『あなに』という世界【絵本さんぽ】
不思議な絵本に出逢いました。
子供が図書館で借りてきた一冊。
あらすじ
ヒロシという少年は転校生の「ふくしましろう」というお友達とキャッチボールをしています。
母親や妹、父親に話しかけられても、一言返答するだけでキャッチボールを続ける。友人にサッカーへ誘われても断って、黙々とキャッチボールを続ける。
ボールは捕球しそこなって、工事現場に掘られた「あな」へと落ちてしまう。
新たなボールでキャッチボールを再開する。
後日みると先日の「あな」は埋められていた。
という話です。
じつは
福島原発事故によって転校してきたのではないかといわれる「ふくしましろう」くん。
名字は福島ですし、なんでも事故から4年後に書かれたので「しろう」という名前になったと、作者は述べていたという情報もあるようです。
そしてこの絵本は、谷川俊太郎氏による絵本『あな』へのオマージュであるといいます。
なるほど表紙のデザインも大変似ています。
おわりに
本書『あなに』は、とても不思議な余韻が残る作品です。
埋められた『あな』の場所を見るたびにキャッチボールの時間を思い出す。
2人にとっては忘れられない思い出の場所になることでしょう。
結末がポワーンと描かれていることから、読み聞かせでは「このあとどうなったんだろう?」とか問いかけたり、考えさせられることも出来る一冊です。
おしまい
最後までお読みいただきありがとうございます。 いただいたサポートは麦チョコ研究助成金として大切に使用させて戴きたいと思います。