守屋聡史

短歌と音楽が好きです。家で仕事をしているので、一日中音楽を聞いています。最初は短歌でし…

守屋聡史

短歌と音楽が好きです。家で仕事をしているので、一日中音楽を聞いています。最初は短歌でしたが、訳詩も載せるようになり、自作の詩や小説も加えていきました。最近はCDレヴューも書いています。文章を書くことにとりつかれているので、いろいろ書いていこうと思っています。よろしくお願いします。

マガジン

  • 俳句幼稚園 ~壱~('22.11.6.まで)

    • 7,205本

    '22.11.7.より、新マガジン「俳句幼稚園~弐~」へ移行いたしました。

  • 訳詩集

    私が好きで、訳した詩を集めました。

  • CDレヴュー

    私の好きなアルバムのレビューです。60年代70年代のクラシック・ロックからソウル、現代の洋楽、ジャズ、クラシックなどいろいろなアルバムのことを書いていきたいです。

  • 英詩

    私が書いた英語の詩を集めています。

最近の記事

【読書感想文】まず自尊心を持つこと(1118字)

ジェリー・ミンチントンの『完全版 心の持ち方』を読みました。有名な本なので、読まれた方や、書店で見かけた方も多いのではないかと思います。読みやすい内容で、生きる上で役立つ92個の助言が載っています。自分で分かっていることでも、この本のように文章化して読むと頭の中に入りやすい気がしました。 自尊心を持つことの大切さが、本書の中では繰り返し説かれています。自尊心とは自己陶酔ではなく、自分を大切に考えることです。自尊心を持つことができれば、自分の価値を信じられるようになります。他

    • 【読書感想文】いろいろな表情の神様に出会える写真集(1031字)

      『じいちゃんさま』は梅佳代さんによる写真集です。読み終わった後もときどきページを捲って、笑ったり、じーんと感動したりして良い写真集に出会えたと喜んでいます。 1月1日の地震で大きな被害を受けた能登半島で撮影されたことを考えると、悲しみで胸が締め付けられます。こんな幸せそうな家族は、他にもたくさんあったでしょう。でも、地震によって大きな痛手を負うことになったかもしれません。そのことを考えると、この写真集は一層貴重なものに思えてきます。 表紙に写っている年配の男性がこの写真集

      • 【詩&エッセイ】青に誓う(743字)

        元日の空は晴れ渡っていて 澄んだ青がどこまでも広がっていた この青に誓いたいと思った みんなの幸福祈ること 青臭い願い でも青が好きなぐらいだから おれはずっと青臭いのだ 青空に心をつないで 心の中に 青空が広げること 悲しみの青を 悲しみの青のままで 胸に吸い込むこと 誰かの痛みはおれの痛み 青空の源は 心の中にもある と信じること この青に誓う 新春の青に誓う 君もこの青を見上げている と信じながら ちょっと遅れてしまいましたが、明けましておめでとうございます

        • 【読書感想文&エッセイ】シェイクスピアはnoteの守護神(1693字)

          シェイクスピアの『ソネット集』は一番好きな本で、昔から繰り返し読んでいます。『ソネット集』に収められた詩の特長は14行で韻を踏んでいることです。そのために原文を読むと非常に整って、言葉の響きが美しいことに気付きます。 Shall I compare thee to a summer’s day? Thou art more lovely and more temperate: Rough winds do shake the darling buds of May, And

        【読書感想文】まず自尊心を持つこと(1118字)

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        • 俳句幼稚園 ~壱~('22.11.6.まで)
          7,205本
        • 訳詩集
          34本
        • CDレヴュー
          17本
        • 英詩
          17本

        記事

          【詩】流れ星のように

          祈りは流れ星のように 動いていく 空を見上げているのは 僕だけではない と強く思うこと 透明な涙はとまらない 暗闇に黄色い花が咲くのは その涙のおかけだ と気づく 闇の中でその花を見つけたら そっと摘んで 君に差し出したい

