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0143 ピーター・ハント監督『女王陛下の007』聖地巡礼

2022年9月21日(水)にポルトガルのセトゥーバルとリスボンで22日(木)にポルトガルのカスカイスで、更に丁度2年後の2024年9月21日(土)にイングランドのロンドンでピーター・ハント監督『女王陛下の007』(On Her Majesty's Secret Service)の聖地巡礼をしてきました。

当作品は007シリーズの6作目。2代目ボンドのジョージ・レーゼンビー(オーストラリア人)の第1作にして最終出演作です。
シリーズ最大の仇ブロフェルドにテリー・サバラス。当作品のヒロイン・トレーシーにダイアナ・リグ。更にワルながら味方となるヒロインの父ドラコにガブリエル・フェルゼッティ(作品上の立ち位置は『ユア・アイズ・オンリー』のトポルみたいなポジション)。

今回のロケ地はスイスと(サラザール独裁政権末期…撮影開始時点でサラザールは疾病ため失脚していて映画公開の約5か月前に死去)ポルトガルとロンドンとパインウッド・スタジオ。

ジョージ・レーゼンビーのボンドはこの1作のみなので、ブルーレイ等のソフトでのリリース数はシリーズ最低。ご本人はオーストラリア訛りを矯正して頑張りましたが、なにかと第1代ボンドのショーン・コネリーに比較されて演技評価は散々であえなく撃沈。
とはいえ、この作品はシリーズ中でもロジャー・ムーアのコミカル路線ボンドの極北『ムーレイカー』と並ぶ、涙なしに鑑賞できないシリアス路線ボンドの最高傑作です!

前作『007は二度死ぬ』で爆発寸前の要塞から姿を消したスペクターの黒幕ブロフェルド(演:テリー・サバラス)探索の任が再びジェームズ・ボンド(演:ジョージ・レーゼンビー)に下される。ポルトガルに乗り込んだそんなとき、奇妙な美女がボンドの前に現れた。ボンドのアストン・マーチンを見事なハンドルさばきで追い抜き、カジノ・ロワイヤルで無謀な賭けをし、嵐のような激しさでボンドに身を任せてきた女の名は…トレーシー(演:ダイアナ・リグ)。実は彼女こそ、欧州でシチリア・マフィアより恐れられるフランス・コルシカ島の犯罪組織ユニオン・コルスの首領ドラコ(演:ガブリエル・フェルゼッティ)の一人娘だった。そして彼女を通してブロフェルドの新しい世界制覇の野望を察知したボンドは、単身スイス・アルプスへ向かうが…。
ジェームズ・ボンドとトレーシーのラブ・アフェアがハイライトの一つを構成し、哀しい結末を迎えることとなる…。

オープニングはポルトガルのカスカイス要塞 Cidadela de Cascais からアストンマーチンでダッシュ。
Cidadela de Cascais – Wikipédia, a enciclopédia livre (wikipedia.org)

大西洋岸を走行中していると途中からギンショの浜 Praia do Guincho まで謎の女トレーシーとカーチェイス。
Praia do Guincho – Wikipédia, a enciclopédia livre (wikipedia.org)
ちなみにトレーシーはギンショの浜で自殺未遂。

ボンドはトレーシーの父でユニオン・コルスのボスであるドラコに拉致られて4月25日橋 Ponte 25 de Abril を通過します。
Ponte 25 de Abril – Wikipédia, a enciclopédia livre (wikipedia.org)
左側に見えるのはクリスト=レイ像 Santuário Nacional de Cristo Rei
Santuário Nacional de Cristo Rei – Wikipédia, a enciclopédia livre (wikipedia.org)

