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コロナほぼ日報 カナダトロントで自粛生活3週間の記録。

日々変わる情勢に気持ちが惑うその一方で自分が大切にしたいこと、したかったことに気づかされる。思えば3.11の時もそうだった。きっと今起きていることも、何年後何十年後に振り返るんだろう。そう思ったので、短文で記録することにした。 なお、この日記(日報)は、カナダ トロント在住目線のレポート。

●2月某日
中国で、非常に感染力の強い新型ウイルスが発生したというニュースが出回る。
2月末に2週間の年次休暇を取るインドネシア人の同僚が帰国の心配をしている。結局その子は中国経由便なのを恐れ、1週間後フライトをキャンセルした。
日本は大丈夫なのかと聞かれた。中国と近いでしょと聞かれ、大丈夫と答えた。
そう答えたのは、この頃は日本はそこまで酷い印象じゃなかったんだと思う。

●2月20日(木)
日本で東京マラソンが中止になったというニュースを見た。
日本はマスクやトイレットペーパー、アルコールスプレーが品切れ状態らしい。
日本の緊張感が伝わってきた。トロントは通常通りだ。

●2月21日(金)
トロントの仲の良い日本人Sちゃんが日本に一時帰国した。
2週間帰国すると聞いたので、その頃は状況も変わっているかもしれないと伝えた。昨日、東京マラソン中止のニュースを見て、危険を感じたから。
「2週間後にカナダに戻ってくる時は、被害状況次第では何が起きても入国制限があってもおかしくない事は頭の隅に入れておいた方が良いよ」。
トロントは通常通りだ。

●2月24日(月)
ルームメイトの日本人Rくんが日本に一時帰国した。期間は3週間。
この子にもSちゃんと同様に、「3週間後にカナダに戻ってくる頃には、帰ってこれない状況になっているかもしれないよ」と注意喚起しておいた。
その子は地元沖縄県が大好きらしく、むしろ足止めを喰らうのは歓迎だ、と言っていた。トロントは通常通りだ。

●3月3日(火)
感染地域からの帰国者には14日間の自己モニターが要請された。その方々は帰国後しばらく休職もしくはリモートワークで14日間様子を見なければならない。
学校もイベントも封鎖されていない。トロントは通常通りだ。

●3月11日(水)
午前10時、Sちゃんから日本からカナダに無事に帰ってきたと連絡があった。
日本はマスク姿が多かったのとサニタイザーはどこにも売っていなかったらしい。それでも彼女のInstagramストーリーズからは日本で連日友達と会っている様子が見て取れたので、外出にはさほど影響が無かったようだった。

この日の午後2時頃、WHOが全世界に向けてパンデミックを発令した。
その日は夕方、シェフのお仕事の方でレストランに働きに出る日だった。
世界にパンデミックが発令されたというのに客足は通常よりだいぶ混んでいて、肌感では金曜夜もしくは土曜夜くらいの忙しさだった。今思うとこれは、パンデミック後これから来るであろう規制の前に、もしくは明日から始まるテレワーク前夜として、花金感覚で外食に出た人が多かったのだろう。

●3月12日(木)
・オンタリオ州内の公立学校は3/14~4/5まで封鎖することが発表された。
・全ての帰国者に対し14日間の自己モニター期間が要請された。さらに中国湖北省、イラン、イタリアからの帰国者は14日間自己隔離が必要。

飲食店の売り上げが著しく低下。街からオフィスビルから明らかに人が減った。その日の売上げは半分以下となった。
英語のコースを取っているので夕方学校に行った。この時点では学校は封鎖されていないが、来週以降はオンラインクラスになるかもしれない、と先生から言われた。

●3月13日(金)
・3/14以降の図書館、コミュニティ施設、市のイベント封鎖が発表される。
予測していた通り、更に飲食店の売り上げが良くなく、通常の1/4程度しか売り上げが無い。売上が悪いので、パートタイマーの人に申し訳ないがお休みしてもらうことになった。
お店の子達に、来週はお店を開けられない可能性があることを示唆しておいた。
お店を開けるかどうかは、オーナーやエリアマネージャーでこれから審議する。
私の予測では、売り上げ的に来週はお店は閉める判断になるのではと思った。

