仲村ぷる #短編小説
大体1000字くらいの短編小説です
今月は2000字くらいで書いてみました どうぞよろしく
小遣いは月五千円だから躊躇するかと思ったが、昂大は自分でもすんなりと受け入れた。今日の放課後、駅の近くにあるアイススタンドで優茉とアイスを食べて帰る。誘ったのは優茉で彼女も初めて行くのだそうだ。 授業は頭に入らなかった。女子と帰るのは初めてではないがデートだろ、と思うと昂大の顔は紅潮し頭から煙が出てきそうだった。優茉は可愛いタイプでは無かったが割と美人で気の利く女だった。昂大の好みとは少し違うが女子である。緊張しないはずがなかった。 放課後玄関で待ち合わせるとなん
1000字より多い文字数でなにか書いてみたい欲がでてきました。 投稿サイトを探したりしたいです。
牧田さんが「そうに違いない」と言うのでハルミは頷いた。給湯室で他人と出会ってしまうというのはそういう事である。緑茶を淹れる仕草をしながら、相手の愚痴やら悪口やら弱音やらを聞く。ハルミに出来るのは頷くだけである。 「じゃあね」と牧田が言ったのでハルミは緑茶の缶を戻し、インスタントカフェオレの小さな袋を取り出した。ハルミは甘いものが好物である。袋から粉をマグカップに入れてポットからお湯を注ぐとインスタントカフェオレは出来上がる。すぐに飲まないのは猫舌だからである。 カップ片手
雨は強くなり、サヤカは窓の外を眺めるとため息をついた。この後サヤカは郵便局に行かねばならず、傘は折りたたみの小さな日傘兼用のものしかない。 営業の者が車に乗せてくれないかと考えたがあいにくみな出払ってしまっている。 サヤカは覚悟を決めると郵便物を手に席を立った。 あの日もこんなふうに土砂降りの雨だった。赤いスポーツカーの中で三周した、ゲームのような電子音を繰り返す音楽にサヤカは辟易していた。これは運転手のタクミの好みなのだ。彼はいつも外からも聞こえるほどの爆音
あの坂を下り、三つめの交差点を左に折れた所に綾乃の家はあった。駅からは二十分かかるがコンビニはある。ファミレスに弁当屋にファストフード、イタリアンにはテイクアウトもある。スーパーは無いので自炊しようと思わなければ割といい物件だ。 涼介が綾乃の家に住み始めた時、真っ先にスーパーの位置を聞いたのを思い出したのだ。涼介は豪快な趣味の料理ではなく、母親が実家で作っていたような料理をする。 毎日はパーティではなく生活の延長であるのだと涼介と居ると綾乃は思い知らされる。 ただい
渚は走った。海沿いの歩道は潮の香りがして半袖の腕を舐めるように風が吹く。今日、決まった。夏休みの展覧会に渚の絵が出品される。この嬉しさを隠せなかった。一番に伝えたい!病院に早く着きたかった。 「なぎさくーん、待ってー」 後ろから由奈の声が聞こえる。今日は一緒に帰らないって言ったはずだ。のんびりした声が息を切らしてついてくる。渚は舌打ちすると立ち止まり、由奈が追いつくのを待った。 「なんだよ、待つなって言ったろ」 「だってえ」 由奈は胸を上下させ、立っていられないのか渚の
2〜14万字か…… 読み応えありそう
美雨は可愛い。眠っている時のふわふわとした髪の毛もそうだし、舌足らずで正悟を呼ぶのも可愛い。少し重くなってきたが、抱えられないというほどではない。むっちりとした腕、すべすべの足、幼児特有の頬の膨らみ。 ただ、好きなのかと問われれば首を傾げざるを得ない。正悟は大きな声が嫌いで、美雨は泣くしかできないのだ。 この一点だけで、全てが台無しになるほど美雨の泣き声は大きい。しかも幼児とはいえ女なのだ。少し気にいらないと泣き出すなんて訳がわからない。癇癪を起こす美雨は最悪だ。
スコアブックという本を初めて見た。若葉は圭祐の差し出したそれをパラパラとめくってみる。音符や数字、アルファベットなどが所狭しと書いてあり若葉はため息をついた。 「何が書いてあるのか、全然わかんない」 「初めはそうだよ、みんな」 俺もそうだった、と圭祐は言った。ただの譜面だと呟いて若葉からスコアブックを受け取る。圭祐はYouTubeにギターを弾く動画をこっそり上げている。 圭祐の家族以外でそれを知っているのは若葉だけで、若葉も動画を見ている事を圭祐以外には言っていない。し
コメントをたまにいただけるのですが返信の仕方がわからずハートを押すだけで精一杯です。でもめっちゃよろこんでます!ありがとうございます
何も作る気になれなくて、会社の帰りにモスバーガーを買って帰った。今日橘さんは来ない。一人の夕食だった。 優美は思った。橘さんは今、家族団らんというやつをしているのだろうなと。子供の年齢は教えて貰えない。ただ、男の子と女の子が一人づつ。手のかかる時期は終わって受験などを気にする辺りのはずだ。 橘さんと付き合うようになって、優美は不倫する女の話を敏感に感じ取るようになっていた。テレビドラマ、映画、ゴシップニュースなどで不倫の文字を見る度に私とは違うと言い聞かせていた。
ゲームにハマってしまったので今月はお休みします
「ああ、ブレてちゃんと撮れない」 海斗が笑いながらスマホをゆらゆらさせているので比呂は画面を覗き込んだ。 「ムービーで撮ればいいよ」 そのままムービーのボタンを押して、海斗の画面に映り込む。ピースをして、すぐにやめた。ピースは古いとおもったのだった。 「比呂さん、笑って」 海斗は笑ったまま比呂を映す。比呂ははにかんだ。そして言った。 「今日のお前、忘れないよ」 「なんすか、それ」 海斗はずっと笑ったままだ。比呂は海斗の頭を撫でた。若かったら抱きしめていただろうと思う。
今年も兄の息子、甥っ子がやってくる。年末にやって来て正月に帰るのである。綾太は独身で実家に住んでいる。だから必然的に甥っ子にも会うのである。 子供が嫌いというわけではなかった。ただ、結婚も子育ても未知のもので綾太は兄たちが来た時にしかそれを近くで見るすべがないのである。職場の人間の子供に会ったことは無いし、友達は少なくみな綾太と同じ独身なのだった。 「しょぼ」 去年の事だった。甥は綾太があげたポチ袋の中を見てつぶやいた。綾太に聞こえたのだから呟いたというのが適切なのかは
今度上げる短編小説の評価