コルシカ人の悪者から何をされるのか?と思いきや、娘のトレーシーの面倒を懇願され、また共通の敵ブロフェルドの情報も提供してもらい、ボンドはトレーシーとリスボンでデート。
出かけた先はロシオ広場=ドン・ペドロⅣ世広場 Praça D. Pedro IV の
Praça D. Pedro IV – Wikipédia, a enciclopédia livre (wikipedia.org)
宝石屋の名店Joalharia Ferreira Marquesの店頭で宝飾品を二人で品定め。
Joalharia Ferreira Marques | Lisboa

ボンドは、ブロフェルドが伯爵の称号を獲得しようとしていることを知り、王立紋章院 College of Arms へ向かいます。
ちなみに、紋章院とは英国独自の機関で、貴族と貴族志望者の紋章の記録を付与し維持するヘラルド=英国の紋章官の本拠地。自分の紋章を持ちたい場合は、既に紋章を授与されている祖先からの直接の男系の子孫を示す血統を証明する必要があるとのこと。また、紋章の付与を申請することも出来るのだそう。
College of Arms - Wikipedia
※スコットランドのボンド家にも、ラテン語で❝Orbis non sufficit❞=英訳すると❝The World is Not Enough❞を家訓とする紋章があります。
紋章院はロンドンのセント・ポール大聖堂のテムズ川寄りの南に位置しています。

映画本篇ではセント・ポール大聖堂から紋章院へとティルトダウン
聖地巡礼でのセント・ポール大聖堂は真南から聖堂全体の画像を撮影する事が難しいです
この建物が紋章院
このたった1枚の紋章院の聖地巡礼画像を撮影するために『女王陛下の007』Tシャツを作成

その後、スイスでテリー・サバラス演ずる仇敵ブロフェルドとの戦いののち、リスボンまで戻ってきて、ボンドは再度Joalharia Ferreira Marquesを訪れて、指輪を購入。トレーシーと結婚しちゃいます!

ドラコ、M、Q、マネーペニーなど皆から祝福されて、ブライダルカー装飾したアストンマーチンでポルトガル一般道N379-1線のアラビダエリアの山道を走行します。ポルティニョ・ダ・アラビダ展望台 Portinho da Arrábida を越えて
Portinho da Arrábida – Wikipédia, a enciclopédia livre (wikipedia.org)
最初のカーブの直前でブロフェルドの手下から車を狙撃されて新婦トレーシーは絶命。哀しい結末で映画は終わります。

ポルトガルの聖地巡礼ではこのファイナル・シークエンスのロケ地がファイナル・デスティネーションだったので、日本での訪問準備中にかなり頑張ってグーグル・ストリートビューをチェック。お蔭様で(哀しいラストでしたが)感激の聖地巡礼でした。しかし便利な時代になりましたね…。

※なお、『007は二度死ぬ』でボンドはキッシー鈴木(演:浜美枝)と「偽装結婚」しますが(原作ではキッシーとの息子のジェームズ・スズキがいる)、『女王陛下の007』ではジェームズ・ボンド人生唯一の結婚(それも1日弱だけ…)をしております。
※ついでに、第12作『007 ユア・アイズ・オンリー』では、オープニングでジェームズ・ボンド(演:ロジャー・ムーアだけど…)はテレサ(トレーシー)・ボンドのお墓参りをしていて、やっぱりブロフェルド(らしき男…微妙な表現ですが撮影当時権利関係でモメていた…)に襲われてやっつけてます。

JAMES BOND WILL RETURN

©2022 2024 プッチー・ミンミン
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007シリーズ他作品の聖地巡礼
0141 テレンス・ヤング監督『007 ロシアより愛をこめて』『007 危機一発』
0142 ルイス・ギルバート監督『007は二度死ぬ』
0144 ガイ・ハミルトン監督『007 ダイヤモンドは永遠に』
0145 ガイ・ハミルトン監督『007 死ぬのは奴らだ』
0146 ルイス・ギルバート監督『007 私を愛したスパイ』
0147 ルイス・ギルバート監督『007 ムーンレイカー』
0148 ジョン・グレン監督『007 ユア・アイズ・オンリー』


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