●3月15日(日)
日本から帰国したばかりのSちゃんとブランチに行った。この頃まだ外出自粛が無かったトロント。普通に人々は出歩いている。そこそこ有名なレストランとカフェに行ったが、客足こそ普段より少ないものの、どの店も通常営業してる。

●3月16日(月)
今週も引き続き飲食店を開けることに決まった。但し売上が非常に芳しくない。オフィスビルには殆ど人がいなかった。過半数がテレワークに移行したらしい。
パートタイマーの人には引き続き1週間休んでもらうことにした。
更にもう一人の仕事ができるフルタイムの子にもこの1週間はお休みしてもらうことをお願いした。

午後3時頃、政府から緊急ニュースが入った。
・18日正午からカナダの国境を封鎖すること(カナダ市民、永住権保持者を除く)。

・イベントスペース、レストラン、バーは明日3月17日の深夜12時を以て、営業を停止すること。

これにより日本の沖縄に一時帰国中のRくんは国境封鎖前にカナダに戻れないことが確定した。

3/12のパンデミック発令から3/16の間で起こったこと
・WestJet航空会社で大多数のレイオフ発生 ・Starbucksはカナダ全土でテイクアウトのみの営業を表明 ・カナダ最大手コーヒーチェーンTimHortonsもテイクアウトのみ営業を表明 ・スキー場も封鎖 ・スポーツジムも封鎖
・映画館も封鎖を表明 ・各デパートも時短営業を表明

会社から貰うROEという失業手当について同僚達の話し合いが勃発。
レストラン封鎖のアナウンスがあったその日に、まだ失業していないのに失業保険をどうするかと話し合いを繰り広げる移ろいやすさはカナダ人ならではだ。

●3月17日(火) 自粛1日目
・オンタリオ州、緊急事態宣言発令。
・総理大臣トルドー首相は、アメリカ・カナダ間の国境封鎖を発表。

昨日の政府からの発令によって、レストランやバーはこの日の深夜12時を以て、持ち帰り営業以外封鎖対象になった。たった1日で店を休業しなければならなくなったので、食材を分け合う店舗が勃発した。店の冷蔵庫の掃除をした。友人Sのお店とお裾分けを交換した。

●3月18日(水) 自粛2日目
コーヒーをテイクアウトして、Sと家のラウンジで飲みながら、今のこの近況を話し合った。

●3月19日(木) 自粛3日目
政府の営業停止命令による一時離職に対して、外国籍労働者でも「EI」という失業手当を申請できるらしいので、その申請作業に費やした。
noteに申請手順をまとめようと以下記事を書きながら進めたので1日で終わらず。
コロナの影響で職場が封鎖になった場合の失業保険EIの申請方法 【実践編】 )
夜、相方とデートの約束があったので出かけた。この時はビジネスの自粛こそあれど、ソーシャルディスタンスの発令は起きていないので、人とは会える状態。ただしレストランもバーも営業していないのでデート先が無かった。ドライブデートにして夜景スポットを車で転々とした。

●3月20日(金) 自粛4日目
エアカナダのトロントー羽田便が4月30日まで無くなった。
失業保険 EI (Employment Insuarance)をカナダ政府に申請した。
せっかくなので今まできちんとまとめていなかった過去4年間の収支を洗いざらい整理してまとめた。

●3月23日(月)
必要不可欠なサービス以外停止と発令された。向こう14日間は禁止らしい。

●3月25日(水) 自粛9日目 
・コロナウイルスへの緊急給付金として、月当たり$2,000の保証が発表された。

これは失業保険を受けられない、営業こそ続けているが売上げが減った人々にも経営者にも、等しく保証する給付金。
(後に私は、この給付金はカナダ国民でなくても外国籍労働者や、留学生にも適用される旨の追加調整情報を聞いて、感謝に驚愕することになる。)


