ハネサエ.

11歳、9歳、6歳、3児のおかあさんとライター。読む人が痩せるエッセイばかり書いてます…

ハネサエ.

11歳、9歳、6歳、3児のおかあさんとライター。読む人が痩せるエッセイばかり書いてます。おもに子育てのこと、たまに夫婦喧嘩。 子育て/育児/夫婦喧嘩/痩せる/大友/花男/豚コマ肉/三重県 お仕事のご依頼は sae1006t5※gmail.com (※を@に) まで。

マガジン

  • 夫の話

    夫の話

  • こそだてあれこれ

    子ども周辺のことなどなど。

  • エッセイあれこれ

    書いたエッセイまとめ。 ほとんどぜんぶがざわざわしてる。

  • 食べると暮らす

  • 読むと痩せるやつ

    読むと2キロくらい痩せるnoteを集めました。痩せには定評があります。

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とうきょうたろう

太郎がとうきょうを拾ってきたのは、8月の第3水曜日だった。 その日は月に一度しかない危険ゴミの日だったから、よく覚えている。危険ゴミっていうのは、使い終わったライターとか空っぽの乾電池とかそういうもの。 丸くて白い大きな卵みたいなそれは、太郎の腕の中で、薄く呼吸をしていた。ゆっくり上下する背中に触れると、柔らかくてぬるかった。 「それなあに」 「個室の中に落ちてから拾ってきた」 太郎は丸くて白い背中をゆっくり撫でた。 太郎は駅前のネットカフェでアルバイトをしている。

    • 小さいシルバニアと役に立つ機関車

      末っ子のお誕生日だった。 末っ子は3月生まれだから、小さいころからお友達のお誕生日を見送る1年を送っている。 学年が上がるたび、みんながお姉さんお兄さんになるのを見続けているせいか、きょうだいの誰よりも「おたんじょうび」を楽しみにしている。 何日も前から「あと〇日でお誕生日だ~」と恍惚とした表情で呟いていて、前日には「明日の朝起きたら一番最初は、お誕生日おめでとう、って言ってね」と私と夫に伝えてから眠りについた。 迎えた当日、朝からドレスを出すよう末っ子から命を受けた。

      • 小僧とかPTAとかの2月

        2月もあっという間に終わってしまった。 1月はひたすら働いていて、2月は少しゆとりをもって楽しいことをしようと思っていたのに、気づけば瞬きと呼吸を繰り返しているうちに3月になっていた。 2月を無かったことにしないために振り返りを。 2月はとにかく息子の友達がよく遊びに来た1ヶ月だった。 カメラロールを見返すと、小僧たちがそこかしこに映りこんでいる。 私は常々、息子の声が大きいといろんなところで書いているのだけど、彼の友達も漏れなくみんな声が大きい。類は友を呼んだんだろうか

        • 私だって走る師走

          頭の中がいと、うるさい。 どれだけ手を動かしてもやることが連綿とあって、これぞ暮らし、と思うと同時に、心が折れてしまうよ、とも思う。 私だけでもやることがたくさんあるのに、子どもたちに課されるあれこれは、同時に私の目を見てお伝えいただくこともたくさんあって、うっすらと胸に降り積もって気づけばずっしりと重みになる。 例えばピアノ。ていうか、ピアノ。 半年ほど前からだろうか。先生のレッスンが突如、熱を帯びてきた。 彼女にいったいどんな心境の変化があったのか知らないけれど、めった

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        とうきょうたろう

        マガジン

        • 食べると暮らす
          9本
        • エッセイあれこれ
          66本
        • こそだてあれこれ
          80本
        • 夫の話
          16本
        • 読むと痩せるやつ
          20本
        • あれとこれ
          71本

        記事

          三重県の地域ウェブマガジン【OTONAMIE】でエッセイを書きました。 私はよい町で小学生の気持ちで健やかに暮らしてるよってお話です。読んでね🌝 https://otonamie.jp/?p=89816

          三重県の地域ウェブマガジン【OTONAMIE】でエッセイを書きました。 私はよい町で小学生の気持ちで健やかに暮らしてるよってお話です。読んでね🌝 https://otonamie.jp/?p=89816

          ランニング教

          ずっと、ランニングをしたいと思っている。 とあるブログを私は長く愛読していて、その管理人の彼女が1年ほど前からランニングをしているのだ。 私は彼女が第2子、第3子にあたる双子を産んでからの読者で、彼女がまさかの4人目を妊娠した時も、めでたく出産した時も、仕事を始めた時も、陰ながら応援させていただいている。 その彼女が、長い長い幼児期の子育てが少しずつ楽になって、ランニングを始めた時の衝撃といったらもう。 4人もお子さんがいて、しかしどうやら配偶者は子育てにあまり積極的ではなく

          ランニング教

          夏ってだけで

          とってもアクティブな日曜日だった。 前日から、子どもたちは「明日はプールに行きたい」と言っていたので、夜のうちに洗濯を終わらせておいた。 さらに、最近は家の中が我が家にはあるまじき美しさをキープしている上に、日々学校の体育で彼らはプールに入っているので、プールセットも常にスタンバイしている。 つまり、朝食を食べさえすれば、とてもシンプルに朝っぱらからプールに行けるという段取りだ。 家が慢性的に散らかっているとこうはいかない。プールに行く前にやるべきあれこれに心を奪われて、し