          【詩】流れ星のように

          【読書感想文と訳詩】一生をかけて内なるシヴァ神を追い求めた詩人(1529字)

          ”The Poem of Lal Ded”という素晴らしい本を読みました。インドの神秘主義者で詩人ララの詩集です。自らも詩人のRanjit Hoskoteが、英訳した146の4行の詩と詳細な解説が含まれています。ララはインドのカシミール地方で、14世紀に活動していたそうです。 ララの詩の特長は簡潔で力強いことです。 寺院からもう一つの寺院へ、隠者は息継ぎのために立ち止まらない 魂よ、これを掴め!お前は鏡を覗き込むべきだった 巡礼を続けるのは、遠くの草の緑に 恋に落ちるのに

          【読書感想文と訳詩】一生をかけて内なるシヴァ神を追い求めた詩人(1529字)

          【読書感想文】ヘミングウェイの青春の書であり、雄弁な反戦小説 (1411字)

          ヘミングウェイの『武器よさらば』の原書を読みました。1929年に発表された作品であり、ヘミングウェイの従軍の経験を基にしていると言われています。 イタリアで戦う兵士として志願したヘンリーは負傷して、看護師のキャサリンと出会い、二人は愛し合うようになります。最初は戯れのような恋でしたが、やがて真剣に愛し合うようになりました。キャリサリンの妊娠が分かり、二人は幸せになれるはずでしたが、過酷な運命が待ち受けていました。 この小説には、二つの面があります。一つは戦争の悲惨さを描く

          【読書感想文】ヘミングウェイの青春の書であり、雄弁な反戦小説 (1411字)

          【読書感想文】旅の楽しみの一つは知らない人との出会い(1149字)

          沢木耕太郎さんのエッセイ『旅のつばくろ』を読みました。国内の旅を主題にした短いエッセイが収められています。読んでいると、ほろりとする話が多くて、良い本を読めて嬉しいとしみじみと思いました。 この本を読んで気付いたことがあります。それは、沢木さんが人との出会いを大切にしていることです。旅先での出会いは短いものです。ほんの一瞬の出会いもあるでしょう。でも、その時に生まれたつながりは、かけがえのないものになることがあります。 「縁、というもの」には、宮城での出会いが書かれていま

          【読書感想文】旅の楽しみの一つは知らない人との出会い(1149字)

          【エッセイ】挑戦することに意義がある(1086字)

          先日カラオケに行きました。私はカラオケが好きで、毎月一回行っています。その時は、久しぶりに自分の歌を採点しました。お店でこの点数を出したら料金が安くなるというキャンペーンをやっていたので、採点に挑戦したわけです。普通は採点しないです。 ほとんどが60点台で、数曲が70点台でした。このことから、いかに私が音痴であるか分かります。以前偉そうに洋楽が得意だと書いた覚えがあるのですが、実はたいしたことがなくて、単なる音痴というわけです。ただ嬉しくなることもありました。 採点の時も

          【エッセイ】挑戦することに意義がある(1086字)

          【読書感想文】複雑な中東の成り立ちが分かる良書 (1745字)

          イスラエルとハマスの対立は、日に日に悪化しています。海外の識者の中には、第3次世界大戦が始まったと考える人も出てきました。(ロシアの政治学者フョードル・ルキャノフなど)。イスラエルの爆撃によって、亡くなったパレスチナの多くの子供たちの遺体の写真をX(Twitter)で見た時は、涙が出ました。どちらにも非があり、できるだけ早く停戦すべきです。無辜の一般人が殺されるのは、酷すぎます。 中東のことは複雑すぎてよく分からないので、積読にしていた『中東の考え方』を読みました。10年以

          【読書感想文】複雑な中東の成り立ちが分かる良書 (1745字)

          【読書感想文】絵本は心の糧(1215字)

