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【note版】イギリスのローカル祭り

※こちらは他媒体に掲載中の記事から転載(自著)した、過去のものです。noteには私の個人的な記録として一部割愛、再編集したものをお届けします。フルバージョンの原文はこちらをご参照ください(2019年7月7日執筆分)。

夏になると日本でもあちこちで縁日やお祭りが開かれるように、イギリスでも地元主催のフェアやフェスが各地で行われます。ロンドン南部、ガトウィック空港に向かう途中にある Merstham という街の住宅街での Quality Street Fair を覗いて来ました。

歴史あるお祭り

ローカルなお祭りですと、規模が小さいので今回のように知人から聞いたり道端の看板やポスターで知る事が多いです。今回も、知らされなければまず行き得なかった程、地元密着型のローカルフェアでした。

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その名の通り、Quality 通りに屋台が立ち並ぶこじんまりしたお祭りで、まずは入り口で大人1ポンド(約150円)の入場料を払うと、綺麗なカラー刷りのプログラムが渡されます。それによるとこのフェアの起源は1339年にまで遡り、当時の王、エドワード3世による承認を得て開催され、途中1938年の戦争による終結を経て60年代より現在の名称で復活を遂げた、小さいけれど歴史あるフェアだという事がわかりました。

それ以後は毎年7月の第一土曜日に開かれ、各屋台で挙げられた収益は地元の木造建築のキャサリン (Katharine’s) 教会の修繕、維持費に充てられます。そのせいか、半数程は教会団体とこちらの通りの住民で、45ポンド(約6750円)の出店料を払ってせっせと売上増進に励んでいます。

地元住民の家はお屋敷ばかり

クリスマスの時期にとある住宅街の一帯が、各家庭のイルミネーションで埋まり、ちょっとした名所になっていますが、こちらもチャリティで寄付を募る為のイベントです。これら二つのイベントに共通していたのが、どちらもお屋敷並みの豪邸揃いな事。

今回の Quality 通りのお家は、何やら各戸に名前がついているようで、「ホワイトハウス」だの「ヨークコテージ」だの、明らかにその家庭の表札とは違うプレートが掲げられ、どの家もまるでお店やパブのような見掛けです。

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中でも自宅前でオモチャの屋台を受け持っていた話好きのお婆さんの御宅は、元は学校だったそうで、「なぁに、大した広さじゃないの」という言葉とは裏腹に、実際はとてもじゃないですが、一般の家には見えません。家の広さについては謙遜したお婆さんも、庭の広さには自分でも「もの凄いわ」と認めていました。

経済的な豊かさと自分のいる街をより良くしよう、維持しよう、という文化的豊かさ、及びチャリティ精神などは比例するのかな、と思わされた例でした。勿論、イギリス、その他ヨーロッパ諸国ではチャリティ精神に富んだ人や社会が多いそうなので、所得の如何に限らず、ではあるでしょうが。

地元産に特化した商品

住民がケーキやバーベキュー、パンケーキなどを手作りしている一方で、プロの業者もその殆どが地元周辺に拠点を置く企業です。ローカルラジオ局やバンド、地元小学生によるコーラスが場を盛り上げる中、地元で作った葡萄を卸してワインにしている会社のブースで、14ポンド(約2100円)のスパークリングを白とロゼ、二本買いました。

Merstham があるサリー州にある蒸留所で作られる、サイレントプールというクラフトジンも売られており、創業は2014年と新しいにも関わらず、地元産のラベンダーやバラなどを使った香りが独特で世界三大スピリッツコンペで既に賞を受ける程の実力です。日本では2017年に解禁され、バーテンダーの間でも評判になったそうです。

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近くの馬場から連れられたポニーの乗馬体験もでき、地元鉄道の模型がクイズと共に展示されていたり、ドッグレースや人形劇など、子供向けイベントも充実していました。今回は上記のグラス入りサイレントプールのジンが売り切れで飲みそびれたので、お洒落なグラス目当てで来年もまた来なきゃ、と思ったフェアでした。

Quality Street Fair
住所: Quality Street, Merstham RH1 3BB, Reigate
アクセス: 鉄道 Merstham 駅より徒歩約5分
開催日時: 7月第1土曜日の10時半〜15時半


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