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SAM 〜新しい衛星画像アノテーション手法でもっと生活が豊かになる〜

私達は、Googleマップを使って事前にコンサート会場の場所を確認できたり、災害時にどの地域が危険でどこに避難すればよいのか知ったり、地球ではない星の地表の分析ができたりします。
地理空間に関する情報があるからこそそれが可能なのです。
今回はそんな地理空間に関する情報、地理空間データセットを作る新しい手法をご紹介します。


衛星画像アノテーションで地理空間データセットが作られる

地理空間データセットの重要さについて冒頭で触れました。
この作り方は色々ありますが、衛星画像を使った方法は広範囲にそして安価に情報を取得できるので優れています。
しかし衛星画像そのままだと、どこが森で、どこが人に住むところとして適していて、どこが東京駅なのかという情報が当然ながら付いていません。
誰かが衛星画像にそれらの情報を付ける必要があるのです。
これを衛星画像アノテーションと言います。

衛星画像アノテーションは高精度でないといけない

地理情報が付与された衛星画像ですが、実は画像そのままの形では非常に使いにくいです。
人がそれを見て何らかの意思決定をするときもそうですが、特にシステムで利用したりAIのための訓練データに用いるときに、構造化された形(表形式)のほうが扱いやすいのです。
また地表に生えている植物を特定したりインフラの位置を特定したり、いずれの場合でも正確なデータがないとうまくいきません。
衛星画像に対して正しくアノテーションされていることが大切なのです。

衛星画像アノテーションの旧来手法4つ

セマンティックアノテーション

画像内の各ピクセルに対して何の物体構成するピクセルなのかというラベルを付与していきます

ポリゴンアノテーション

特定の物体の縁を囲ってラベル付けしていきます

LiDERアノテーション

LiDERによる3次元点群データからその物体を直方体で囲んでラベル付けします

キーポイントアノテーション

画像内の特定の座標、ランドマークなどキーポイントとなる位置に点を打ってラベル付けします。

SAMという新しい衛星画像アノテーションの手法

ここまで紹介した手法はどれも最低一度は手動でアノテーションをしてモデルを作成する必要があり、いちいち正確に物体を枠で囲ったりラベルを付けたりしなければならずとても手間がかかります。
これを解消するために、一度も手動でアノテーションをしたことがない物体に対してもアノテーションできる手法が開発されました。
それがMeta社が2023年4月5日に公開したSegment Anything Model (SAM)です。
SAMを使えば金輪際アノテーション作業から解放されるわけではなく、まだ一目による最終チェックは必要なようです。
それでもこの汎用性が高いSAMを使うことで、従来は単調作業に費やされていた貴重な研究者やエンジニアたちの頭脳資源をもっと有効に利用することができます。

まとめ

地理空間データセットは今後ますます我々の生活を豊かにするでしょう。
このデータの整備のために費やされていた無駄な時間や資源をもっと大切なところに振り分けられれば、さらに私たちは幸せになれるのです。
そんな世界を目指すSAMにこれからも目が離せません。

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