一番が多い。私が朝型だからというのもあるが,本当に関心をもっている学生が受講してくれるとうれしいからだ。でも今年は,COVID19の影響で勤め先の大学もweb授業となり,この科目も開講延期の末,結局webでおこなうことになった。少し残念だが,別のかたちで受講する学生とともにあれこれ考えていく場にしたいと思って,noteのブログとマガジンを活用することにした。  朝型の人にはラジオ好きが多い,というのは偏見だろうか。私もテレビやネットのニュースサイト

          ようこそ,司法と福祉のマガジンへ

          障害者施設での新型ウィルス感染と差別

           いま世界中で蔓延している新型コロナウィルス(COVID-19)だが,国内の感染確認数も増えている。そんな中,千葉県の障害者施設に暮らす人たちと職員の集団感染が確認されたと報じられた。真っ先に思い浮かんだのは,ここで暮らす人たちの治療で入院受け入れ先は見つかるだろうか,差別が露骨にぶつけられないかという心配だった。  たぶん多くの人は,街中で暮らしている障害者が増えているとしても,自分で自分を傷つける等安全を誰かが支えなければならない状態や,大声を出して自分の感情を表現する

          障害者施設での新型ウィルス感染と差別