          夏ってだけで

          走る春。土曜日の日記。

          「3月さえ乗り越えればなんとかなる」と踏ん張って、気がついたら「4月さえ乗り越えれば」と思う春を生きている。 4月はまだ上旬のはずなのにカレンダーを見ればきちんと折り返しているのだからほんとうにあらゆることが信用ならない。 目まぐるしく日々が捲られていくので、ああ、日記を書きたい書いておかないとすべて忘れてしまう、と思いながらも日々はバリバリと勢いよく消化されている。日記を書いている場合ではないのだよ、と焦りだけが先走るのでだからこそ踏ん張って日記を書く。落ち着け私。 *

          走る春。土曜日の日記。

          いつか南国にいる

          なんでみんな駄々こねて暴れてないの。すごくない? 今年とってもスーパースペシャル寒くない???私だけ????? 私はというと、寒さに動揺しているだけで一日が終わりそうなくらい寒さに打ちひしがれて生きている。 平常心を保っていられない。 いくら家の中を温めてもどことなく冷える足元とか、背中とか、さっき送迎の時に浴びた木枯らしとか、そんなあれそれがあまりにショックで疲れ果ててしまう。 先日、昼食を頂いた飲食店がべらぼうに寒かった。店内に入った瞬間に危機感を覚えるほど寒かった。

          いつか南国にいる

          お椀のうさぎ

          結婚前に京都で会社員をしていたころに、一度だけ陶芸をやった。 同じ部署の後輩が、陶芸教室の体験に行くというので、一緒に連れて行ってもらったのだ。 陶芸って聞いて、「ええ、やりたくない」と思う人っているんだろうか。 無条件に「たのしそう」って思ったりしませんか? 土をこねるとか、形をつくるとか、童心に帰るような感触をはらんでいるし、何よりよくテレビで観る、あのくるくる回るやつ、絶対やってみたい感じあるよね。ガラス工房で、長いストローの先っちょのガラスにぷうと空気を入れるのって

          お椀のうさぎ

          あれもこれも全部こわい

          子どもの頃からいろんなものに怯えて暮らしている。 ずっとなにかに怯えている。 怯えすぎて体調を崩したり睡眠不足になったりして、ずっと生きている。 大人になったら、もっと鈍感になって、いろんな怖いものがへいちゃらになって、のびのび暮らせるんだと思っていたけれど、やっぱりいつだってなにかに怯えて暮らしている。 なんなら、大人になるほど、この世のおそろしいものをたくさん知って、右を見ても左を見ても、こわいものだらけになってしまった。 * 子どもの頃はとにかく戦争が怖くて、ひた

          あれもこれも全部こわい

          不便なお家とパントリーの話

          先日、夫がパントリーの中に棚を作ってくれた。 数日が経った今も、感動がすごくて、用もないのにパントリーを開けて「ああ、棚があるなぁ」と思ったり、「物がきちんとおさまっているなぁ」と感動したりしている。 ものすごくうれしい。嬉しくてこれを書いている。 * というか、今までパントリーの中がいったいどうなっていたの、という話なのだけど、半畳ほどのがらんどうの中に結婚した時からずっと使っていた大きな棚を中に突っ込んでなんとか凌いでいた。 なんだけど、この棚がパントリーを開けて正

          不便なお家とパントリーの話

          混沌と夏休み

          夏休みと書いて怒涛と読むと世の母たちは言うよね。言う。言ってる。 もう、怒涛。 数年前までは怒涛なんてそんなぬるいものですらなくて、なんていうか、毎日がSASUKEファイナルステージで、毎日が容赦ない袋叩きで、毎日が「千と千尋の神隠し」で千が外壁に沿わせてあるパイプみたいなやつが崩れつつある上を駆け抜けるあの瞬間そのもの、という感じだった。 怒涛、と二文字で表現できるようになっただけまだ人間らしい暮らしをしているとは思う。とは言え怒涛。 少し前までは生かしているだけで花丸で

          混沌と夏休み

          あいだの土曜日

          いい土曜日だった。 朝食を終えたら長女を習い事へ送迎して、いったん帰宅。 エアコンのない体育館で2時間とちょっと。心配の数だけ保冷剤をジッパーバッグに詰めて持たせた。水分もたっぷりと。 真ん中長男はお待ちかねの土曜日。この日を待ってたと言わんばっかりにswitchに夢中。お誕生日に買ったスプラトゥーンというソフトにはまっている。先日までは頭の先からつま先までみっちりマインクラフトだった。 子どもって忙しいね。 末っ子もタブレットを眺めたり、兄のゲームを横で見ていたりしてな

          あいだの土曜日

          トイレブラシ翁

          先日のこと。トイレ掃除のブラシをたてておくホルダーをふと見たら、天面にほこりが溜まっていた。あらいやだ。 さっとトイレットペーパーを畳んだやつで拭って、トイレに流した。 ここ、知らないうちにほこりが溜まっちゃうのよねぇ。かつて暮らしたあの家でもこのうちでも、いつだって知らないうちに溜まっていたよねぇ。記憶をお散歩していて気がついた。 私、このトイレブラシと、いったいどれだけ???一緒にいるのか???? ひいふうみい、と月日を指を折り数えてみて、ぎょっとした。 書くのをは

          トイレブラシ翁

          抜け殻な私と仏な夫

          この週末なんだか体調がすぐれなくて、心身がしなびていた。 お腹は壊すし、頭は痛いし、眠たいし、寒いし、私はエネルギーが根こそぎ抜かれたただの容れ物ですよ、という気持ちだった。 土曜日、夫はいつも通り仕事へ行って、私は長女の習い事の送迎をしたり、ガソリンを給油したりした。 図書館から予約していた絵本が届いたと連絡があり、そのくらいやってやるわよ、えんやこら、とカウンターへ受け取りに行ったら私のカードが上限冊数に達していた。もう借りれませんよ、なにか返して下さいね、と言われる。

          抜け殻な私と仏な夫