ちょっぴり読書感想vol.3
少年たちの終わらない夜
鷺沢萠
※ネタバレを含む場合があります。
この本は、4篇からなる短編小説となっています。
それぞれ80年代の18、19歳くらいの若者の機微を描いたものになっているようです。
私は、この本を読むまで著者の方を知らなかったのですが、言葉のチョイスも感性も好きだなと思えました。
この小説を読んでいると、18、19歳の頃に戻りたいとも思うし、当時は何気ない日常だったり、煩わしい事象が、今だととても価値ある儚いものだったなと再認識させてくれると感じました。
舞台が80年代の豊かな時代で、正直私の青春時代とは違う感もありますし、この小説の登場人物たちは今の言葉を借りると、その時代の陽キャたちのような感じがします。(笑)
というのも、
高校生なのに、バーやクラブやディスコに入り浸り、女遊びやお酒、タバコに浸り、飲酒運転までしちゃうんだから驚きです。
なんだか80年代の若者も体験してみたいです。
4篇は、
少年たちの終わらない夜
誰かアイダを探して
ユーロビートじゃ踊れない
ティーンエイジ・サマー
から成ります。
どれも、若者の感情の機微を感じとれるストーリーで好きです。
少年たちの終わらない夜は、主人公が個人的にはいけすかないんですけど、多分かっこいいんだろうなと思います。(笑)
ブイブイ言わせちゃってる感じがあるんですけど、まだ社会を知らず、これから知っていくんだろうなっていう青くささと青春が素晴らしいと個人的に感じます。
なぜかビーバップハイスクールみを感じます。
誰かアイダを探しては、男の子が偶然出会った女の子に惹かれるんだけど、儚さのあるストーリーです。子どもと大人の狭間で揺れ、大人になる、普通になるって難しいなって、楽しくないなって、なんかそんな感じを私は汲み取りました。
ユーロビートじゃ踊れないは、また面白いんですこれが。主人公と女の子は、境遇がまったく違うからなのか、価値観は真逆です。でも惹かれあっちゃう。曖昧さが好きな人もいれば、曖昧さを怖いと思う人もいる。その2人は結局もう会わなくなるんですけど、このストーリーが結局何が言いたいか、そんなことを考えるのは野暮なのかも。結論を探らず考えるのが面白いと私は思いました。
ティーンエイジ・サマーは、これは唯一大学生が主人公。それゆえか、これが1番共感できた。ただ、この主人公とその友人たちはまぁまぁ裕福だ。羨ましい。私もこんな青春時代を送りたかったと思うものでした。これも私が描いているプロパガンダかもしれないとも思いますが。
この4篇を読むだけで、様々な形の青春を感じ取れた気がします。この小説を中学生や高校生のときに出会っていたらもっと面白かったかもしれないです。でも、今の感性で読むから良いのかもしれないとも感じています(笑)
最後まで読んでいただきありがとうございます。
また次回。
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