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【読書感想文】わんこに禅はよく似合う (951字)

柴犬まるの写真に禅の言葉を添えた本です。表紙のまるの写真が本当に可愛くて、古本屋で見つけた時にすぐに買おうと思った一冊でした。まるはSNSで人気の柴犬で、2016年に雑誌のタイムによって、世界で最も影響力のある動物100に選ばれたそうです。(これにはびっくり)

犬と禅とは意外な組み合わせと思ったのですが、読んでみるとよく合うものであることが分かりました。犬は今の事しか考えません。言い換えれば、犬にとっては、今この時が全てです。人間のように過去のことをくよくよしたり、未来のことを心配することはありません。

こんな生き方は、禅で言う「即今」に通じるものがあります。「即今」は94ページに出てくる言葉で、「今の一瞬」という意味であり、今という一瞬を大切に生きること、という教えが含まれています。

私が特に良いと思った3つの禅の言葉を紹介します。まず、「歩歩是道場」です。これは禅の修行をしているときだけではなく、日常生活のすべてが修行という意味です。日常生活が修行と考えるのは堅苦しいですが、どんなことも心を込めてやらないと、虚しさを感じてしまうことがあります。その意味で「歩歩是道場」は、より良く生きるコツの一つだと言えます。

次は「八風吹不動」です。「はっぷうふけどもどうぜず」と読みます。これは、どんなことがあっても動揺しないで、安定した精神状態を保っていることを表しています。何かのきっかけでパニック状態になったら、この言葉を思い出すと良いかもしれません。

最後は「把手共行」です。手を取り合って共に進むという意味を持った味わい深い禅語だと思いました。人間は一人では生きていけません。誰かと協力しなければ、生活は成り立たず苦しい状態になってしまいます。

この言葉は、禅を含めた仏教の理想を表現している気がします。どんな人にも仏性があり、どんな人でも仏になる可能性を秘めているので、誰かを見捨ててはいけないのです。またこの言葉は、人間と動物の良い関係を表しているとも思いました。まるのようなペットは、人間に寄り添って、人間と共に生きてくれる存在です。

いろいろと難しいことを書きましたが、まるの仕草の一つ一つが可愛いので、読んでみる価値はあります。気が滅入っている時や心がささくれ立っている時に特にお勧めです。


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