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ためにならないエッセイを

アニメ『推しの子』をなにげなく視てみたら、これが面白くて、最新話まで追いついてしまいました。

アイドルをテーマとした作品であることはなんとなく知っていましたが、推しの子というのは、推しているアイドルの娘さんのことを指すのではなく、そういう意味だったのか……。

第1話がなぜか1時間半もあり、もはや映画なのですが、それはあくまで序章であった。ていうか、そんな超展開になるんだ……。

こうして書き続けると、うかうかしてネタバレをしそうなので、アニメの内容についてはそれくらいにしておきますが、アイドルというものは偶像であることが根底にあり、作中の芸能人たちも、メディアで見せる顔と素の顔とが微妙に違っていたりします。

別にキャラを作っているとか。自分を偽っているとかではなく、表立った人格とは別の内面をみんな持っています。

ブラウン管の向こうにいる人たち……という表現は令和にはふさわしくないな……。液晶の向こうにいる人たち、のほうがふさわしいか。もう地デジ化から10年も経っているのですからね。そのうち液晶もなくなるかもな。

でもって、向こうにいる人たちは、あくまでそういう人たちであって、視聴者である我々は、テレビやユーチューブといったフィルターを通して彼らの表面を見ているだけに過ぎません。

ただ、テレビがブラウン管だった頃は、たとえ嫌いだと思う芸能人がテレビに出ていて、そいつに対して文句を垂れていても、お茶の間でビールを片手にブツブツ言ういるだけに留まっているので、それを聞いているのは家族だけ。

たとえ家族にその芸能人のファンがいたとしても、家族間での揉め事にしかならず、広く公表されることはない。

その昔、我が家のテレビがまだ分厚くて、放送形態がアナログだった頃、家族でNHK紅白歌合戦を視ていました。

河村隆一さんが『ジュリア』で出演された際に、オトン(父)がそっと言いました。「あいつ、ちゃんとギター弾いてない」と。

いやいや、そんなはずはない。隆一さんはそんな視聴者を騙すような真似はしない。ちゃんと弾いている。オトンは何もわかっていない。井上陽水さんと松任谷由実さんの音楽しか知らんアンタに何がわかる。

などと、テレビの前でごはんを掻き込みながら思いました。すでに反抗期は過ぎていたので、表立って歯向かうことはしませんでしたが、頭の中は反抗心でいっぱい。

その頃の自分にインターネット環境があって、SNSのアカウントを持っていたとしたら、そのリアル10代の反抗心を剥き出しにして、オトンへの文句を世間に公表していたことでしょう。

いやあ、当時の自分にインターネット環境がなくて本当に良かった。なぜなら、オトンが言っていたことは100パーセント正しかったということに、後で気づいたからです。

『ジュリア』のPVの隆一さんの手元を確認すると、よく見たら実際に当て振りなのです。はっきりいって、全く弾いていない。後半で踊り出して以降は、もう当て振りすらもやめて、ギターはただの飾りと化している……。

ユーチューブの公式チャンネルで視られるので、皆様も確認してほしい。こんなことを書けるのは、確かにインターネットの良いところではある。

ブラウン管の時代なら、同じ部屋でPV集を視ていなければまず伝わらないし、それだけのために知り合いを呼ぶのは難しいけれども、現代ならスマホに文字を打ち込みさえすればいい。

2001年の紅白歌合戦の放送時のリアルタイムな我が家の姿を共有できる。そこに需要があるのかどうかは知らんが。

ただ、その姿を公にするということは、自分の勘違いや身勝手な意見も公にするということになります。それを自覚してSNSをするべきであり、自らの発言のひとつひとつに対して責任を持ちたなければなりません。

誹謗中傷がいけないのは当たり前だし、他人が不快に思う言動は慎むべきである。

食事制限をしている人もいるので飯テロ画像を上げてはいけないし、テロという単語は物騒なので使ってはいけないし、リツイートには許可が必要なので無断リツイートは控えてください。

かわいい猫やインコの写真などの投稿のみに限定するようにしましょう。

人間などという二酸化炭素を吐き出す有害な生物など要りません。みんなが笑顔になれる幸せなSNSを……。

ていうかもう人間いらなくね?猫とインコだけでよくね?猫の肉球によるスタンプとインコの独唱音声があればそれでいいんじゃねえの?さよなら人類。ついたー!

……というようなことを脳内で逡巡していたところ、年間100記事の投稿が目標であるカオスエッセイの更新が10日も開いてしまいました(りんくうタウンのテキストは散歩日記なので、エッセイとしてはノーカウント)。

なんかこう、誰にでもあると思うのですよ。なんか価値のあることを書こうとして、書きたいネタ自体はあるんだけど、これ書いたら嫌われそうとか、こんなもん書いてなんのためになるんだ?とか。

知らず知らずのうちに、他人にとって不快な文章を書いているかもしれません。

『推しの子』がアイドルの娘さんという意味ではないことをチラッと書いてしまった時点で細かくいえばネタバレだし、今さら『ジュリア』のPVのギターの話なんぞを蒸し返すと河村隆一さんのファンに怒られるかもしれない。

ただしかし、エッセイとは徒然に書くものであり、言論の自由は国家で定められている。

なので、ディスや煽りなどをするつもりはありませんが、これええんか?というような部分を出してもよしとすることにします。

最強の男であるROLANDさんですら、某アニメが好きだとちらっと発言しただけで数百人のフォロワーが減ってしまったそうなので、きっとそんなもんなのです。

ROLANDさんご自身は、「俺が下を向くのは靴を履く時だけ」とクールに返していらっしゃいました。

自分は靴を履く時でなくても下を向いて生活していますが、言いたいことも言えないポイズンなこの世の中、SNSくらい好きにやらせてくれ。

相変わらず昔のJ-POPのパロディーだらけだが、それが自分なのだからしょうがない。これからも価値のないことを書くぞ。

サウナはたのしい。