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海外で<ザ・日本人>シリーズ vol.3「キャンドルのつけ時がわからない」

師走に入るか入らない頃になると、イギリス郊外の住宅街では1戸1戸と日を重ねるにつれ、家の内外を色とりどりのライトで飾りたて始めます。この時期、日没はつるべ落としのように日々早まり、午後4時にはもう夜のような暗さになります。

そんな心細さを振り払うように、各家々の電飾は通りを賑やかに照らし、今年もまたこの季節が来たのだとウキウキするような、しみじみとした気分にさせます。

家の飾り付けは外側だけでなく中からも施され、カーテンをあえて開け放った窓際に、電飾つきの大きなクリスマスツリーを置いたり、キャンドル型のライトを置いたりします。なかには家の壁をよじ登っているサンタクロースの人形を吊るしたり、空気式の雪だるまなどをライトつきで玄関前に設置したりと、大掛かりなものも多数あります。ドアには勿論これまた大きなリースがあり、各家庭デザインが違うので、この時期は町を歩くのが楽しいです。

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カトリックやプロテスタントなど、キリスト教の伝統的なしきたりでは壁に吊るすのではなく、卓上タイプでロウソクを立てるリースがありますが、(下記の関連記事参照)

クリスマスだけでなくとも、こちらにいるとロウソクが普段の生活に密接しているな、と感じます。まず、ロウソクが売られている量と種類がハンパない気がします。誰かのお宅にお邪魔しても大抵、それも明らかに使いかけで、溶けているロウソクが居間などに置かれています。

私も燭台だけならデザインが好きで、子供の頃からいくつか持っていたものですが、始めはオブジェとして、そのうちアクセサリー掛けへと変わり、本来の役目としては利用したことがありませんでした。そのうち子供ができ、火が危ないとの理由でますます遠ざかっていたのですが(実際、火がついたロウソクの芯を摘んだ経験アリ)先日安かったのと、この季節に呑まれてミニスタンドを買ってしまいました。

さて、いつつけよう。

という、現実的な問題が。

そもそも、海外では必ずといって室内の電灯がオレンジ色の淡い照明ですが、私はこと日常生活においては、むしろ日本のその昔からある、白い煌々とした白熱蛍光灯のスッキリきっぱりした明るさが好き。

だって、単純に暗いじゃないですか・・!

にも関わらず、海外の皆さんは普通の電気だけでは飽き足らず、それ以上に間接照明で更に素敵な雰囲気を上手に演出しています。家具付きの我が家にも多数、アチコチにこれでもかという程あるのですが、どうせ使わないですし、あまりにも大型の物は大家さんに持って帰ってもらったほどという、豚に真珠。

こんな有様なので、キャンドルの火でインテリアをステキに演出、なんて慣れないことができる訳もなく。とりあえず、1人で使うのも勿体ない、せっかくなら家族の皆と雰囲気を味わおうという「他者に配慮した行為」が、電気を消し火を灯した瞬間、

無言で夫にスイッチを入れ直されるという、無に帰す事態に!

「今から本読むから」

という無慈悲な言葉に打ちのめされ、ダイニングを諦めリビングの電気を消して火を灯すと・・

今度は子供にスイッチを入れ直され、テレビを見始める。

唯一意味を成す使い方としては、夏の時期に

conservatory

というイギリス特有の、温室に似た半屋外の部屋(ガラス張りになっている)には電気がないので、暗くなったらそこで使うというものがあるのですが、これまたやはり、暗くなり過ぎると目に悪くて何も作業が出来ないですし。そもそも貧乏性なのでキャンドルの光の下でワインを傾ける、なんて悠長なことをやっておられず、常になにか読んだり見たりする「ながら飲み」ばかりなので、仕方がないと言えば仕方がないですね。

その頃日本から来る父親だけは、やけにこの「キャンドルと温室」が気に入り、毎日そこで火を灯しては1人でスコッチをチビチビやり、しまいには寝てしまっていましたが・・

そんな使い方しか目下のところ出来ておらず、未だ迷走中です。キャンドルと間接照明遣いが上手い人、憧れます。

私への課題:キャンドルは使い道を考えてから買いましょう

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