怪談百物語#2 捨てないで
実家を目の前にして、ふと昔のことを思い出す。
僕が小学三年生のとき友人から腕時計をもらった。
大人が着けているそれは、子どもにとって手の届かないもの。
その日帰ってすぐ両親に自慢したのを覚えている。
母さんは喜んでくれたけど、父さんはちょっと悔しがってたな。
初めての腕時計は俺がプレゼントするつもりだったのに、って。
もらった腕時計は少し年季が入っていた。
ところどころ傷付いていたが、大事に使われたであろうことがわかる。
早速使おうと竜頭を回して時間を合わせる。
しかしいく