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リカちゃんの真実

もうそろそろ、街中に鈴がジンジングルグルと鳴り響く頃ですね。

雨は夜更け過ぎに雪へと変わり、閉店間際に君の欲しがった椅子を買い、君と僕の答えもきっと出ているだろう12月24日。そう、クリスマスイヴですね。

ちびっこのみんな、もうサンタさんにお願いするプレゼントは何か決まったかな?お兄さんはもうちびっこではないのですが、ここ数ヶ月ほど、気になっているおもちゃかあるんだ。

トミカ?いや違う。確かに幼少時はトミカが親友で、日野のダンプカーに本物の砂を詰めたり、シャコタン車を作ろうとボディを思いきり手で押さえたら車軸が外れて泣いたり、歩道乗り上げ駐車を捕まえるパトカーの情景を再現するなどして楽しんでいたけれど、さすがに三十路を超えてからはやらなくなりました。

仮面ライダーベルト?いやそれも違う。未だに各ライダーの何がどう異なるのかよくわからず、そもそも特撮ヒーローものよりも、どちらかというとセーラームーンとウェディングピーチに興味を持っていた男の子なので……。

現実的にいえば、欲しいというか、興味がある、ということになりますが、それが何のおもちゃかと問われれば、リカちゃん人形です。

リカちゃん。本名は香山リカ。1967年5月3日生まれ。永遠に11歳。身長142cm、体重34kg。パパのピエールは音楽家、ママの織江はファッションデザイナー。パパがフランス人、ママが日本人ということで、ハーフなのだそうです。

スラッとしている印象なので、身長142cmというのは意外と低いような気もしますが、まあ小5だもんなあ。

さて、ふたつ年上の従姉は、ありとあらゆるおもちゃをおばあちゃんにたかりまくっており、日本を代表するおもちゃはだいたい集めていました。

そして、飽きたおもちゃはすぐさま、おばあちゃんの家に放置。

大学寮に引っ越すまでずっとおもちゃたちを大切に扱っていた『トイ・ストーリー3』のアンディを見倣ってほしいものですが、そのおかげで自分は、お下がりの女児向けおもちゃたちにありつけました。

特に、セーラーマーキュリーの着せ替えセットとかシルバニアファミリーのフォルクスワーゲン・ビートルっぽい車なんかは自分は絶対に親にねだれなかったので、それらを提供してくれたことは実にありがたい。

リカちゃんもまた、従姉のお下がりをいただいており、3階建てのオシャレなハウスのバスルームにリカちゃんを置いて眺めるなどして楽しんでいました。

この字面だけ見ると変態おじさんみたいですが、当時の自分はまだ6歳くらいなので、リカちゃんはお姉さんです。ん?それはそれで変態なのでは……?

そのあたりの是非はともかくとして、もうそろそろその従姉の娘、つまりは自分にとっての姪っ子にお年玉やらなんやらをあげなくてはいけないような空気になっているのですが、果たして現代の女児は何をして遊んでいるのかをこっそりリサーチするべく、この世のすべてのものを売っているというイオンモールさんで、約30年ぶりにリカちゃんのご尊顔を拝見したわけです。

リカちゃんは相変わらず、歳を取らず足が長くてオシャレで、頭には帽子をちょこんと乗せていました。帽子にはアイスクリームの絵が描かれているのですが、なんかどこかで見たことがあるような……と、周囲に誰もいないことを確認して、そのパッケージをしげしげと見てみると、間違いなくそこには書かれていました。「サーティワンアイスクリーム」と。

リカちゃん、サーティワンでバイトしているのか……?というか、リカちゃんワールドにサーティワンアイスクリームが存在するのか……?

いや確かに、リカちゃんの本名は香山リカであり、たぶん日本国籍の人である。そりゃあサーティワンも知っているだろう。理屈ではわかるのですが、虚構の存在だと思っていたリカちゃんが、意外とリアルなものだったと知ってなんだかクラクラした。

詳しく調べてみたところ、リカちゃんはミスタードーナツやモスバーガーにも行くらしい。さらにはリカちゃんワールドにはウーバーイーツ的なものもあり、リカちゃんもときどき宅配バイクで街を駆け回っているという。

小5なのに?2輪免許は持っているのか?などの詮索は野暮だとはわかっている。わかっているが……。

そういえば、リカちゃんには確か彼氏がいたはずだ。デート代を稼ぐためにバイトをしているのだろうか。デート代は彼氏に奢られるより割り勘の方がいいタイプなのだろうか。

彼氏に関して調べてみたところ、さらに驚愕の事実が発覚しました。現在の彼氏の桜井はるとくんは、なんと6人目らしい。11歳にして交際歴6人。早熟すぎるだろ。年上が好きらしく、中学生と付き合っていた時期もあるという。

ここで本来の目的であったはずの現代の女児のニーズについての話に戻りたいところなのですが、もしかして長いこと会っていない我が姪っ子にも、もうすでに彼氏などという存在がいるかもしれないという可能性に気づいてしまい、そうとわかるともうリカちゃんどころではなくなり、毛布にくるまって悶ながら、お兄さ……おぢさんはひとりで泣きました。

良い子のみんな、楽しいクリスマスを過ごしてね……。



サウナはたのしい。