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「私が在り方を変えると、会社全体が大きく変化」社長・山崎さんの体験談(後編)

「聴く」ことの大切さに気づき、ご自身も社内でコーチングを提供され始めた山崎さん(仮名)。そうした社長の在り方の変化が、少しずつ社員に広がっていきました。中には、仕事への姿勢が大きく変わり、見違えるような成果を上げる社員も。山崎さんが自ら語るコーチング体験記、後編です。

前編はこちらから↓

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部長から部下へ、自発的にコーチングが広がる

コーチングに手応えを感じた私は、近い将来経営を担っていくことになる部長たちにも受けてもらうことにしました。一人につき2週間に一度、全10回のセッションです。

部長たちが挙げてくるテーマの多くは、将来や目標達成への不安、マネジメント、部門間コミュニケーション、会社方針に対するモヤモヤ……などです。日常の会話では知ることができないものが多く、それらを聴くたびに「そりゃこれだけの不安やモヤモヤがあったら集中できないし、パフォーマンスは上がらないだろう」と感じます。

もちろん、その状況を作り出しているのは本人の思い込みの部分もありますが、社長としての私は心のなかで「そんな思いをさせてしまって申し訳ない、不安な気持ちを理解せず、推し進めて申し訳なかった」と謝罪し、反省をしています。

実際には多くのビジネスパーソンがこのようなパフォーマンスが上がりにくい状態になっているのではないでしょうか。そして、それをつくりだしているのもマネジメントの在り方、リーダーの在り方なのです。

セッションを重ねるたびに、部長たちからは「頭がすっきりする」「何が課題なのか分かった」といった感想が返ってきます。ある部長は10回のセッションが終わるころ「この時間がなかったと思うと、ぞっとします」と漏らしました。それだけ会社のなかで「聴く」ということが出来ていなかったんだということです。みんな自分の正しさを伝えたり、相手をコントロールしようとするばかりで、大変なストレスを抱えているんです。

そして、自らコーチングの効果を実感した部長たちは見よう見まねで自分の部下たちにもコーチングセッションをするようになっていきました。

「一枚岩になりたい」と悩む部長

ただ、コーチングはマジックではありません。受ければすぐに、誰もが大きく変化するというわけではなく、それぞれが課題に向き合って、それぞれのペースで成長していきます。

ある部長は、顧客からのクレームに人一倍敏感で、クレームを受けると自社の工場に対し、「何やってんだ!」とすごい剣幕で怒鳴ることが珍しくありませんでした。

私とのセッションで彼が掲げたテーマは「(社として)一枚岩になりたい」ということ。でも、セッションを続けていくうちに彼は自分で気づいていきました。自分の在り方が営業と工場との溝を生んでいるということに。

「では、一枚岩だったらどんな関わり方をしていると思う?」

と質問してみると、彼は

「怒鳴ることなく、相手の言いたいことに耳を傾ける」

と冷静に答えました。

そう気づいても、彼は即座に変われませんでした。その後も怒鳴り散らす自分が出てきてしまうのです。いま現在も、変りたい自分と、そうできない自分が光と影になり、その間で心が激しく揺れ動いています。

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