          毎日絵本を読んでいます。週に5日ぐらい図書館に行くのですが、まず図書館の中で良さそうな絵本を1冊見つけて読みます。それから2冊程度借りて家で読むので、1週間で10冊以上の絵本を読んでいることになります。 絵本の良さはいろいろあります。童心に帰れる、心が和む、すぐ読めるといったところが、私にとっての絵本の良さです。他には、笑える、じーんと感動する、心が洗われるといった良さもあるでしょう。 絵本は場所をとる、高額であるといった短所もあります。でも、このことは気にならないです。

          【読書感想文】絵本は心の糧(1215字)

          【詩】秋の陽射し

          秋の陽射しは亡くなった人の微笑 胸に沁みる あなたの笑みは心から消えていなかった と悟る ぼくの胸を今でも温める 今年も秋桜が咲いた 天国にこの花がなかったら ぼくの目を通して見て欲しい 秋桜がお辞儀をするように揺れる 遠いところで あなたが頷いてくれたんだ そう思いたい 今度会うときは こんな秋の日に 秋桜を見ながら歩き続けよう

          【詩】秋の陽射し

          【読書感想文】人間は吹けば飛ぶような存在だけれども(1481字)

          イギリスを代表する作家の一人、Iris Murdochの"Italian Girl"を読みました。私が読んだのはペンギンのペーパーバックです。主人公のエドモンドは、母の葬式に出席するために自分の家に帰ってきます。そこで暮らしていた兄夫婦や使用人たちと再会。葬儀が終わった後に、思いもかけないことが次々と分かって、彼は苦しむことになりました。 兄夫婦は共に不倫にのめり込んでおり、彼を慕ってくれる姪は妊娠していることが判明します。姪はまだ大学生であり、出産して子供を育てるのは難し

          【読書感想文】人間は吹けば飛ぶような存在だけれども(1481字)

          【小説】ひまわり娘 (762字)

          町のはずれでひまわり娘と会った。焼けた肌に白い歯が映えている。ぼくに気づいた彼女は、にっこり笑った。 「さようなら」 笑いながら、彼女は言った。微笑む彼女を見ていると、胸が詰まる。十代の時からこれは変わらない。彼女は歳を取らない。ぼくは年々歳を取り、死に近づいていく。 小学校の時に、ひまわりの種を拾った。捨てるのが惜しくなり、家の庭に植えて、一生懸命に育てた。夏の終わりに枯れたひまわりを見て悲しんでいると、ひまわり娘が会いに来てくれた。 「私はあなたが育ててくれたひまわ

          【小説】ひまわり娘 (762字)

          【短歌とエッセイ】秋のはつかぜ

          透きとおるトンボの羽を震わせる秋のはつかぜわが頬撫でる コスモスを花弁を揺らすそよ風は秋の訪れ秋のはつかぜ 君と見た海の青さは胸の中秋のはつかぜそれを教える 岩波文庫の『新古今和歌集』を読んでいます。一つ一つの和歌を音読しながら読んでいるので、なかなか読み進めません。今は秋のところを読んでいて、この季節に合っています。この部分に、「秋のはつかぜ」という言葉を使った和歌がいくつか出てきます。 おしなべて物をおもはぬ人にさへ心をつくる秋のはつかぜ これは西行の歌です。こ

          【短歌とエッセイ】秋のはつかぜ

          【小説】本は待っていてくれる(1257字)

          場所は変わっていたが、公民館図書館は昔と同じ匂いがした。古い本の匂いだ。その匂いをかぐと、自分自身が小さい頃に逆戻りした気がした。 一人の女性が絵本の棚の前に立っている。真剣な顔で、本を選んでいた。彼は本を探し始めた。題名は覚えている。『かえっておいで』だ。作者名を忘れてしまった。家の外へ出た子熊が森の中で迷子になって、怖い思いをするという内容だった。結末では、自分の家に戻ることができる。 夕焼けを背に立つお母さん熊の絵が、印象に残っていた。絵本の棚をずっと見ていっても、

          【小説】本は待っていてくれる(1257字)