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ゆりの暴露 第1話 「面接」


 ゆりは現在二十六歳、独身。

 小さな丸顔で、少女のような可憐さと、大人の女性の色気を併せ持つセラピストだ。

 大学まで新体操を続けており、線は細いがメリハリのある体で、引き締まったお尻が魅力的である。

 大学を卒業した後、恵比寿にある加圧トレーニングジムで働いていたが、毎日働きづめの割に薄給な上に、ジムの経営者からセクハラまがいの行為を受け、就職した年末に思い切って辞職した。

 ジムのトレーナーの仕事でなくても、すぐに自分に合う仕事は見つかると思ったが、現実はそう甘くなかった。

 二か月間、真面目な就職活動をしていたが、貯金が底を付き、とにかく稼げそうな仕事を探していた。

 六本木や渋谷のキャバクラの面接も受け、体験入店をしてみたが、肌に合わなかった。

 さすがに風俗では働きたくないと思いつつ、ネットで似たような仕事を探していると、たまたまメンズエステに巡り合った。

 そして、『風俗行為をしないで一日5万円以上稼げます』という文句に引き付けられた。

 そんなうまい話があるのかなと半信半疑で問い合わせ、可愛く撮った自撮り写真を送ったら面接を受けることが決まり、翌日の午後一時に日本橋にあるマンションの住所を告げられた。




そして、翌日。

 都営浅草線日本橋駅の最寄りB0出口を出て、五分ほど歩くと、十五階建てのマンションが見えた。

 昨日メールで送られたマンション名と同じだ。それでも、不安になり、何度も確認した。

 それから、マンションに入り、エントランスホールのインターホンに部屋番号を押して呼び出した。

「はい」

 男の野太い声がした。

「面接の予約をしましたゆりです」

「どうぞ」

 扉が開き、ゆりは中へ入り、エレベーターを使ってその部屋まで上がった。


 部屋のインターホンを押すと、中から声の印象と似たようながっちりとした体つきで、眉毛の濃い野暮ったい男が出てきた。

 ここで、ゆりはもう一度挨拶をして、中に入り、奥の部屋に通された。

 ここは1Kらしく、他に部屋がない。

 部屋の真ん中には、タオルが敷かれたマットが置いてあり、全身鏡が横たわっている。

 男はゆりの頭のてっぺんから、足先までをなめるように見てから、

「そこに座ってください」


 と、壁際のソファを指で示した。男の口調は一応丁寧だが、一癖も二癖もありそうだ。

「はい」

 ゆりは緊張しながら答えて、腰を下ろした。

「ここはね、施術ルームなんですよ。まずは部屋を見てもらった方がいいと思ったのでこちらにご足労いただきました」


 そう切り出した男は、このエステ店を経営しているオーナーだと名乗った。

 面接では企業であるような、志望理由を聞かれることもなく、週何回働けるか、いつから働けるかなどを淡々と訊ねてきた。

 ゆりはとりあえず週三回、いつからでも働けると答えていった。


「では、初めてということなので、研修をしてから、働いてもらいます。研修は明日、今日と同じ時間でいいですか」

「はい」

「じゃあ、明日、午後一時にここで」

 男は打ち切るように言った。

 この部屋に入ってから、まだ10分も経っていない。

 事前にその店のホームページを確かめたときには、採用率15パーセントの厳選された美女のみと書いてあったので、こんなにすんなりと決まったことが信じられず、

「あの、私は採用ですか」

 と、思わず確かめた。

「ええ」

 経営者の男はあっさりと答える。

「こんなにすぐ採用が決まるんですね」

 ゆりはつい口にした。

「面接厳しいっていう風に書けば、客はレベルの高い子が多いと思うから」

「でも、それじゃ、お客さんがっかりしちゃうんじゃ……」

「さすがに、身の程をわきまえないデブやブスも来るからそういう子は落とすよ。でも、そういうのも多いんだよね。実際の採用率は30パーセントくらい。君みたいに綺麗な子はあまりいないから、期待しているよ」

 男は急に慣れ慣れしい口調に変わって教えてくれた。

 ゆりはそういうものなんだと少し驚きつつ、面接を終え、マンションを後にした。

 講習は誰がやるのか。

 この男を相手にするのだろうか。

 そんな思いが巡っていたが、聞けずにいた。



 翌日。


 緊張しながら、ゆりは再びその部屋を訪れた。

 続く.......

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