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「#はじめての仕事」を書ひてみむとてするなり

春にnote公式さまのお題に沿った記事を5つ投稿すれば、神龍が現れて願いを叶えてくれるというお告げを受けたような気がしたので、お題のひとつである「#はじめての仕事」について書きます。

はじめての仕事は、夏休みだけの短期アルバイトで、商業施設の中にあったジーンズ屋さんでの仕事です。

ジーンズ屋とだけいえば、オシャレでイケイケで、ちょっと前までひとりで布団の中でDIR EN GREYの『理由』をイヤホンで聴いてうずくまっていたおまえに勤まるのかという話ですが、まあ最初の頃は、壁に凭れるわ、まともに挨拶もできねえわ、ひどいものでした。

先輩にも、おまえにはまず常識から教育すると言われ、本当に常識からご教授いただきました。さらに何回か商業施設内のマクドナルドで奢ってもらってもいる。いやはや、本当にご迷惑をおかけしました。

店長が当時27歳だったか28歳だったかで、唯一の社員さんは23歳の新卒、パートさんではあるものの勤務年数はいちばん長いので実質的にボスだったおねえさん、彼女と撮ったプリクラをやたらと見せてくる同級生、という人員で構成されていました。

もうほとんどみんな、名前は忘れてしまった。実質的にボスだったおねえさんは、後年にこっそり店を覗いたときにもご健在でしたが、今年の春、とうとうこの店そのものが閉店してしまいました。

このおねえさん、めちゃくちゃ下ネタを言う人で、閉店後に服を畳んでいる間、照明が消えて薄暗くなった店内で、いろんな知識を吹き込まれたのが非常に印象的です。延々と✕x✕✕✕の話を聞かされた。

平均年齢が若かったこともあって、常識については叩き込まれたものの、それさえ守れば規律はけっこうユルく、ピアスも髪染めもOKでした。

ピアスの魅力に関しては当時も今もよくわからないので、付けていませんでしたが、当時の自分は前髪の一部だけ金髪、それ以外は黒髪という、ヒカルさんより10年くらい先立った金×黒コンポの髪で仕事をしていました。髪染めに失敗して前部しか染まらなかっただけなんですがね。

はじめての毛染めは、お金をかけてでも美容院でしてもらったほうがいい。失敗したら残念なヒカルさんになるうえに、風呂場も大変なことになる。銭湯での毛染めが厳禁とされている理由がよくわかる。

このトラウマのせいで、以後の自分が髪を染めることはありませんでした。まあ、一度やってみたら案外すぐに飽きてしまって、どうせ就活するときに戻すなら、黒髪のままでええわ、となったことも事実ですが。

昨年から会社内での外見の規制が緩和されたので、軽く染めるくらいならやる可能性はありますが、ヒカルさんみたいなアバンギャルドなのをやるのはもうええわ……。そして、絶対に美容院でやる。

さて、そのジーンズ屋の基本的な仕事内容についてですが、売り場の商品の服をお客さんが手に取って戻すとヨレヨレになるので、それを綺麗に畳んで戻す、メーカーから送られてくる商品の段ボールの検品、レジ打ち、閉店後に売上金を従業員専用の何か怪しい感じのところ(なんか施設内のドンみたいな人がいる)に献上する、といった感じでした。

最初は、服を畳んで戻す作業から始まります。

畳み方のマニュアルがあるのですが、これを極めると、自分の家の箪笥も綺麗になります。

いま現在の私の部屋の箪笥の有り様がどうなのかというと、もうとっくの昔にマニュアルを忘れてしまっているので、カオスな状況になっているのですが、当時は家でもちゃんと畳む癖がついていたので、箪笥はそれはそれは美しかったはずです。たぶん。おそらく。記憶が曖昧だが、まあそういうことにしておいてくれ。

慣れてきたら段ボールで送られてくる商品の検品。ジーンズ屋なので主にジーンズですが、3着で1000円だったかの服も取り扱っていました。というか、それがいちばん売れていた商品です。

エドウィンやリーバイスのお高いブランド物のラインナップもあるにはありましたが、なにせ住宅地のそんなに大きくない商業施設内なので、来るお客さんのほとんどは、あまりお金を持っていないフツーの中高生なので。

中高生が軽くイキるための1500円くらいの伊達サングラスなどもありました。誰がこんなもん買うねんと思いきや、けっこう売れていました。自分も買って軽くイキりました。もう大学生だったのに。

最終的に覚えたのはレジ作業と、閉店後に売上金を持っていく作業。レジに関しては、横でタグを切ったり商品を袋に詰めたりするサッカーという作業を先に覚えて、次にお金のやり取り、という感じです。

ジーンズ屋でコンビニやスーパーみたいな長蛇の列ができることなんてあるのか?と思いがちですが、意外とフツーにありました。最初は焦ります。

しかもジーンズなんて見分けがつきにくいので、間違えて商品を渡すなんて日常茶飯事。ただ、お客さんに怒られた記憶は、どういうわけかほとんどありません。先輩がよっぽど上手くカバーしてくれていたのか、それとも記憶が改竄されているのか……。

いま思えば、社員も含めたほぼ全員が20代の若い職場なんてだいぶレアなので、貴重な体験でした。めちゃくちゃしくじりましたが、それも初バイトらしくて良かったかなあと。

売上金を献上するときの、生まれて初めて百万円単位のお金を手にした緊張感を未だに覚え……、てはおらず、今や魚の目をして金庫の札束を数えたりしています。

どうせ自分のお金ではなく会社のお金ですから。これが自分のお金だったらいいのに。歳を重ねて魚の目になっても、考えていることは当時と全く変わらない。

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