・全てのカナダへの入国者に対して14日間の隔離が義務付けられた。
失業保険 EI (Employment Insuarance)の受領書が市役所から郵便で届いた。
申請後3営業日で届いた。申請もオンライン完備だし対応がとても早い国だ。
この日、トロント大学という日本で言う東大のような、オンタリオ州学歴トップの大学が夏セメスターもオンラインで行うことを表明した。つまり9月までこの状態が続くコロナとの我慢比べが、かなり長引くと証明されてしまった。

#Stayhome #StayhomeStaylife というハッシュタグやストーリーが出回った。 #StayHomeArtChallenge というハッシュタグで自粛を促すアート活動があったので参加して「幸せの青い鳥」の絵を投稿した。2日前には大石結花さんが紹介していたGIFアニメの作り方動画も拝見しGIFアニメも多々制作したので、引きこもりで制作が捗る日々。

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404美術館投稿 「幸せの青い鳥」

●3月28日(土) 自粛12日目
5人以上での不要不急の集会が禁止された。(通勤電車は除く)

●4月2日(木) 自粛17日目
公園や広場で他者と2mの距離を取ることが義務付けられた。(罰金あり)

●4月3日(金) 自粛18日目
・必要不可欠以外のサービスについて、封鎖対象がより厳しくなった。
・エアカナダのバンクーバーー成田便が運休となった。

●4月4日(土) 自粛19日目
CERBという政府からの緊急給付金に備えて、カナダの確定申告であるタックス・リターンを進めた。

●4月5日(日) 今現在。自粛生活20日目
地元の福井県でクラスター感染が起きたというので、とてつもなく心配になり、地元の友達数名に連絡を取る。福井県はもともと人口が少ないため、病床の数が少ない。今回のクラスター感染で、感染者数の割合でいうと福井県は東京都を抜いて感染者率1位になったと聞いた。

連絡を取った地元の友人から、小・中学校と一緒だった男の子が今年の2月に白血病で亡くなったと聞いた。闘病生活2年7ヶ月だったらしい。
私がトロントに来て4年間、まともに地元に帰れず、地元の友達達と会っていない間にKくんは白血病にかかり、闘病生活の末に亡くなってしまっていた。

先日読んだ田房永子さんの漫画が頭によぎった。
コロナウイルスへの感染を、隕石に当たることに例えた表現。
あれだ。あれのようだ。
白血病にかかるなんてコロナウイルスに感染するよりもっと更に低い確率なのにそれでも、人口密度の低い地元のそれも小学校の同級生だったKくんに、白血病の隕石が当たってしまったのだ。

白血病の隕石でさえ、こんなに身近に起きてしまうのだったら、
この先もっとたくさん降り注ぐコロナウイルスの隕石にはいったいどうやって立ち向かえば良いのだろうと、自分の周りの大切な人にコロナウイルスの隕石が当たらない自信が一気に無くなった。


そして今ついに、4月6日(月)を迎えている。
日本は地方自治体によっては名古屋市や千葉県など授業を開始するところがあり、非常に不安な局面だと感じている。今の日本政権には本当に不安と憤りとやるせなさが押し寄せてくる。が今の政権を選んだのも国民なのだ。
外出自粛が収まったら日本領事館に出向き、在外選挙権を手に入れに行こう、そして海外からでも選挙に参加しようと強く思った。
NY在住ライターの佐久間裕美子さんの、いろんな場所にいる日本人と話をするインスタライブ 台湾編 を見てからというもの、国民が政治家を選び、選ばれた政権と国民との信頼関係が非常に大切だと突きつけられる。政治家によってここまで、コロナのような戦火の下でもこんなにも対応が変わるのだと強く実感する日々を送りながら、日本の緊急事態宣言を待ちながら、。
もし政府がこれでも発令しないのだったら、もう今は自分で決断と行動をするしかないのだ。



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